TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話 作:XX(旧山川海のすけ)
第1話 このチート野郎が!
嘘だろ……鴨志田の兄貴が……!?
俺は信じられなかった。
鴨志田の兄貴……コロシアムの花形戦士レッド・ベアーがポッと出の青二才に負けたんだ。
何がホークだ。鴨志田の兄貴に無惨に殺されちまえ!
そう思っていたのに。
結果は惨敗。
でもさ……
「あんなの、インチキだろ……」
俺は思わず口走っていた。
あのホークとかいう奴。
悪魔召喚をやりやがったんだ!
……このコロシアム初代チャンピオン「ザ・ヒーロー」しかやったことのない、悪魔召喚を!
ザ・ヒーローは通常様々な手順を踏まないと不可能な悪魔召喚を、一瞬で行う謎の秘技を持っていたそうだ。
ザ・ヒーローは俺たちが住むTOKYOミレニアム建設に関わった英雄でもあるそうだし、それぐらいはしても不思議じゃない。
で、ザ・ヒーロー以外はそれをやった人間は居なかった。
それをあのホークはやりやがったんだ!
左腕に装着する携帯型コンピューター「アームターミナル」をカチャカチャやるだけで、複数の悪魔を次々呼び出して。
その悪魔を
……インチキだ。
ザ・ヒーローの技を、何故アイツが出来るんだよ!
卑怯じゃねえか!
俺は兄貴と知り合って、旧世界で出回っていたという「チート無双小説」というヤツを見せて貰った。
弱い敗北者が、天から降って来たスゴイ力で強者を蹴散らして逆転する……
兄貴は言ったよ。
「こんなもんに夢中になる奴は負け犬だ。強さは地道な努力と自分を信じる心の強さにしかついてこない」
二ッと笑ってそう言ったんだ。
俺は震えた。
……強い男ってのは、鴨志田の兄貴みたいなヒトを言うんだ!
兄貴は強かった。
リングネーム「レッド・ベア―」に恥じない強さ。
これまでの対戦相手は兄貴に一方的にボロボロにされ、泣き喚いて最後に首を刎ねられていた。
そんな強戦士にこっそり本名を教えて貰ったとき、俺はどれだけ嬉しかったか……!
兄貴!
鴨志田の兄貴!
あの金色の髪と、鍛え上げられた逞しい肉体。
本当に強い男……
俺の理想で、目標だったんだ……
尊敬してた……
だけど
「すげえじゃん! アレ、悪魔召喚だろ!?」
「ザ・ヒーローの再来だぜ!」
……他の観客は皆、湧いていたんだ。
誰一人として、鴨志田の兄貴に同情したり、ホークの野郎をチート野郎って非難しなかった。
だから俺は
「あんなのズルイだろ!? 何で悪魔召喚なんてインチキ技を使ってんだよ!? コロシアムの試合は1対1が絶対のルールのはずなのに!」
周りの奴らに喰って掛かった。
するとだ
「……ハァ?」
「お前、アホか?」
「サダハルさぁ、お前がレッド・ベアー信者なのは知ってるけどさぁ……それはいくらなんでも無理筋じゃね?」
コロシアムは何でもありだろ。
1対1は確かに原則だけど、それは人間同士の話だ。
銃を持ち込んでも良いし、爆弾を持ち込んでも良い。
だったら悪魔召喚をやってもいいじゃん。
……実際、ザ・ヒーローはしてたんだし。
そんなことを言って来たんだ。
許せなかった。
「何言ってんだよ!? アイツは悪魔に戦闘を殆ど任せて戦って無いだろ! どう考えても卑怯だろ!」
兄貴は剣しか使ってなかったのに!
「だーかーらー」
周りの奴は俺を呆れた目で見て来る。
「コロシアムのトーナメントに出場するときに同意書書いてるだろ? どんな結果になっても文句言いません。1対1の戦いである限り、その全てを受け入れます、って」
「だから1対1じゃない……」
「何度も言わせんなよ。どう考えても悪魔召喚もその範疇だわ」
ギャーギャー喚くな。
クソ女みてえに。
お前、アレか?
周囲の奴らの蔑みの目。
……周りの奴らは誰も俺の言い分を聞いてくれない。
クソッ……!
俺はこれ以上ここで騒いでも無駄だと思い、出ていくことにした。
この……ヴァルハラエリアコロシアムの、一般観客席から……
悔しくて涙が流れそうになったが、必死で堪える。
泣くのは弱い奴のすることだ。
そんなことよりも……
俺はアイツに……ホークに復讐してやる。
絶対にだ。
……アイツを俺の力で叩き潰して、言ってやる。
俺はお前が卑怯な手段で命を奪ったレッド・ベアーの弟分……
サダハルだってな!
レッドベアー風評被害!
本作のレッドベアーは、あの伝説の教師が白人の女子高生とこさえた子孫です。
混乱期は女子高生を食べ放題だったろうしねぇ……
本作を読んでいただき感謝です。
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