TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話 作:XX(旧山川海のすけ)
「ヘット覚悟しろ!」
俺はヘットに突進した。
風神剣を八相に構え、走った。
「20代目! この男を斬り捨てて!」
ヘットはそんな俺にそう対応する。
こいつは面倒くさがりだからな。
そう来ると思っていたよ。
だから
「20代目よ。オヌシの相手はワシらがしようぞ」
肩の上にコノハナサクヤを立たせたオオヤマツミが立ち塞がる。
スピリット剣の緑色に輝く刃を構える20代目を前にして、一歩も引かない。
20代目はオオヤマツミに斬り付ける。
だがオオヤマツミの巨体を切断するに至らず
その負った傷を
「父上!」
コノハナサクヤが回復魔法を掛け、癒す。
……身体を張っての足止め。
負った傷を致命打ではないからと、回復させて強引に押し通す力技。
「……うっとおしい!」
ヘットはそんなオオヤマツミに手のひらを向ける。
光の魔法を使用する気か。
……させねえよ!
ヘットの手を抜くスタイルが引き起こした状況。
20代目に任せる気で放置していた時間に詰めた間合いは
俺がヘットの魔法発動前に斬撃を浴びせられる余裕を生み出していた。
魔法を中断し、ヘットが俺の剣を避ける。
その身のこなし、鮮やかで
この実力で前に出ないヘットに、俺は怒りを燃やした。
……こいつ、そこまで嫌々この仕事をやってるのか……!
ふざけやがって!
「そこまで動けるのに、何故全力で仕事をしないんだッ!」
俺の言葉にヘットは
「この仕事がくだらない仕事だからですよッ」
俺の袈裟斬りを躱しつつ吐き捨てるように。
「あなたはゴミを回収に出すことを全力でやるんですかッ!? 違うでしょう!? それと一緒ですよッ!」
俺たちはゴミだってか……!
ざけんなッ!
俺は全力で斬撃を加え続ける。
『サダハル! 頑張れ、ばれー!』
アマノザコの声。
アマノザコは逆らう神って聞いていたけど
この声は本気なのかどうなのか……
まぁ、今はそれどころじゃない。
「召喚主!」
そのときだ。
ドゥムジの声。
その声に
ヘットの視線がそちらに一瞬動いた。
――今だ!
俺の袈裟斬りがヘットの右肩に食い込む。
寸前でヘットは後ろに跳び、俺の剣はヘットの右肩を切り裂くに留まった。
「……ドゥムジ、よくやってくれた」
俺は振り向かず礼を口にする。
俺はずっと、ドゥムジに至高の魔弾の準備をさせていたんだ。
一瞬の隙を生み出す道具として。
それが功を奏した。
……コイツは絶対に仕留める。
20代目の戦士としての生き様を侮辱する存在を、俺は許さない。
そんな俺に対するヘットの顔には。
はじめて、怒りの表情が浮かんでいた。
憎しみに燃えた目で俺を睨む。
そして傷ついた右肩を押さえながら
「……不浄なる存在が、よくも私を……」
わなわなと震え言い
俺はそんなヘットの言葉に。
「言ってろ狂信者が」
風神剣を正眼に構えて返した。
……それが、引き金になったのかもしれない。
俺は
目を疑った。
バサッ、と。
……ヘットの背中に漆黒の翼が生えたんだ。
まるで大鴉のような、大きな真っ黒い翼が。
ヘットの様子が……?
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