TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話 作:XX(旧山川海のすけ)
「見事な技だった」
アレフは20代目を倒した俺に、そう賞賛の声を掛けてくれた。
俺は
「……そいつはどーも」
兄貴を殺した男……
その男と共闘し、今は同じ目的を追っている……
人生の皮肉って奴なんだろうか。
なんとなく
「なぁ、アンタさ」
「何かな?」
俺の兄貴分のレッド・ベアーを殺した男だよな?
アレフにそう訊いてみようと思った。
だけど
直前で、ライドウの顔が頭に浮かび
「……やっぱいいや。この20代目の遺体を火葬にしたいんだ。……出来るかな?」
やめた。
そんなの、俺が気持ちいいだけだろ。
兄貴も喜ばない。
……そういう男じゃ無かったはずだ。
そうだよな……? 兄貴……?
俺のオオヤマツミに20代目の遺体を運ばせて。
アレフたちと一緒に大教会の外に出ると。
ここにライドウとザインが駆け付けて来ていた。
ターミネイターたちを倒したのか。
「こっちは片付いたぞ、ライドウ。ヘットは逃がしたが、20代目は俺が倒した」
俺は結果をそう手短に伝えた。
それを受けて
「こっちもターミネイター部隊を全滅させたよ」
そう言った後
「……そうか。20代目を……私のオリジナルを倒したんだな」
ライドウは少し、寂しいような、悲しいような。
複雑な表情を浮かべた。
「本当はお前に任せるべきなんだろうけど、そういうわけにもいかないし。悪かった」
詫びる。
ライドウは首を左右に振り
「……いいさ。君がやってくれたのなら、私は構わない……」
そう言って笑ってくれた。
「ありがとう、サダハル」
そして俺を抱擁し
「愛している」
その言葉に。
俺もライドウを抱き返した。
20代目の遺体をフェンリルのファイアブレスで焼いた。
アレフに任せるつもりだったけど、ライドウがこの場にいるならライドウにさせるべきだ。
俺は隣でそれを見守る。
手を合わせようと思ったが、それがメシア教の作法であることに気がつき。
やめた。
……20代目も、メシア教の作法で送られたくないだろ。
代わりに俺は労った。
……アンタは良く戦った。
アンタに外道を働いた悪魔共は、俺たちが必ず倒してやる……
だから安らかに眠ってくれ……
20代目を見送った後。
俺たちはアレフたちと向き合う。
アレフたちは魔界で大魔王ルシファーと謁見に漕ぎつけ、九頭龍を目覚めさせる約束をしてくれたらしい。
そしてそのための助けとして、魔王ベルゼブブが力を貸す約束をしてくれたと。
その力で封印されていた邪神セトを屈服させて仲魔にし……
魔王アバドンを倒して、こっちの世界に戻って来たと。
魔王アバドンは、ヴァルハラエリアを丸ごと飲み込んだ悪魔だ。
それを倒して、こちらに戻って来た。
……え、それって……
僅かな希望が湧く。
アレフは頷いた。
「……ああ」
アレフが次に言った言葉は
「ヴァルハラエリアを取り返した。魔王アバドンの腹の中にあったときにたくさんの人々が溶かされてしまったみたいだが……」
俺が聞きたかったこと、そのものだった。
「生き残った人もいる。……マダムは無事だ。君たちの元上司だったよな……?」
俺の脳裏に、俺を見守ってくれた女性の顔が浮かぶ。
……マダム……良かった……!
原作だとアバドン体内に入った後、主人公の目の前でアバドンに吸収されて死亡してしまうんですけどね。
逆に言うと、そこまでは生きてたんですよ。
本作ではアバドン体内に踏み込むタイミングが原作より早いので、生還ということにしました。
ここで第12章は終了。
次回から第13章です。
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