TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話 作:XX(旧山川海のすけ)
第105話 生きていた人たち
ホーリータウンを解放した俺たちは、再び地下に戻った。
復活したヴァルハラエリアで生き残っていた人々は、全員地下に逃げたらしい。
TOKYOミレニアムに留まっていたら、次は何をされるか分からんし。
当たり前の話だ。
で、マダムのような重要人物の生き残りは、今上野に居るらしい。
……マダムは元々、センターに任命された支配者だったはずだけど。
一応、敬虔なメシア教徒だったわけで。
今、どんな気持ちだろうか……?
全てを無くして、絶望しているのかもしれない。
俺、マダムは好きだった。
一般的な母親って、ああいう人のことを言うのかも。
そう思ってたんだよ。
ライドウだって、直接の上司でもあったわけだし。
慕っていたはずだ。
……どういう風に接したらいいんだろうか?
それをずっと悩んでいた。
上野に着くまで。
「ホーリータウンとファクトリーの解放、よくやってくれた。ゴトウ様もお喜びだ」
上野ビルに辿り着いて。
トキに出迎えられた。
……久々に会う気がするな。
「ヴァルハラエリアの人々を地下世界に受け入れてくれてありがとう」
一応礼は言っておかねば。
「地下世界は自由の世界だ。礼には及ばん……」
俺の礼にそう返して
「……あれは?」
「地上でものすごく手を貸してもらったハッカーだ」
トキが目で指す人物に、俺はそう返す。
アリババだ。
……ホーリータウンに居続けるわけにもいかないので、一緒に逃げて来たんだ。
地下世界と地上はネットが繋がっていないので、こっちに来ると彼女の強みの8割は死ぬんだけど。
だからといってあそこにはもういられない。
最終的に九頭龍にぶっ潰される場所でもあるし。
彼女は青いジャージ姿でリュックを背負い、周囲をキョロキョロ見回している。
「……想像とだいぶ違うなぁ」
そんなことを呟きつつ。
彼女は
「まぁ、よろしく頼む。コンピューター関連なら何でもするぞ」
そう言って頭を下げつつトキに右手を差し出した。
マダムはゴトウの部屋に居た。
「ただいま戻りましたゴトウ様」
「うむ。ご苦労」
畳敷きの大広間。
褌一丁の姿で堂々と座っているゴトウ。
で、10メートルちょい離れた位置に。
汚れてはいるが、ドレスで着飾った女性が居た。
その金髪を結い上げている、上品な雰囲気の女性。
……マダムだ。
生身で会うのはこれが初めてで
「マダム! サダハルです!」
「ライドウです!」
駆け寄る俺たち。
俺に声を掛けられ、マダムは少しホッとした表情を浮かべる。
マダムほどの人物でも、周りに見知った人が1人も居ない状況はこたえるらしい。
マダムは
「……ヴァルハラエリアが魔王アバドンの腹の中にある間に……あなたたちは変わったのですね。特にサダハル……見違えましたよ」
そう言ってくれた。
俺は思わず感激してしまった。
「マダムもご無事で良かったです。亡くなったと思って辛い気持ちでした」
自然に出て来るその言葉。
マダムは微笑んでくれた。
そのとき。
「……アレフ君に、マダムの直属の部下2人が帰って来たわけだ。では、そろそろ良いだろうか?」
その場に居た、もう1人が声を上げたんだ。
俺はそのときようやく、そのもう1人に目を向けた。
……その人物は
灰色のスーツを着こなした、知的な風貌の老紳士。
髪もしっかり手入れしてて、隙が無かった。
「……ええと、アンタ誰だ?」
俺がそう訊ねると。
「私は目加田という男だ」
そう、臆することのない声で応え。
……こう続けた。
「私は元はセンターで、元老院直属の科学者をしていた」
目加田も生きてるのです。
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