TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話 作:XX(旧山川海のすけ)
竜の顎を1つ潰した。
だがメルカバーは狼狽えず
『これしき、大したことではありません。お前たちさえ倒せれば良いのです』
そう、淡々と言ったんだ。
残った1つの竜顎に、魔力を蓄積しつつ。
そして変わらずに雷撃で攻撃を続ける。
連続で撃ち出される雷撃。
俺たちの攻撃が届かない位置から。
……触手剣を向けると、捕まる危険性があるから。
それを警戒してんだな。
だったら……
飛べる仲魔を呼び出すしかない。
俺はアームターミナルに指を走らせた。
だけど
そのために動きが止まった俺を雷撃が襲ったんだ。
まずい、やられる……!
そのときだった。
「危ない!」
俺はライドウに庇われた。
突き飛ばされたんだ。
俺は床を転がり素早く身を起こす。
だけど
「アアーッ!」
ライドウが。
俺のの代わりにまともに雷撃を浴びた。
「ライドウー!」
俺は嫌だ!
もう二度と、大事に思った人を失いたくは無いんだ!
ライドウ……ライドウ……!
だけど俺は。
ライドウの手が僅かに痙攣とは違う形で動いたのを見逃さなかった。
……生きてる。
だけど
放っておくわけは行かない……!
俺は考える。
自分の仲魔は事実上全滅している。
帰還させて呼び直す隙を与えて貰えそうにない。
ライドウは動けない。
どうすればいいんだ……?
絶望的な気分になる俺に。
そのときだ。
フェンリルが傍に来た。
ライドウの仲魔。
主戦力の強力な妖獣が。
「我が背にノレ。主の伴侶ヨ……」
囁くように俺にそう言った。
俺はその言葉を……
どうしようもないほどの万能感を持って、受け止めていた。
ライドウのフェンリルが俺を認めてくれた。
分かったよ……!
俺に任せろ!
フェンリルの考えていることはなんとなく理解できた。
今、ライドウのもう1体の仲魔のフレスベルグがメルカバーと1対1で戦っている。
爪とアイスブレスのみで。
だが、ジリ貧だ。
雷撃で即死はしないが、フレスベルグの武器も大きな効果は無いから。
なので
フレスベルグは勝つことを諦めて、メルカバーを誘導している。
ギリギリ、フェンリルの跳躍力で届く位置に。
俺はそのフェンリルの背に乗っている。
俺の役目は……
このライドウの仲魔2体のチカラを借りて、あの神の戦車を斬り捨てることだ!
「分かった」
俺の言葉に、フェンリルは頷いてくれた。
さあ、行くぞ……!
フレスベルグの奮闘を見守る。
ボロボロになっても諦めない。
『ええい、しつこいですね!』
そしてメルカバーが
レーザーブレスを放つために停止した。
……その位置。
今だ!
フェンリルは動き出し、壁を蹴って。
メルカバーの間合いに飛び込む。
だがメルカバーは
『小賢しい!』
残り1つの竜の顎。
それをこちらに向けていた。
そこから吐きだされる光の息。
レーザーブレス。
その光はフェンリルを撃ち抜いて
グオオオオオオ!
フェンリルを1撃で消滅させた。
だけど
俺は寸前でフェンリルの背中から跳躍していた。
そしてメルカバーの上を取る。
メルカバーは気づいていないけど
俺は叫んでいた。
「これで決めてやる!」
言わなければならない。
この存在に、自分の死を教えないわけにはいかないんだ。
上段で振り上げた風神剣。
中に宿っているアマノザコが力を貸してくれる。
渾身の一撃を、この存在に叩き込む――
そのとき、俺の耳に
『頼む』
声が聞こえた。
どこかで聞いた声が。
『これで決めてくれ』
その声は、どこかライドウに似ていた。
その声が聞こえた瞬間。
俺の剣に、力が宿った。
剣に光が宿り、緑色に輝いていく。
これは――
スピリット剣……!
メルカバーが俺を見上げる。
そこで、驚愕した。
俺の剣に気づいたんだ。
……分かった。
任せてくれ……!
20代目ッ!
『させぬ!』
俺を撃墜するためにメルカバーの手が俺の方を向く
だがその前に
俺の剣はメルカバーの額に打ち下ろされ、そのまま正中線を通って下まで突き抜けた。
……やった……!
『……何と……恐ろしい真似を……悪魔のようなニンゲンよ』
俺の斬撃を受けたメルカバーは
左右にふたつに分かれながら
そう言い残し。
塵になって消滅した。
戦いは終わった。
ここで第13章は終了です。
次回から最終章です。
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