TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話 作:XX(旧山川海のすけ)
第113話 戦い終わって
メルカバーの純白の身体が塵と化し、元老の間に静寂が戻った。
俺の手に握られた風神剣は、20代目の魂が宿した緑色の輝きをまだ帯びている。
ありがとう、助かった20代目。
死ぬ覚悟を決めていたせいか、まだ息が荒い。
俺の全身は汗でびっしょりだ。
ライドウは床に倒れたままだけど、微かに胸を上下させている。
すぐ回復させないと。
俺は地母神タウエレトを速やかに召喚した。
足元に魔法陣が描かれ、俺の目の前に河馬獣人の姿をした地母神が現れる。
「久しぶりでは無いか。契約をそろそろ切られるのかと思っていたぞ」
コノハナサクヤが戦闘向きの能力を持っていた関係上、俺はこの、最初に悪魔合体をして契約した地母神をずっと呼んでいなかった。
そこは素直に詫びる。
「悪い」
で、本題を切り出した。
「タウエレト、久々で申し訳ないけど、倒れている奴らに回復魔法を頼む」
「承知した」
タウエレトが両腕を広げ「我が子たちよ、立ち上がれ」という言葉と共に、柔らかい光を放った。
それを浴びた仲魔たち、ライドウが起き上がっていく。
良かった。
「ライドウ! 立てるか!?」
俺は剣を鞘に収め、駆け寄って彼に手を貸した。
ライドウは俺の手を取って頷き、呟くように
「サダハル……やったんだな……」
「ああ、終わった。メルカバーも元老たちも、全部いなくなった」
ライドウの唇に微かな笑みが浮かぶ。
そして立ち上がり、そこに生き残ったライドウの仲魔であるフレスベルグも、傷だらけながら主のそばに戻って来た。
「フェンリル……ご苦労だった。あとはゆっくり休んでくれ」
ライドウはそう、少し寂しそうに呟いた。
「サダハル! ライドウ!」
俺たちが元老の間を去った後。エデンに続く廊下を走っていたら。
途中で、アレフ、ヒロコ、ザインとはち合わせた。
3人とも傷だらけだが、生きていて。
アレフとヒロコの顔には達成感が満ちている。
……ということは
「サダハル、ライドウ。元老院は?」
アレフのその問いに俺は
「全部片付いた。もうメシア教の指導者はこの世にいない」
そう返す。アレフからの返答を期待しながら。
アレフは軽く頷き、ヒロコが安堵の息を吐く。
そしてザインは
「ありがとう。こっちはメギド・アークを破壊した。もうあの殺戮兵器は動かないよ」
「マジか!」
俺は思わず声を上げた。
「どうやったんだ?」
俺のその問いに。
ヒロコが苦笑しながら教えてくれた。
「普通にエデンに乗り込んで、機械部分を壊したの」
メギド・アークは魔術と科学のハイブリッド兵器。
魔術的な部分は正規の手段を使わないと破壊は厳しいかもしれないが、機械部分はそうじゃない。
エデンにさえ踏み込めれば、出来ない話では無かったんだ。
なので魔王ベルゼブブの超強力な電撃魔法を浴びせて、機械部分を一瞬でぶっ壊した。
魔術的な部分は無傷でも、機械部分が耐えられなかったらしい。
なるほどな……
ヒロコが続けた。
「だから、私たちはこれを公表する。センター市民に、真実を知らせないと」
戦後処理。
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