TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話 作:XX(旧山川海のすけ)
楽しみにしてくださってる方いらっしゃいましたらすみません。
(急遽全部チェックしましたよ。ええ)
それから。
何か俺はアリババに気に入られて。
たまにだ。
ヴァーチャル・トレーナーによる訓練終了後に時々アリババがハッキングを掛けてくるようになった。
それでまぁ……
色々聞いたんだわ。
センターが市民に開示してないことを。
TOKYOミレニアムは元々、カテドラルというメシア教の建てた建物がその国土の前身になってるのは知ってたけど。
メシア教教会で一般に教えられていたことは……
ザ・ヒーローがメシア教を敵視するガイア教の勢力を駆逐してくれて、この国の礎を作ってくれた。
……カテドラル建設当時、ガイア教徒が大量に入り込んでて。
連中は魔界の魔王を多数召喚し、カテドラルを乗っ取ろうとしてたらしい。
それをザ・ヒーローが全滅させて、追い払ったと聞いていた。
だけど、真実は……
「えっ、本当はザ・ヒーローはガイア教徒だけでなくメシア教徒も叩き潰していたのか?」
思わず驚きの声が出た。
「だよ」
俺にそんなことを教えて来たアリババは何か嬉しそうだった。
「それで何でザ・ヒーローが邪教徒認定されて無いんだ?」
当然の疑問。
ザ・ヒーローがアンチメシアだったってことも衝撃だったんだけど。
一番最初に疑問に思えたのはそれで。
普通、そんな真似をしたら邪教徒認定を受けるだろ。
だけど……
「ザ・ヒーローの名声が大き過ぎて無視できなかったんじゃないか? 知らんけど」
小首を傾げて、そんなことを。
なんかテキトーな印象を受けるけど、言ってることは同意できる。
黒を白と言いくるめるのは簡単なことではないんだろうな。
だから最低限の情報操作で、なるべく嘘が入らないようにしたのかもしれない。
で
「……何で今、こうなってんの?」
それを訊ねる。
今はメシア教が支配してるのに。
両方叩き潰したってのは合致しないだろ。
すると……
「メシア教の管理社会は安定してるからなぁ」
アリババは少し苦笑いをする。
「ガイア教は弱肉強食だから、弱い奴には支持されないんだ。そしてガイアとメシアを否定する社会でも大差は無くて」
そして教えてくれた。
「弱い奴に優しいのは、結局メシア教なんだな」
……あ。
それはそうかもしれないな。
俺だって、メシア教教会に最低限の教育をつけてもらったし。
メシア教が弱者に手厚いのは事実かもしれない。
「当時のメシア教の活動記録を見ると面白いぞー? メシア教はな、女の信者を徹底的に勤勉で貞淑で正直で上品な人間に育てて、非メシアの男で価値あるヤツを味方に引き入れるための手駒にしてたんだ」
男にとって、やっぱデカイんだよ。
自分を絶対に裏切らず、品が良くて働き者の嫁ってのは。
手振りを交えてそう語るアリババは妙に嬉しそうだった。
……俺はちょっと引いてたけどな。
そこまでやってたんか、って。
でも世の中、綺麗ごとだけじゃやってけないってことかもな。
……しかし。
こんな話、ライドウにはできないな。
多分気を悪くするし。
「では、サラダバー」
そして別れの時間がやって来たので。
アリババはそう言い残して姿を消した。
「……なんでニヤニヤしてるんだ?」
ヴァーチャル・トレーナーから出て来て、筋力トレーニングの方に向かうとき。
ライドウにそう言われた。
俺は
「いや、別に」
俺はただ、アリババの話が面白かったから、思い出し笑いをしてるだけなんだけど。
……何か後ろめたかった。
俺は別に何も、ライドウに咎められることなんてしてないはずなんだけどな。
主人公はヴァルハラエリアのスラム近い場所出身なので、メシア教に対するスタンスがセンターの人間とちと違うわけですな。
本作を読んでいただき感謝です。
続きが気になる、面白かった。
その場合は評価、お気に入り、コメント等を頂けますと嬉しいです。