TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話 作:XX(旧山川海のすけ)
そして訓練の日々が過ぎ。
ある日
「君もだいぶ強くなったね」
ライドウが俺にそう言った。
ヴァーチャル・トレーナーのレベルが10になり、そこでも勝てるようになったからか。
そんなことを俺に言って来て。
明らかに俺より強いライドウにそう言われたから俺は
「そ、そうか!」
……なんか俺はキモい感じで返してしまう。
何興奮してんだ、俺。
「今日は僕について来てくれ。いつかは出なきゃいけないんだ」
……ああ、つまり……
初陣ってことかな。
俺の……
『ライドウさん、よく来てくれました』
トレーニングルームから出て来て。
シャワーを浴びさせられ、着替えさせられて連れて来られたのは
かなりの広い部屋。
調度品もきっちりあって、絨毯が敷かれ、使用人もいる。
けど、部屋の主人はいなくて
モニタの中にいた。
(なんで主人もいないのにこんなに使用人が居るんだよ……)
ライドウの後ろに休めの姿勢で控えるように立ちつつ、俺は。
モニタの中の、ヴァルハラエリアの統治者の姿を見つめた。
それは金髪の貴婦人で。その長い髪を結い上げてまとめてて。
お金の掛かってそうな青紫色のドレスを身に纏い、キセルで煙草をふかしていた。
この人が『マダム』……
『その子があなたの見習いとして見出した少年ですか? 見たところ、同年代のようですが……』
俺のことを言ってんのかな。
ライドウは頷き
「ええ、ただ私の後継者としてではありません。スペアの可能性はありますけどね」
そんなことを真顔で言う。
スペアって……
控えってことか?
そんな話……
俺のそんな表情を見られていたのか
『ああ、あなたは知らないのですね。ライドウという名は旧世界の支配階級に仕えていた悪魔使いが代々襲名していた名前なのです』
マダムからの説明。
へ……
襲名って確か……
「本名じゃ無いのか?」
思わず訊ねてしまう。
全然縁の無い世界の話だったし。
すると
「そうだね。まあ元々、ライドウの名を継ぐために育てられてきたので、事実上ライドウが本名だよ」
何のことも無いようにライドウがそう返して来る。
襲名……旧世界の悪魔使い……
話の大きさに俺は黙ってしまった。
そこに
「サダハル、自己紹介」
ライドウに促された。
あっ
「俺はサダハル言います! ヴァルハラエリアのダウンタウンに住んでました!」
ペコペコ頭を下げた。
これしか目上の人間に対する礼儀を知らんから。
するとマダムは面白そうに笑った。
見下した感じは無くて。
俺の態度を愛でる感じの笑い方だった。
『そう固くならなくても良いのですよ。落ち着いて』
そう優しく言ってくれた。
マダムを名乗るだけあって、年齢を重ねた大人の女性の包容力のようなものを感じる。
……少しだけ感激する。
俺には母親が居ないしな。
『それでは良いですか?』
新入りの紹介が済んだからか。
マダムが話を切り出して来た。
「よろしくお願いします。マダム」
「お願いします!」
ライドウの返答に追従する俺。
マダムは頷き
話し始めた。
俺たちを呼び出した用件を。
それは……
『ガイア教徒がスラムで住民に布教をしているという通報が市民からありました』
……また、ガイア教徒か。
俺の件があったのに、まだ居るんだな……
しつけぇ……
真2の世界では、ガイア教徒は反社の過激派の扱いなんだよね。
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