TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第14話 俺とライドウ

 マダムの命令で、俺たちはスラムに向かう。

 俺もパリッとした白い戦闘服を与えられた。

 

「今回は普段着で行かないのか?」

 

 訊ねる俺に

 ライドウは

 

「今回は潜入する気は無いからね」

 

 路上でやってるみたいなんだよ。

 布教。

 

 強さに自信があるのかもしれないね。

 

 ……今回はライドウも白い戦闘服。

 多分、テンプルナイトとしての正装……

 

 所謂軍服ってやつだと思う。

 

 衣服を整え、腰に俺同様、機械剣プラズマソードを吊るして。

 その他に黒い金属製の筒を数本、腰に吊るす。

 

 変な筒だった。

 金属製なんだけど、端っこが緑色に輝いている。

 

 俺は

 

「それ、何?」

 

 俺には無い装備なので訊ねると

 

「ああ、これは封魔管」

 

 教えてくれた。

 どうも、契約した悪魔を封じ、操るための道具らしい。

 

 そっか……これが。

 

 俺も欲しい、と思ったけど。

 言えなかった。

 

 さすがにね。

 

 ただ

 

「それもライドウの名についてくる道具なのか?」

 

「そうだね」

 

 ……それだけ確認。

 やはり一般的に手に入るものではないのか。

 

 

 

 数週間ぶりにスラム街にやって来た。

 何だかだいぶ長いこと来てない気がした。

 

 ここのところ、マダムの屋敷の部屋住まいだったし。

 

 マダムの屋敷ではライドウの部屋に置いてもらっていて。

 ライドウはもう1セット、布団を用意してくれた。

 

 ライドウの部屋は所謂畳部屋。

 旧世界の読み物でしか見たことが無い。

 

 センターだと普通にあるのかもしれないな。

 靴を脱いで部屋に上がるというのも初めての経験だったよ。

 

 部屋でのライドウは……

 よく、読書をしていた。

 

 読んでいたのは……

 

「何を読んでんだ?」

 

「旧約聖書だな」

 

 ……メシア教の聖典じゃないのか。

 旧世界の劣った宗教の本を読むなんて。

 

 そこを指摘すると

 

「メシア教の成立に間違いなく関わっている本だよ。これは」

 

 劣っているなんて言っては駄目だ。

 間違いなくルーツなんだから。

 

 そう言ったときのライドウは堂々としてしてて。

 気高い、と思ったな。

 

 いや、多分。

 こういう振る舞いを、気高いって言うんだろうな。

 

 

 

「お前たちは馬鹿者だ!」

 

 ……そんなことを思い返しながらスラム街の奥に進んでいくと。

 広場に出て。

 

 そこに居た。

 

「こんな汚らしい場所で、センターの意向に反抗もせずに従い続けている!」

 

「お前たちが何故馬鹿者なのか教えてやろう!」

 

 ……黒いコートを身に着けた、丸坊主の男たちが。

 

 男たちはスラムの住人相手に演説している。

 

「何が十徳だ! 何が十罪だ!」

 

「強く優れた者が、弱い奴を踏み躙って何が悪い!」

 

 男たちは計5人。

 隠す様子もなく、メシア教をこき下ろしていた。

 

「だいたいだ! センターがお前たちにやっていることは、我々ガイア教徒の説く弱肉強食と同じ……いや、なお悪いと何故気づかない!?」

 

「お前たちがセンターに登るには、多額の寄付金を教会に納めるか、幼少期の試験で高得点を修める……」

 

「もしくはコロシアムでの優勝しかない!」

 

 ……ああ、確かにそうだよな。

 センターに住んでいない人間がセンターに住むには、教会に何十万というマッカを納めるか、幼少期にメシア教の課す筆記試験で満点近い点数を取らないと駄目だ。

 あとは兄貴が目指したように……コロシアムでチャンピオンになる以外無い。

 

「なのにセンターの奴らは、親がセンターの住人であったというだけで、引き続きセンターに住むことを許される! この差別! ガイア教では考えられぬ!」

 

「これがガイア教であれば、お前たちにもセンターの住人と成り代わるチャンスを与える! 平等だからだ!」

 

「目覚めるのだ!」

 

 こいつらの言う通り、色々確かに不平等だとは思う。

 このTOKYOミレニアムの社会は。

 

 だけど……

 

「そこまでだガイア教徒共」

 

 俺とライドウはその場に進み出る。

 

「センターの定めた法に従い、お前たちを処罰する」

 

 ライドウの言葉だけど……

 

 センターからの住民の待遇に差は確かにある。

 だけど法は平等に運用され、法の下では市民は皆平等なんだ。

 

 人の作ったものに完璧は無い。

 足りない部分を嘆いて、全てを打ち壊すのは絶対に違う。

 

 俺もそれは同感で……

 

 俺はプラズマソードを腰の鞘から抜いた。

 機械の剣が青白いプラズマの刃を発生させた。

 

 ……俺は、そんなライドウの力になれることに純粋に誇らしいものを感じている。

 

 やってやるよ……!




次回、バトル!

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