TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第20話 かみ合わない会話

 沈黙があった。

 

 言ってしまってから「しまった」と思ったが。

 もう遅い。

 

 俺は

 

「メシアはかつて、ホークって名乗ってて……」

 

 語った。

 これまで言わなかったことを。

 

「悪魔召喚の技で、コロシアムの戦士だった俺の兄貴を袋叩きにして殺したんだ」

 

 ……コロシアムに出場する戦士は。コロシアム内の戦いで命を落とすことに一切の文句を言わない。

 出場し、仮に死を迎えてもそれは自己責任である。

 

 そんな誓約書を書いて出場する。

 

 だから

 

 そりゃ無理筋だ。

 逆恨みだ。

 

 そう言われるのが怖くて、言わなかった。

 いや、言えなかった。

 

 黙っていたんだ。

 

 だけど……

 

 言ってしまった。

 いや……言わざるを得なかった。

 

 俺の話を聞いたライドウは

 

 しばらく沈黙を貫いた。

 だけど……

 

「……で、君はまだ復讐の気持ちを捨てて無いのかい?」

 

 そう、ライドウは俺に訊ねた。

 特に何の感情も籠っていない声で。

 

 俺は……

 

「……メシアは実直そうに見えた。傲慢な人間には見えなかった」

 

 質問には答えず、メシアを実際に見て感じたことを口にした。

 馬鹿の返答だな。

 全くかみ合ってない答え。

 

 ヒトの話を聞いていないと言われる返答。

 質問に正しく応えていないんだから。

 

 だけどライドウは

 

「そうか……私も同感だな。彼は良い男だと思う。メシアに相応しい男だよ」

 

 俺の答えを同感だと言ったんだ。

 

 俺たちは2人とも、会話をしていなかった。

 そんなふうに、会話じゃない会話をしていた俺たちは

 

 そのときそこで

 

 コケーッ!

 

 ……鶏の鳴き声。

 

 それを耳にした。

 

 それと同時にライドウはバイクを停止させる。

 

 タイヤが擦れ、アスファルトを焼いた。

 

「近くに居る。……仕事だサダハル」

 

 ライドウのその声が緊張感を纏ったものだったのは

 

 彼の優しさなんだろうか。

 

 

 

 バイクを降りて準備を整え。

 鶏の鳴き声がする場所に走る。

 

 するとすぐ、鳴き声の主が何であるかは明らかになった。

 

 それは……

 

 3メートル近い大きさの鶏。

 

 ただし色は灰色で。

 

 尻尾が蛇のものだった。

 

 ……コイツが邪龍バジリスク。

 

 毒ガスを吐き、その嘴で突いた生物を石化させる力を持った悪魔。

 俺たちが駆除を任されている相手……

 

「毒をなるたけ喰らわないように気を付けろ。相手はこいつだけじゃないんだ」

 

 ライドウはフレスベルグとフェンリルを召喚し、プラズマソードを抜いて。

 完全に仕事モードでそう言う。

 

 ……俺のことを変わらずテンプルナイト見習いとして扱いながら。

 

 俺はそんなライドウに

 

 大きな感謝の気持ちが沸き上がり

 

「ああ!」

 

 返事の声が大きくなった。




会話せん方が良いことはある。

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