TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第23話 言うのは簡単だが……

 えっ。

 デミナンディって喋るの?

 

 知らんかったんだけど……

 

「なぁ、なんでアイツ喋ってんの? 食用なんだろ?」

 

 思わず俺は訊いてしまう。

 食用の人造生物なのに人語を話すなんて……

 

 おかしくない?

 

 純粋にそう思った。

 

 だけど

 

「……悪魔を本物の牛と融合させた生き物だからね」

 

 悪魔で会話出来ない奴はほぼ居ない。

 デミナンディが会話能力を獲得するのは自明の理だ。

 

 ライドウは淡々とそう語った。

 

 ……それはちょっと食用としてマズいだろ。

 

 俺、これまでデミナンディの肉のハンバーガーだとか、ミートボールだとか。

 美味い美味いって言って食べてたけどさぁ

 

 ……その肉が、クチを利ける生き物の肉だなんて知りたくなかった……

 そんな風に俺がショックを受けていると

 

「オレハ喰ワレルタメノ生キ物デハナイ! コンナ仕打チ許サレナイ!」

 

 デミナンディはそう叫びつつ、自分に近づくものを寄せ付けない勢いで大暴れしている。

 ライドウはそんなデミナンディに近づいて

 

「いや、君は私たちの食糧になるために生まれた生き物だよ」

 

 ハッキリそう言った。

 真っ直ぐにデミナンディを見つめながら

 

「君らは私たちの蛋白源になるために生まれて来た尊い存在だ。神の使いなんだ」

 

 にこやかに。

 すると

 

「フザケルナァァァァ!!」

 

 デミナンディがライドウに突進してきた。

 マズい!

 

「ライドウ!」

 

 俺が咄嗟にプラズマソードを抜いて迎え撃とうと一歩出ると

 

「サダハル、大丈夫だ」

 

 俺の肩にそっと手を置き、ライドウがさらに前に出たんだ。

 

 当然、プラズマソードを抜きながら。

 

「グオオオオオオ!!」

 

 とんでもないぶちかまし。

 喰らえばただでは済まない。

 

 だけどライドウがどこか軽い足取りでサイドに軸をずらすと

 

 デミナンディは速度を落とし、方向を修正する。

 

 ライドウしか見えて無いのか。

 

 突進してくるデミナンディ。

 サイドに軸ずらしをしたライドウは

 

 ギリギリまで引き付けて……

 横跳びに跳躍し、その寸前にデミナンディの足を1本

 

 ……プラズマソードで切断した!

 

「グオオオオオ!!」

 

 足が1本急に無くなったせいで、転倒してしまうデミナンディ。

 

 そのとき、俺の脳裏に閃くものがあった。

 

 今が……俺が出るときだ!

 

 転倒して隙だらけのデミナンディ。

 俺は飛び出し……

 

 藻掻くデミナンディの首にプラズマソードを突き立てた。

 

 色々あるけど、棒立ちで見ているのは違う。

 ここで役に立たないと……

 

 俺はライドウのお荷物だ!

 

 その一心で、やったんだ。

 

「ナイス」

 

 そこに。

 

 ライドウが身を起こして。

 俺の肩に手を置いてくれた。

 

 ライドウが俺を労う気持ちを感じて、俺は心臓が高鳴るのを感じた。

 

 

 

 その後ファクトリーエリアを出るときに。

 

 焼き肉屋に寄って、2人でデミナンディの焼き肉を食べに行った。

 

 ……ちょっと複雑だったけどさ……

 

 やっぱ美味いんだよね。肉は……

 

「デミナンディを作るとき、会話能力を取れなかったのかな」

 

 タレでハラミ肉を食べながら。

 俺はそう、デミナンディの問題点を口にした。

 だけどライドウは

 

「そうしようとしたら、リアルの牛より知能が低くなり、家畜として飼い辛くなったのかもしれない」

 

 塩タンを食べながら返してきて

 

「言うのはカンタン。実行するのは大変なんだ」

 

 その言葉に、俺は口を閉じるしか無かった。

 まぁ、確かに……

 

 デミナンディがいないと、TOKYOミレニアムの人間のほとんどが肉を食べられないことになるしな。

 だったら、デミナンディがああでもしょうがないのかもな。

 

 ……まあ

 

 もし俺が科学者だったら、喋らないデミナンディを作る研究をするかもな、とは思う。




目標を口にするのは誰でも出来るけど、実行するのは非常に難しいからね。
そこに至らないことに不満をぶつけて、科学者を非難するのは違うんだわ。
(無論、科学者は「出来ない」と口が裂けても言うべきではないのですけど)

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