TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話   作:XX(旧山川海のすけ)

30 / 116
第30話 本当に無いのか?

 俺とライドウは、暴れ回るスレイブたちを制圧するために動き出した。

 

 怒号と金属音が響き合う。

 俺たちは襲ってくる緑色の肌をしたスレイブたちと交戦する。

 

 俺はプラズマソードを手に、訓練で培った戦闘技術をフルに使って応戦する。

 

「サダハル、右だ!」

 

 ライドウの声が鋭く飛んできた瞬間、俺は身体を捻って横に飛び、振り下ろされる鉄パイプをギリギリで避ける。

 その隙にライドウが前に出た。彼は静かに目を細めると、手に持った金属の筒……封魔管を開封した。

 

「来い、フェンリル。フレスベルグ」

 

 一瞬にして空気が変わった。

 

 封魔管から溢れ出した緑色の輝きが、カタチを形成し……

 

 白い毛並みの巨大な狼・妖獣フェンリル。

 

 その隣には……

 

 同じく白く輝く巨大な鷲・凶鳥フレスベルグが羽ばたく。

 

 ルオオオオ!

 クエエエ!

 

 雄叫びのような鳴き声をあげる2体の仲魔。

 

 その2体は

 

「やれ」

 

 そのライドウの短い指示で

 即座に反応する。

 

 フェンリルが口を開き、灼熱の火炎の息をスレイブたちに向けて吐き出した。

 炎は唸りを上げながらスレイブを飲み込み、数体が一瞬で黒焦げになって崩れ落ちる。

 

 一方、フレスベルグは高く飛び上がり、鋭い鳴き声とともにアイスブレスを吐き出す。

 吹雪のような冷気が鉱山の地面を凍らせ、スレイブたちの動きを封じていく。

 

「すげえ……」

 

 俺は思わず呟きながらも、手を休めずプラズマソードで凍ったスレイブの頭部を叩き割る。

 

 連携は完璧だった。俺が接近戦で削ぎ、ライドウの仲魔が広範囲を制圧する。

 

 やがて、スレイブたちの暴動は収まり、鉱山には静寂が戻った。

 

 地面には無数のスレイブの残骸が散らばり、焦げた臭いと冷気が混ざり合った異様な空気が漂っている。

 俺は息を整えながら、プラズマソードを鞘に収めた。

 

「終わったか……」

 

 ライドウがフェンリルとフレスベルグを封魔管に封じ、静かに俺の方を見た。

 その目はいつも通り冷静だったが、どこか考え込むような影があった。

 

 俺はしばらくその場に立ち尽くし、頭の中を整理しようとした。

 

 スレイブたちの叫び声が耳にこびりついている。

 

「メシア教徒死スベシ」

 

「テンプルナイト死ネ」

 

 あれはプログラムされた言葉じゃない。

 感情が籠っていた。

 機械が勝手に喋ってる感じじゃなかった。

 

 そして、あのスレイブの頭部から覗いた白い脳みそ……。

 

「……なぁ、ライドウ」

 

 俺は意を決して口を開いた。

 

「やっぱり何かおかしいよな。ハッキングって線は分かるけど、それだけじゃ説明がつかない気がする。あいつらの言葉、あの動き……。それに、あの脳みそだよ」

 

 ライドウは黙って俺の言葉を聞いていた。

 俺はさらに続ける。

 

「スレイブって、複数の悪魔の合成生物に改造手術を施したものだって聞いてた。でもさ、本当は違うんじゃないのか?あそこに人間の脳みそが使われてるんじゃないのかって……そんな気がしてくるんだ」

 

 一瞬、ライドウの眉が微かに動いた気がした。

 

「……それは無いだろ」

 

 彼は静かにそう返した。だけど、その声には普段の自信が少し薄れているように感じた。

 

「無いのか?本当に?」

 

 俺は食い下がる。

 そして続ける。

 

「だってさ、人間を使ったら本末転倒だろ。スレイブってのは人が道具にできないから作られたはずなのに。なのに、もし本当に人間の脳みそが使われてるなら……何だよそれって」

 

 ライドウは視線を逸らし、地面に転がるスレイブの残骸を見下ろした。

 

「……確かに、君が言うように妙な点はある」

 

 彼がそう認めたのは意外だった。

 いつも冷静で、テンプルナイトとしての忠誠心が揺るがないライドウがだ。

 

「だが、ハッキング以外に原因があるなら、それが何なのか。そこまで考えが及ばない」

 

 俺は頷きつつも、心の中のもやもやが消えない。

 

「でもよ、ライドウ。あいつらが暴れてた理由がハッキングじゃないとしたら……あいつら自身が何かを『感じて』動いてたってことになるよな」

 

 その言葉に、ライドウは再び黙り込んだ。

 彼の表情に僅かな動揺がある気がした。

 俺と同じ疑問を、彼もどこかで抱いているのかもしれない。

 

 そのとき

 

 おおおおおおおおおおおお……

 

 その場に、突然。

 地鳴りのような唸り声……いや呻き声が轟き始めたんだ。




果たして何が起きるのか?

本作を読んでいただき感謝です。
続きが気になる、面白かった。
その場合は評価、お気に入り、コメント等を頂けますと嬉しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。