TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第5章:TOKYOミレニアムの真実
第33話 ヴァルハラエリア消滅


 俺とライドウはホーリータウン大教会に辿り着いた。

 バイクで移動した後、検査を経て、そしてホーリータウンからは車。

 

「着いたな」

 

 そこに感動や高揚感のようなものはない。

 それどころじゃないよな。

 

 ライドウの言葉に俺は頷きつつ、俺は大教会を見上げる。

 ホーリータウン大教会はこのエリアの目玉施設だけあって、立派だ。

 堂々とした3階建ての純白の巨大教会。

 

 アレフはここで魔王キングフロストと戦ったのか。

 

 頭の片隅でそう考える。

 

「サダハル、行くぞ。ここで詳しい話を聞く」

 

 ライドウの声に促されて、俺は重い足取りで彼の後を追った。

 入り口で認証を受けた後、俺たちは1階の広いホールに通される。

 

 そこにはすでに何人かのテンプルナイトが集まっていて。

 静かに備え付けの座席に着いている。

 

「サダハル」

 

 ライドウの言葉に頷き、俺たちも同様に席に着く。

 

 しばらく待つと、ホールの壇上に人が上がって来る。

 それはスーツの中年男性で

 

 多分、センター指導部の職員だ。

 

「お集まりいただきましたテンプルナイトの皆さま」

 

 壇上で男性は俺たちに

 

「すでに専用端末にで連絡は致しましたが」

 

 そこで空中投影される映像。

 そこに映し出されたのは、何も無くなり更地になったヴァルハラエリア。

 

 ヴァルハラエリアはゴチャゴチャと色々あって、正直あまり広いエリアだとは思ってなかったけど。

 建物が一切合切無くなると、あまりにも広く感じた……

 

 信じられないものを見た気がした。

 俺の目が釘付けになる。

 

 故郷の街だ。

 俺が生まれ育った場所。

 嫌な思いもしたけど、それなりに思い出もある。

 

 それがこんなことになってしまうなんて……

 

「魔王アバドンが、ヴァルハラエリアに存在しているものすべてを飲み込みました。生存者は居ません」

 

 男性の声が淡々と響く。

 

「これはテロです。実行犯はガイア教徒」

 

 その言葉に、さすがに場が騒めいた。

 統制されたテンプルナイトたちでも、ガイア教徒たちがここまでの痛手をTOKYOミレニアムに与えたとなれば、平静ではいられないのか。

 俺も

 

「……マジか」

 

 思わず呟いていた。

 

 そして思い出す。

 

 あそこで出来た、大切な人たちを。

 

 マダム。

 向こうでの俺たちの直接の上司だったヒト。

 モニター越しにしか会ったことのないヒトだったけど。

 俺は母親のように思っていた。

 

 そう思って、接していた。

 

「サダハル君、なかなか慣れてきましたね。嬉しいですよ」

 

 そんなことを言ってもらったこともある。

 嬉しかったよ。

 

 そして魔獣ケルベロス。

 あの魔獣は、たまに暇なとき昔話をしてくれた。

 

 どうもあいつ、ザ・ヒーローに仕えてた仲魔だった時代があったようで。

 こっそりと、ザ・ヒーローのナマの話をしてくれて。

 好きだったよ。

 

 屋敷の使用人たちも……俺を仲間と認めてくれて。

 

「畜生……」

 

 声が震えて、涙が溢れた。

 止めようとしても止まらない。

 

 悔しさと悲しさがぐちゃぐちゃに混ざって、喉が詰まる。

 

 俺は拳を握り潰すように締めて、映像を睨みつけた。

 

 そのとき、俺の手にそっと手が置かれる。

 ライドウの手だった。

 

 彼も少し震えていた。

 ライドウだって平静ではいられないのか……

 

「ライドウ……」

 

「私も悲しい。ただ、今は控えろ」

 

 ……そりゃそうだな。

 今は公の場だ。

 

 俺は涙を拭った。

 

 ライドウの手が離れる瞬間、妙に寂しく感じた。

 その後、壇上の男性から、この事件で影響を受けたテンプルナイト……ようは俺たちに、今後のことについての連絡があり。

 

 そこで解散となった。

 

「サダハル」

 

 ライドウがそう言って歩き出す。

 俺は黙ってその隣を歩く。

 

「これまでは同室だったが、これからは別室だな」

 

「そうだな」

 

 個人の部屋は欲しいとは常々思っていたけど。

 それがまさか、こんな形で叶うなんてな。

 

「とりあえず私はファクトリーの件を報告するから、今日はここでお別れだ」

 

 また明日会おう。

 今日はゆっくり休め。

 

 ライドウはそう本当に無感情に言い

 

 足早に去って行く。

 

 ライドウ……

 

 彼も1人になりたいのかもしれない。

 このことを1人で受け止めたいのかもしれないよな。

 

 俺は遠ざかって行くその背中を見つめて。

 そんなことを考えた。




ガイア教徒は酷い奴らですね(棒

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