TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第34話 ホーリータウンでの日々

 それから数日が過ぎた。

 

 新しい部屋。

 新しい環境。

 

 本来なら気分が晴れやかになる状況なのかもしれないけど。

 そんな気分にはなれなかった。

 

 ヴァルハラエリアでは、わりと任務の頻度は多かった気がするが、ここホーリータウンでは今のところ1件も任務が下りて来てはいないんだ。

 

 そして日々訓練。

 ヴァーチャルトレーナーで仮想的に実戦経験を積み、マシンジムで各種身体能力の向上を目指し。

 それに没頭した。

 

 そうしないと、なんだか落ち着かなかったんだ。

 

 ……しかし。

 一向に、ガイア教徒への報復命令が来ないな。

 

 噂話だけど、アイツらの本拠地は地下の世界にあるらしい。

 このTOKYOミレニアムの地下には、昔の東京の街が広がっていて。

 

 ガイア教徒は、そこの上野の街が本拠地で、そこから来ていると。

 俺はだいぶ前に、スラムの噂話で聞いていた。

 

 真実かどうかは確かめてはいないけど、なんとなく俺はそれを信じていたのだけど……

 

 一向に、そういう命令が来ないんだ。

 内心「これで噂が真実かどうかがハッキリする」と、ある種の期待感みたいなものもあったのに。

 

 センターは何を考えてんだ?

 ヴァルハラエリアを消滅させた奴らなんだろ?

 苛立ちが日に日に募っていく。

 

 あと少し、不信感も。

 

 でも俺は

 

「センターも状況を把握しきれていないのかもな」

 

 自分にそう言い聞かせて、無理やり納得させようとした。

 

 

 

 仕事が無いのでライドウと組んで訓練する機会も増えた。

 ライドウはやはりすごい奴だと思う。

 

 剣の腕は俺より遥かに上だし。

 頭もキレる。

 

 ……でも。

 

 彼がセンターに忠実なテンプルナイトである姿を見るたび、俺の胸がざわつく。

 

 ライドウは本当にこれでいいと思ってるのだろうか?

 

 ある夜、訓練を終えて部屋に戻る途中、俺はライドウに聞いてみた。

 

「なあ、ライドウ」

 

「何だいサダハル?」

 

 シャワー後だからか。

 涼しくするために薄着の彼。

 

 上はタンクトップだけ。

 綺麗なラインの鎖骨が覗く。

 

 俺は

 

「ガイア教徒への報復はまだなのか?」

 

 その言葉に彼は

 

「それを決めるのは私ではない」

 

 全く淀みなくそう返した。

 

 俺はその冷たい返事に、少し苛立ちと寂しさが混ざった気持ちになった。

 ライドウは報復を待ち望んではいないのか。

 

 ……俺と一緒に、あそこで仕事をこなしていたはずなのに。

 

 そう思い、俺は

 

「そうかよ……」

 

 小さく呟いて、それ以上は訊かなかった。

 

 ライドウの方も、それ以上何も言わず歩き出す。

 俺はその背中を見送りながら、ある種の悔しさを感じていた。

 

 同じ気持ちで無いんだろうか……?

 本当に……?

 

 

 

 次の日も、その次の日も、訓練は続く。

 でも、報復の話は出ない。

 

 俺の不信感はどんどん大きくなって、夜も眠れなくなってきた。

 

 ……俺だけなのか?

 こんな状態になっているのは?

 

 ライドウは変わらない。

 毎日、同じことを続けている。

 

 ……そして俺は。

 

 ある日、耐えられなくなってきた。




同じことの繰り返しは辛いわな。

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