TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第38話 ねんがんの

 アリババの言葉を聞き。

 

「……は?」

 

 俺の頭が真っ白になった。

 消去?

 市民が?

 

 アリババは俺の混乱を見て、さらに続けた。

 

「センター基準じゃ、私たち2級以下の市民は『不良品』なんだ。メシアの理想に合わない、歪んだ存在だってさ。センターは自分たちの支配を完璧にするために、不良品を切り捨てるつもりなんだよ」

 

「不良品……?」

 

 怒りと恐怖が一気に溢れてきて、俺は震えた。

 俺たちが不良品?

 センターに行けないから?

 

 マダムも、ケルベロスも、使用人たちも……みんな、そんな理由で死んだのか? 

 

「ライドウに教えなきゃ……!」

 

 思わず口走った瞬間、アリババが鋭く遮った。

 

「止めろ!」

 

「……何でだよ!?」

 

 俺が食い下がると、アリババは目を細めて俺を見た。

 

「それをすれば、助けるどころかお前が密告されて抹殺される可能性がある。そのライドウってのはテンプルナイトだろ? きっとセンターに忠実なやつだ。真実を話した瞬間、お前が危険になるかもしれないんだよ」

 

「ライドウがそんなことするはずない!」

 

 俺は反射的に叫んだ。

 

 ライドウは俺を救ってくれた。

 冷めてるけど優しいやつだ。

 

 そんな裏切りなんて……。

 

 でも、アリババの言葉に「もしも」が頭をよぎった。

 

 もし、ライドウがセンターの命令を選んだら?

 もし、俺が不良品として扱われたら?

 そんな考えが、頭の中から消えない。

 

「……どうすればいいんだよ」

 

 俺の声が小さく震えた。

 アリババは少し黙ってから、優しい口調で言った。

 

「サダハル。私はお前を助けたい。だから……」

 

 彼女は鞄から何かを取り出した。

 

「まずはこれを受け取ってくれ」

 

 それは手装甲のようなデバイス──アームターミナルだ。

 戦闘する人間がつける電子武具で、その役割は本来は装着者への助言や警告……

 そしてアレフの場合は、別の役割もある。

 

 アリババはそれを俺に差し出しながら、少し自慢げに。

 

「これに、なんとか必死こいて自作したお手製の悪魔召喚プログラムが入ってる。これがあれば、お前なら何かできるかもしれないよ」

 

 ……えっ?

 

 マジか……?

 

 そもそも、俺が欲しがっていたもの。

 それを、彼女が自作したってのか……?

 

 俺はそれを受け取って、じっと見つめた。

 ここに、アレフの振るう力と同じものがインストールされている……!

 手が震えた。

 

 マジか、マジか……!

 

「ありがとう……アリババ、俺はどうしたら……?」

 

「それはお前が自分で考えてくれよ。私はただ、そのための手段を渡しただけさ。……とりあえず、今日の用件はこれで終わりだ……」

 

 では、サラダバー。

 

 そう言いアリババが立ち上がって、軽く手を振った。

 俺は黙って頷き、アームターミナルを抱えた。まるで宝物のように。

 

 彼女がブースを出て、人混みに消えるのを見送り。

 俺は一人残される。

 

 センターの計画、ヴァルハラエリアの役目、そしてライドウ……!

 

 俺の胸が締め付けられて、息が苦しい。

 

 俺の振る舞いひとつで、ライドウが敵になるかもしれないのか。

 その想像をすると、辛すぎて息が荒くなる。

 

 それは、単なる戦友との友情の危機に対する反応じゃなかったかもしれない。

 あまり深くは考えなかったけど。

 

 俺はアームターミナルを持参した鞄に突っ込んで、ムーンライトを出た。

 ……ライドウ……

 

 お前だったら今日耳にしたこの事実を、どう考えるんだ……?




ねんがんのあくましょうかんぷろぐらむをてにいれたぞ!

そう かんけいないね
殺してでも うばいとる
ゆずってくれ たのむ!!

これにて第5章は終了。
次回から第6章です。

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