TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話 作:XX(旧山川海のすけ)
「くそっ、何だよこれ……」
全然上手くいかない。
力押しもダメ、友好的に行ってもダメ。
どうすりゃいいんだ?
何か致命的な間違いがあるのか……?
なのでメニュー画面を呼び出して確認をした。
すると……
『幽鬼という種族は、性質が邪悪な者が多く、ダーク属性に分類されます。よって会話で仲魔にするのはほぼ不可能です』
質問を打ち込んだら、そんな回答が返って来た。
ダーク属性……?
そういや、会話で仲魔に出来る悪魔は、人間と対等に会話する気がある者のみ。
人間を愚かな存在と軽蔑している高位存在や……
人間はただの餌であり、それ以上の価値は無いと考えている悪鬼に分類される者は会話出来ない。
あの2体はそれだったのか。
……あったよ。
致命的な間違い。
そのとき、背後から軽い声が響いた。
「そこのクソザコオニーサン、何を辛気臭い顔をしているの?」
振り返ると、また別の悪魔が居た。
蟲のような羽根の生えた、体長30センチくらいの小さい少女。
それで青いラバースーツみたいな衣装を身に纏った悪魔……妖精ハイピクシーだ。
昔は普通のピクシーってのも居たらしいんだけど。
今はこのハイピクシーしか居ない。
髪の毛の色が銀色で、逆立ってる。
ピクシーはもっと可憐な感じらしいんだけどな。
妖精か……
妖精はイケたハズ……
さっきあげたダメな事例には含まれないハズ。
だからもう1回、俺は挑戦した。
「俺の仲魔にならないか?」
俺の単刀直入な呼びかけに。
ハイピクシーは空中でクルッと回って
「ふーん、オニーサン面白そう。でもさ、アタシ、タダじゃヤダよ?」
そう言って笑う。
……そこから要求の嵐が始まった。
「マッカをちょうだい!」
「マグネタイトをちょうだい!」
「プレゼントしてちょうだい!」
次から次へと出てきて、俺は呆れを通り越して苛々してきた。
要求が多過ぎる。
でも、文句をつけたら逃げていきそうな空気アリアリだしな……
(これじゃグールと変わんねえだろ……。この交渉もダメかも)
そう思ったとき、ハイピクシーが「もう1回マッカちょうだい!」と言って来た。
そこで俺は
閃くものがあった。
俺は財布を探り、1000マッカ硬貨を1枚取り出した。
マッカは元々魔界の通貨で、今の社会の黎明期から人間界でも流通しはじめたお金だ。
それは金貨で、裏面にはマッカを象徴するマーク、表面には額が刻まれてる。
それを目にしたハイピクシーの目がキラッと光った。
「オニーサン、それくれるの!?」
俺はニッコリ微笑んで、こう言った。
「ああ、条件はあるけどな」
……力押しも友好もダメなら、別の方法だ。
スラム時代に覚えた技がある。
イカサマだ──コイントスの。
俺はハイピクシーに提案する。
「……賭けをしようぜ。この1000マッカ硬貨でコイントスする。お前が裏表を当てたら、この硬貨をやる。でも外したら、何も言わずに俺の仲魔になれ」
ハイピクシーは興奮していた。
ゲームは好きらしい。
「えー、マジで?」
だけど
「でも面白そうだけど……怪しいなあ」
迷う、というかこっちを疑っている。
そう来るだろうと思っていたから俺は硬貨を見せて
「事前にチェックしていいよ。イカサマなしだ」
と笑顔で言った。
ハイピクシーは近づいて硬貨を手に取り、裏表を確認する。
「ふーん、なんも仕掛けないね。……まぁいいよ。じゃあ、私、裏に賭ける!」
「分かった。行くぞ」
よっしゃ。
俺は硬貨を指で弾き、高く放った。
空中でクルクル回る金貨を、ハイピクシーが目を輝かせて見つめてる。
だが、俺は内心ニヤリとした。
スラム時代に鍛えた技だ。俺はこれで出る面が操れるんだよな。
鍛えまくったんだよ。イカサマ師が知り合いにいたからな。
俺は表が出るように狙って……
硬貨が落ちてきて、俺の手の甲に着地。それを素早く手で覆い、ゆっくり開くと……
表面に「1000」の数字が光ってた。
「表だ。俺の勝ち」
「……ああー!? 残念!」
ハイピクシーが悔しそうな声を上げて飛び回る。
俺は硬貨を財布に戻し、アームターミナルのキーを弾き。
「約束だ。何も言わずに俺の仲魔になれ」
空中に、悪魔召喚契約を結ぶための契約同意書を投影する。
この書類に悪魔が真の名前をサインすると、契約が結ばれて、その悪魔は召喚士の仲魔になるんだ。
ハイピクシーはしばらく悔しがってたけど、やがて
「約束だからね、オニーサン。契約するよー」
そしてハイピクシーは契約同意書の署名欄に触れて、指を走らせる。
するとアームターミナルに契約中の悪魔の名前として
『妖精ハイピクシー』
が登録された。
「よろしくな、ハイピクシー」
……やったぞ!
俺ははじめての契約交渉の成功に、身体が震えた。
そして俺の仲魔になったハイピクシーは
「オニーサン、名前は?」
俺の名前を訊いてきたので
俺は
「サダハルだ」
答える、
ハイピクシーはそれを聞き
「今後ともよろしくサダハル―!」
そう、本当に嬉しそうに俺に契約の挨拶をした。
ハイピクシーはあとのシリーズだとそれなりに強いんだけどねぇ。
本作を読んでいただき感謝です。
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