TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話 作:XX(旧山川海のすけ)
ホーリータウンの自室は静かだ。
ヴァルハラエリアではマダムの館以外は喧騒に包まれていたが、ここは違う。
本質的な騒がしさが無いから。
俺はベッドに腰を下ろし、アームターミナルを装着し、契約中の仲魔のリストを眺めていた。
妖精ハイピクシー
地母神タウエレト
大天使ラミエル
破壊神アレス
……充実してきた顔ぶれに、少し誇らしい気持ちが湧く。
ホーリータウンから、ファクトリーにまで足を延ばし、かき集めた仲魔を合体させて得た結果だ。
「これはきっとライドウにはまだ及ばないが……でも、イイな」
しかし、その裏でもどかしい気持ちがある。
あいつにこの力を見せたいのに、言えないこの現実。
そしてアームターミナルを外して、携帯端末で公式放送を見ていた。
ニュース番組だ。
『今日のミレニアムの悪魔注意報ですが……』
キャスターが日々のくだらないニュースを読むために原稿を手にしていたのだけど。
突然、人が駆け込んできて、別の原稿を手渡して来たんだ。
……一体何だ?
わけがわからず、俺がその成り行きを見守っていると。
キャスターがこう言って来たんだ。
『……緊急ニュースです。テンプルナイト筆頭騎士・ザインがセンターを裏切りました』
……え?
あのザインが?
弱い悪魔なら、素手で仕留められるって噂の、あのテンプルナイト最強の男の?
骨格が太くて、髪も短く、実直で真面目を絵に描いたような武人の?
直接会ったことはないけれど、ライドウの口からその凄さは何度も聞かされて来てて。
間違いなく一流の戦士。
それがセンターを裏切った?
マジなのか……!?
俺がそう狼狽えていると
『ザインはTOKYOミレニアムを崩壊に導こうと、デマを撒き散らしているようです。市民の皆様、決して耳を貸しては……』
キャスターの呼びかけ途中で。
突然画面が乱れ、ニュース番組が別のものに切り替わった。
……問題の裏切りのテンプルナイト・ザインの姿を映す映像に。
ザインはテンプルナイトの制服を着て、カメラの前に立っていた。
そして強い決意を秘めた目で、じっとこちらを見つめ。
語り出した。
『ミレニアムを治めるセンターの真のねらいを明かそう』
ザインの声が低く響く。俺は息を呑んで画面を見つめる。
『センターは平和な千年王国を造ると言っているが、それは一部の選ばれた人間だけが生きる世界だ。ミレニアムは千年王国へ行ける人間を選び出すために造られた。それが終わると、ミレニアムは用無し……全て破壊される! ヴァルハラ・エリアは用が無くなったため、魔王アバドンに飲み込まれ消滅した。それは明日の全てのエリアの運命だ……』
やっぱりか。
俺はそう思った。
アリババの言葉が頭をよぎる……
センターが首謀者だって話は、本当だったんだな……
そして、ザインはさらに続けた。
『ファクトリーが特にひどい。労働者は悪魔が歌う歌の力で無理矢理勤労意欲を引き出され、働きが期待値に達していない者はスレイブに改造される!』
これもやっぱりか。
俺はあのときの経験を思い出す。
機械と思われたスレイブに脳があり、倒した後に悪霊レギオンが生まれたときの、あの経験を……
そのときだった。
ノックも無しにドアが勢いよく開いた。振り向くと、ライドウが息を切らして立ってた。
そのいつも冷静な目を混乱と動揺、焦りで揺らし、青褪めた表情で……。
センターの本性を知ったライドウは……?
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