TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話   作:XX(旧山川海のすけ)

46 / 116
第46話 最後の番人

『サダハル! やっと見つけたよー!』

 

「……アリババ!?」

 

 俺が驚いて叫ぶと、ライドウが俺を見る。

 その視線に説明を求める気配を感じて、俺は慌てて口を開いた。

 

「ライドウ、こいつはアリババだ。俺の知り合いのハッカーで、ヴァルハラエリアの頃からの付き合いなんだ。俺のこのアームターミナルをくれたのもこいつだよ」

 

「ああ……そうなのか」

 

 俺はライドウにはすでにアームターミナルのことは話していた。

 だから少し驚いていた

 

 ライドウは少し眉を寄せて「この人物が……」と呟き、アームターミナルに目を向ける。

 通信越しにアリババが軽い調子で笑う。

 

『初めましてー、ライドウさん! サダハルの相棒って聞いてたけど、サダハルを選んでくれたんだな!』

 

 ライドウは一瞬戸惑ったように黙る。

 相棒なのに、俺を選ぶ。

 ちょっと聞くと変に聞こえるけど。

 俺たちの状況は、まさにそんな感じだな。

 

 俺と一緒に、センターに背を向ける選択肢を選んだんだから。

 

 ライドウはそれに小さく咳払いして答える。

 

「初めまして、アリババ。総合的に判断してそうなっただけだけどね」

 

『ツンデレかなぁ? でもまぁ、サダハルについて来てくれたならそれで良いんだけどさ!』

 

 アリババの軽い言葉に、俺の顔が熱くなる。

 ライドウがチラッと俺を見て、微かに口元を緩めるのが見えた。

 

 そのとき、ホーリータウンの宿舎でキスしたことを思い出す。

 ……少し、恥ずかしくなった。

 

 そんな俺たちの気持ちに気づかずに

 

『何だか大変そうだな? そのトビラ、私に任せてくれ。ちょちょいのちょいだ』

 

 アリババの声が弾む。

 すると空中投影されている画面にハッキングコードが流れ出し、ものすごい速さでパスコードが解析されていく。

 俺は呆気に取られてたけど、ライドウが「頼もしい助っ人だな」と呟いた。

 

 数秒後、ハッチの端子が緑に光り、重い音を立てて扉がゆっくり開く。

 中から冷たい風が吹き上がってきて、暗い階段が地下へと続いていた。

 

「アリババ、助かった!」

 

 俺が感謝を言うと、彼女は笑いながら

 

『礼には及ばんぞ! でもサダハル、気をつけろよ。地下世界はマジモンの無法地帯だからな』

 

 と軽い調子で返してきた。

 

『ではサラダバー』

 

 その通信が切れると、俺とライドウは顔を見合わせた。

 

「無法地帯……」

 

 ライドウが呟き、俺は頷いた。

 

 この先の世界は、メシア教が支配していない場所。

 そこにあるのはきっと、混沌の世界……力の世界だ。

 

 階段の先は真っ暗で、何が待ってるか分からない。

 でも、ガイア教徒の言い分を聞くには、ここを通って地下世界の上野に行く必要がある。

 

 だから

 

「行くぞ、ライドウ」

「ああ、サダハル」

 

 俺たちは互いに背中を預けるように、地下への階段を降り始めた。

 ライドウの足音がすぐ後ろで響いてて、それが妙に安心感を与える。

 

 階段を降りると、冷たい空気が全身を包んだ。

 

 地下は湿っぽくて、カビ臭い匂いが鼻をつく。

 俺はアームターミナルを操作し、地図作成機能を起動した。

 

 画面に薄い光が広がり、周囲の構造が少しずつ描かれていく。

 

 狭い通路が複雑に絡み合ってて、まるで迷路だ。

 

 ライドウが「進む方向は分かるか?」と聞く。

 俺は地図を見ながら、「とりあえず奥に進むしかないみたいだ」と答えた。

 

 通路を進むたび、足音が反響して不気味に響く。

 

 アームターミナルの地図が頼りで、暗闇の中で道を切り開いていく。

 どれくらい歩いたか分からない頃、遠くに光が見えた。

 俺とライドウは足を速め、その光の先にたどり着いた。

 

 そこは広い空間だった。

 中央に巨大な門がそびえてて、それは地下世界への入り口らしきものだ。

 

 でも、その前に立ちはだかる存在が俺たちを止めた。

 

 車に似た姿……4つの車輪がついた櫓、いや、山車か?

 その山車には異様な特徴があった。

 

 知性に溢れた男性の顔、獅子の顔、牡牛の顔、鷲の顔。

 そこに、4枚の大きな翼がくっついている。

 

 ……悪魔だ。

 

「……あの様子では隙がないな。顔が4つあるから前後左右全てに視界がある」

 

 ライドウの言葉に、俺は頷いた。

 確かに、どの方向から近づいても見つかりそうだ。

 

 アームターミナルでスキャンすると、「天使ケルビム」と表示された。

 

 ということは、メシア教団、つまりセンターの手先……!

 

 俺はライドウと目を合わせて、小声で言った。

 

「倒すしかないな」

 

「ああ、そうだな。サダハル、行こう」

 

 俺たちの声には怯えは無かった。

 俺たち2人ならなんとかなる。

 

 そんな、強い想いがあったから。




真2には登場悪魔にケルビムはいないんよ。

正確には敵として。

本作を読んでいただき感謝です。
続きが気になる、面白かった。
その場合は評価、お気に入り、コメント等を頂けますと嬉しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。