TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話 作:XX(旧山川海のすけ)
「なぁ、あなたたち。この後楽園闘技場、初めてみたいだね。ひょっとして地上世界から逃げてきたクチ?」
その質問に、俺は一瞬言葉に詰まった。
どう答えりゃいいんだ?
ライドウが冷静に「どう見える?」と返すと、女はクスクス笑った。
「隠さなくていいよ。上の世界の匂いがプンプンする。異端審問でもされたのかい?」
異端審問って言葉に、俺は少し身構えた。
センターの追手が来てるわけじゃないけど、確かに俺たちは逃亡者みたいなもんだ。
どう答えようか少し思案して、俺は正直に言うことにした。
「……ああ、ファクトリーの方から来た。どうしても上野に行かなければいけないんだ」
すると女が目を丸くして「ファクトリーからのルートは番をしてる悪魔がいるから、無理って話だったんだけど……すごいね」と呟いた。
3つ目の目が俺をじっと見つめてて、ちょっと変な感じがした。
確かにケルビムを倒したのは奇跡に近いかもしれないけどさ、ここで自慢するつもりはない。
すると3つ目の女が
「上野に行ってどうするんだい? あそこはガイア教徒の街だよ?」
そんな女の問いに、俺は簡潔に答える。
「ガイア教徒に用があるんだ」
その答えに女はじっと俺を見つめて
「……ツテはあるわけ?」
そう、訊いて来た。
俺が「いや、特にない」と正直に言うと、彼女は少し呆れたように笑う。
そして教えてくれた。
「上野のガイア教徒はさ、価値のない奴は相手にしないよ。話をするには、自分が軽く見てはいけない存在だって分からせないとダメだね」
その言葉に、俺はライドウと目を合わせた。
ライドウが「サダハル、どうすればいいと思う?」と小声で聞いてくる。
ライドウが俺に意見を求めてくれている。
俺は少し嬉しく思い
少し考えて、思いつきで言った。
「じゃあ、上野のガイア教徒に戦いを挑むか?」
すると、ライドウは
「……話し合う相手と戦うのか? 悪いが、それはわけがわからないな」
「……確かに」
そりゃそうだ。もうちょっと考えた方が良いな、俺。
直接戦うのは論外。
でも……じゃあどうすりゃいいんだ?
俺とライドウは顔を見合わせて悩んだ。
ケルビムを倒してここに来たことは、証拠がないから使えんし……
そう、悩んでいたら。
3つ目の女が「だったらさ」と口を開いたんだ。
俺たちが注目すると、彼女はニヤリと笑って提案してきた。
「……3日後に、この闘技場で最大地下トーナメントが開かれるんだよ。そこで優秀な結果を出せば、ガイア教徒に対してハクがつくよ」
「最大地下トーナメント?」
俺が聞き返すと、女は頷いて詳しく説明してくれた。
「ああ、後楽園闘技場の年に一度の大イベントさ。腕自慢が集まって戦う。賭けもデカくなるし、勝ち上がれば名前が地下世界中に響く。上野のガイア教徒も注目してるから、そこでの実績があれば話くらい聞いてくれるよ」
ライドウが「なるほど」と呟き、俺に目を向けた。
「サダハル、どう思う?」
俺は少し考えて
「悪くないと思う。俺たち2人でエントリーして、どっちか片方が優秀な成績を出せばいいんだろ? ……きっとやれるさ」
俺の答えにライドウが頷き「そうだな」と返してくれた。
女は俺たちの決断に笑顔を見せて
「じゃあ、3日後にまたここで会おうじゃないか。縁が出来たわけだし、応援するよ。私の名前はミドリ。あんたらは?」
そう、俺たちの名前を訊いて来た。
俺たちは
「サダハル」
「葛葉ライドウだ」
名乗り、右手を差し出した。
女は自然にその手を取ってくれた。
……普通の人たちだな。
おれはその女・ミドリの振る舞いにそう思い。
こんな人たちの存在を認めず、排斥しているセンター……
間違ってるよな……。
次回、地下最大トーナメント開幕
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