TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第50話 地下世界の人たち

「なぁ、あなたたち。この後楽園闘技場、初めてみたいだね。ひょっとして地上世界から逃げてきたクチ?」

 

 その質問に、俺は一瞬言葉に詰まった。

 どう答えりゃいいんだ?

 ライドウが冷静に「どう見える?」と返すと、女はクスクス笑った。

 

「隠さなくていいよ。上の世界の匂いがプンプンする。異端審問でもされたのかい?」

 

 異端審問って言葉に、俺は少し身構えた。

 センターの追手が来てるわけじゃないけど、確かに俺たちは逃亡者みたいなもんだ。

 どう答えようか少し思案して、俺は正直に言うことにした。

 

「……ああ、ファクトリーの方から来た。どうしても上野に行かなければいけないんだ」

 

 すると女が目を丸くして「ファクトリーからのルートは番をしてる悪魔がいるから、無理って話だったんだけど……すごいね」と呟いた。

 3つ目の目が俺をじっと見つめてて、ちょっと変な感じがした。

 確かにケルビムを倒したのは奇跡に近いかもしれないけどさ、ここで自慢するつもりはない。

 

 すると3つ目の女が

 

「上野に行ってどうするんだい? あそこはガイア教徒の街だよ?」

 

 そんな女の問いに、俺は簡潔に答える。

 

「ガイア教徒に用があるんだ」

 

 その答えに女はじっと俺を見つめて

 

「……ツテはあるわけ?」

 

 そう、訊いて来た。

 

 俺が「いや、特にない」と正直に言うと、彼女は少し呆れたように笑う。

 そして教えてくれた。

 

「上野のガイア教徒はさ、価値のない奴は相手にしないよ。話をするには、自分が軽く見てはいけない存在だって分からせないとダメだね」

 

 その言葉に、俺はライドウと目を合わせた。

 ライドウが「サダハル、どうすればいいと思う?」と小声で聞いてくる。

 

 ライドウが俺に意見を求めてくれている。

 俺は少し嬉しく思い

 

 少し考えて、思いつきで言った。

 

「じゃあ、上野のガイア教徒に戦いを挑むか?」

 

 すると、ライドウは

 

「……話し合う相手と戦うのか? 悪いが、それはわけがわからないな」

 

「……確かに」

 

 そりゃそうだ。もうちょっと考えた方が良いな、俺。

 

 直接戦うのは論外。

 でも……じゃあどうすりゃいいんだ?

 

 俺とライドウは顔を見合わせて悩んだ。

 ケルビムを倒してここに来たことは、証拠がないから使えんし……

 

 そう、悩んでいたら。

 

 3つ目の女が「だったらさ」と口を開いたんだ。

 俺たちが注目すると、彼女はニヤリと笑って提案してきた。

 

「……3日後に、この闘技場で最大地下トーナメントが開かれるんだよ。そこで優秀な結果を出せば、ガイア教徒に対してハクがつくよ」

 

「最大地下トーナメント?」

 

 俺が聞き返すと、女は頷いて詳しく説明してくれた。

 

「ああ、後楽園闘技場の年に一度の大イベントさ。腕自慢が集まって戦う。賭けもデカくなるし、勝ち上がれば名前が地下世界中に響く。上野のガイア教徒も注目してるから、そこでの実績があれば話くらい聞いてくれるよ」

 

 ライドウが「なるほど」と呟き、俺に目を向けた。

 

「サダハル、どう思う?」

 

 俺は少し考えて

 

「悪くないと思う。俺たち2人でエントリーして、どっちか片方が優秀な成績を出せばいいんだろ? ……きっとやれるさ」

 

 俺の答えにライドウが頷き「そうだな」と返してくれた。

 女は俺たちの決断に笑顔を見せて

 

「じゃあ、3日後にまたここで会おうじゃないか。縁が出来たわけだし、応援するよ。私の名前はミドリ。あんたらは?」

 

 そう、俺たちの名前を訊いて来た。

 俺たちは

 

「サダハル」

 

「葛葉ライドウだ」

 

 名乗り、右手を差し出した。

 女は自然にその手を取ってくれた。

 

 ……普通の人たちだな。

 おれはその女・ミドリの振る舞いにそう思い。

 

 こんな人たちの存在を認めず、排斥しているセンター……

 

 間違ってるよな……。




次回、地下最大トーナメント開幕

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