TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第57話 ライドウの真実

「時間だ」

 

 案内される。

 廊下を歩き、エレベーターに乗り。

 最上階。

 

 

 黒い扉があり、トキがそこでノックする。

 

「ゴトウ様。トキです」

 

「入れ」

 

 その声を聞き扉を開き、中に入る。

 

 そこにあったのは畳敷きの広い部屋で。

 その中央に(ふんどし)姿の男が居た。

 白い(ふんどし)以外何も身に着けていない。

 

 仏頂面の男性で頭髪は少ないが、その身体は限界まで鍛え上げられている。

 左手に鞘に納まった日本刀を握り、堂々と胡坐をかいて座っていた。

 

「よく来たな若人よ」

 

 声は力強い。年齢は若くない感じなのに。

 

「私がゴトウだ。会えて嬉しいぞ」

 

 この男がガイア教団の最高指導者……!

 俺は喉が乾いたけど、なんとか言葉を絞り出す。

 

「サダハルです。ガイア教の話を聞きたくて来ました」

 

 ライドウも落ち着いて続ける。

 

「葛葉ライドウです」

 

 ゴトウは俺たちをじっと見て、ゆっくり頷いた。

 そして、良く分からないことを言った。

 

「……まさかライドウの名を継ぐ者がここに来ようとはな」

 

 その言葉には怒りとも、喜びとも、正負の感情の判別がつかないものが込められていて。

 

 俺は

 

「ゴトウ様、あなたは葛葉ライドウをご存じなのですか?」

 

 真っ直ぐに聞いたんだ。

 ライドウに任せるのは忍びなかった。

 

 自分のことが分からないなんて、辛すぎるだろ。

 

 ライドウは何も言わない。

 そしてゴトウはそんな彼を見つめ

 

 ハッキリとこう言ったんだ。

 

「……20代目の葛葉ライドウは、ガイア教団と共闘関係にあったのだ」

 

 ……20代目……?

 

 

 

「20代目ですか……?」

 

 ちょっと待てよ。

 多分、この人の言ってる20代目って、この100年以内の人のことだろ……?

 それより前なら、ガイア教が旧世界の政府と共闘関係になるわけがないんだ。

 

 だってガイア教徒はおおよそ文明社会と呼べるものを形成できない連中だったんだぞ!?

 

 だからザ・ヒーローが全てを叩き潰した後、メシア教徒と1から競り合って、結果選ばれずに負けてしまったんだから。

 

 そうすると、葛葉ライドウの名はおよそ100年の間に20回代わったことになる。

 いや、もしかしたらもっと短いスパンかもしれない……!

 

 異常だ。

 異常過ぎる……!

 

 それって……!

 

 ゴトウは俺の動揺を、その理由を察したのか大きく頷いた。

 

「そうだ」

 

 そして言ったんだ。

 

「……20代目を卑劣な手段で倒した後、その死体を連中は回収した……」

 

 おおよそ、最悪で最低で、醜悪極まりないその真実を。

 

「そしてそこから……旧世界の旧政府をメシア教が飲み込んだトロフィーとして誇るためにクローンを作ったのだよ」

 

 トロフィー……!

 

 旧世界の旧政府に仕える戦士のクローンを作り、自分たちのために戦う忠実な戦士に仕立て上げる……!

 およそヒトとしての良心が欠如した、最低過ぎるマウンティング……!

 

 クズだ……!

 クズ過ぎる……!

 

 俺はこの瞬間、本当の意味でメシア教を見限った。

 

 ガイア教徒の言うことを鵜呑みにするのか?

 

 ……ライドウ自身が自己申告した代数が物語っているだろ……!

 

 ライドウは40代目と言った。

 そして倒された旧世界の戦士・葛葉ライドウは20代目……

 

 ……20代だ。

 20代の開きがある!

 

 なんでそうなのか、想像すればすぐに分かる。

 おそらく、少しでもメシア教に反抗的だと感じたら、殺処分することを繰り返して来たんだ。

 なので20代も増えてるんだよ……!

 

 もし、ゴトウがライドウを騙す気なら、37代目とか、そういう「ありそうな数字」を出して来るはず。

 そうじゃないんだ。

 

 だったら……それはそういうことだ!

 

 センターの奴らがライドウを殺すたびに代数を増やして来た理由はハッキリとは分からない。

 同じ代数だと、同じ結果になると思ったからか……?

 

「メシア教なんてこの世にあるべき宗教じゃ無い! 最低最悪の邪教だ!」

 

 思わず俺は叫んでいた。

 ライドウが……ライドウが……!

 

 俺はライドウに視線を向ける。

 ライドウは……

 

 真っ青になっていた。

 あのライドウが……!

 

 いつでも冷静なライドウが……!

 

「ライドウ、俺が味方だから……!」

 

 気がついたら。

 俺はライドウを強く抱きしめていた。

 

「サダハル……君は優しいな」

 

 そしてライドウが俺を抱き返して来た。

 

 ……その様子を。

 ゴトウとトキは、黙って見続けていてくれた……。




ちなみにゴトウの口から説明させる気が無いので書きますが。
20代目が敗れたのは、大洪水を人質に取られて、全ての仲魔を廃棄させられたからです。
まあ、20代目を討ち取った後に、予定通り東京を水の底に沈めたんですけどねー
(異教徒との約束なんて守る価値ねぇし)

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