TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話 作:XX(旧山川海のすけ)
「……すまない。取り乱した」
ライドウが落ち着いた。
その言葉でゴトウは頷く。
「構わん。それぐらいは私にも理解できるつもりだ」
言って立ち上がる。
その堂々とした振る舞い……
俺は思わず、頼もしさを感じてしまう。
そして俺は。
もはや通過儀礼のような感覚で。
この、地上から抱えて来た疑問をぶつける。
「ゴトウ様……ガイア教徒が魔王アバドンを召喚し、ヴァルハラエリアを飲み込ませたと言う話は真実ですか……?」
地上で公式で報道された、メシア教徒が撒き散らす自称「真実」……。
俺のその言葉に
ゴトウの目が鋭く光り、首を左右に振る。
「……ヴァルハラエリアには、潜伏しているガイア教徒も居たのだ……するはずがなかろう」
俺はその言葉を信じた。
ゴトウの言葉は、説得力がある。
確かにあのエリアにはガイア教徒が多数潜伏し、布教行為を行っていた。
それなのに、アバドンに飲み込ませたのはおかしい。
……まあ、それ以前の問題だけどな。
俺はもうすでに、センターの奴らを全く信用していなかった。
「なら、誰がアバドンを?」
……我ながら白々しいというか。
そんな俺の問いにゴトウはそこではじめて冷たく笑い、話を続けた。
俺が形式上訊いていることに気づいていそうだな。
「……メシア教団がどれだけ狂気に満ちているか、諸君たちは知るべきだ。まず、奴らは大破壊を起こし、旧世界を終わらせた」
それはトキから聞いた。
別に疑っていないけどね。
だけど……
「……そしてその30年後。今度は大洪水を呼び、荒廃した東京を完全に壊滅させた。大破壊を生き残った人々を、海に沈めて抹殺したのだ」
その次の話は。
……その可能性を今まで考えていなかった自分を恥じさせた。
センターが教えてる歴史では、東京が邪心に満ちた罪深い場所になったから、神の裁きが下って東京湾から大水が流れ込み、東京は海に沈んだ……そういうことになっていた。
……そして俺は、その話を今まで疑っていなかった。
冷静に考えれば、気づきそうなものなのに。
アイツらが言う神の裁きは、全てアイツら自身が行った虐殺だってことを!
だけどそのとき
「だが……我々も反省せねばならない。力の論理を唱え、人心を捉える努力を怠り、一握りの力ある者の望みを完全に叶えることに腐心し……」
ゴトウの声のトーンが変わる。
「結果ザ・ヒーローに見限られ、その後の世界を立て直す役目を担うチャンスもフイにして、再びメシア教の復活を許してしまった……」
そのゴトウの声には重みがあった。
彼は言った。
「……我々も、今の状況を作った原因のひとつ。その責任までを奴らに押し付けるのは許されない。他責することからは進化は起きんのだ」
……流石この街を支配する組織の最高指導者。
その心持ちに俺は震えるものを感じた。
俺は
「……俺はガイア教に改宗します」
この人物に手を貸したいと思った。
それが、ライドウのためになると思ったんだ。
主人公、メシア教徒やめるってよ(そりゃな)
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