TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第58話 決断

「……すまない。取り乱した」

 

 ライドウが落ち着いた。

 その言葉でゴトウは頷く。

 

「構わん。それぐらいは私にも理解できるつもりだ」

 

 言って立ち上がる。

 その堂々とした振る舞い……

 

 俺は思わず、頼もしさを感じてしまう。

 

 そして俺は。

 もはや通過儀礼のような感覚で。

 

 この、地上から抱えて来た疑問をぶつける。

 

「ゴトウ様……ガイア教徒が魔王アバドンを召喚し、ヴァルハラエリアを飲み込ませたと言う話は真実ですか……?」

 

 地上で公式で報道された、メシア教徒が撒き散らす自称「真実」……。

 俺のその言葉に

 

 ゴトウの目が鋭く光り、首を左右に振る。

 

「……ヴァルハラエリアには、潜伏しているガイア教徒も居たのだ……するはずがなかろう」

 

 俺はその言葉を信じた。

 ゴトウの言葉は、説得力がある。

 

 確かにあのエリアにはガイア教徒が多数潜伏し、布教行為を行っていた。

 それなのに、アバドンに飲み込ませたのはおかしい。

 

 ……まあ、それ以前の問題だけどな。

 俺はもうすでに、センターの奴らを全く信用していなかった。

 

「なら、誰がアバドンを?」

 

 ……我ながら白々しいというか。

 そんな俺の問いにゴトウはそこではじめて冷たく笑い、話を続けた。

 俺が形式上訊いていることに気づいていそうだな。

 

「……メシア教団がどれだけ狂気に満ちているか、諸君たちは知るべきだ。まず、奴らは大破壊を起こし、旧世界を終わらせた」

 

 それはトキから聞いた。

 別に疑っていないけどね。

 

 だけど……

 

「……そしてその30年後。今度は大洪水を呼び、荒廃した東京を完全に壊滅させた。大破壊を生き残った人々を、海に沈めて抹殺したのだ」

 

 その次の話は。

 ……その可能性を今まで考えていなかった自分を恥じさせた。

 

 センターが教えてる歴史では、東京が邪心に満ちた罪深い場所になったから、神の裁きが下って東京湾から大水が流れ込み、東京は海に沈んだ……そういうことになっていた。

 

 ……そして俺は、その話を今まで疑っていなかった。

 冷静に考えれば、気づきそうなものなのに。

 

 アイツらが言う神の裁きは、全てアイツら自身が行った虐殺だってことを!

 

 だけどそのとき

 

「だが……我々も反省せねばならない。力の論理を唱え、人心を捉える努力を怠り、一握りの力ある者の望みを完全に叶えることに腐心し……」

 

 ゴトウの声のトーンが変わる。

 

「結果ザ・ヒーローに見限られ、その後の世界を立て直す役目を担うチャンスもフイにして、再びメシア教の復活を許してしまった……」

 

 そのゴトウの声には重みがあった。

 

 彼は言った。

 

「……我々も、今の状況を作った原因のひとつ。その責任までを奴らに押し付けるのは許されない。他責することからは進化は起きんのだ」

 

 ……流石この街を支配する組織の最高指導者。

 その心持ちに俺は震えるものを感じた。

 

 俺は

 

「……俺はガイア教に改宗します」

 

 この人物に手を貸したいと思った。

 それが、ライドウのためになると思ったんだ。




主人公、メシア教徒やめるってよ(そりゃな)

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