TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第62話 マシン兵士ライドウ

 トキが横から鉈で斬りかかるが、20代目の動きは速すぎる。

 鉈が空を切り、トキが「チッ!」と舌打ち。

 

 彼女自身は深追いをせず、彼女の仲魔・地母神イナンナがその腹部から火炎魔法を発射するけど。

 20代目は全く問題にせずそのスピリット剣で切り捨てた。

 戦況は全く良くなっていない……!

 

 死体のハズなのに、20代目の動きは生者そのものだった。

 

 

 ……この戦いをヘットは戦場から少し離れ、腕を組んで見物していた。

 だけど、突然右手を振った。

 声を発しながら

 

「うざったいですね!」

 

 すると、凶悪な威力の衝撃魔法が広場を襲う。

 アスファルトを抉り、転がる死体を吹き飛ばしながら放たれるそれ。

 

 咄嗟にトキの仲魔イナンナが立ち塞がり、それを受け止めるが……

 ヘットの怒声が飛んでくる。

 

「邪魔するなめんどくさい!」

 

 魔法と共に。

 次に左手を向け、輝く光……レーザー光線のようなエネルギー波を発射したんだ。

 それはイナンナも無効化できず

 

「アウウウウッ!」

 

 直撃を受けたイナンナが仰け反った。

 無貌の顔が歪み、トキが「イナンナ!」と叫ぶ。

 

「くそっ、あの女魔法使いかよ!」

 

 俺が叫ぶと、ヘットはうっとおしそうに

 

「防御、やめてくださいますか? 迷惑なので」

 

 そして続いて衝撃魔法を再び放って来た。

 

 彼女の魔法が次々と飛んでくる。

 衝撃波とエネルギー波の連撃に、俺たちの仲魔は徐々に押されていく。

 

 ライドウのフレスベルグがアイスブレスを浴びせるが、20代目のマントがそれを防ぎ。

 追撃のフェンリルのファイアブレスも躱される。

 

 戦いながら、俺は20代目の仮面をじっと見つめた。

 彼の仮面に覆われていない目には、何の光も無い。

 

 ……彼がセンターに改造されたマシン兵士だとしても、元になったのは葛葉ライドウの死体なんだ。

 そこに彼の魂の欠片が残ってるなら、こんな戦いを望んでるはずがない……!

 その悲哀に泣きたいほどの同情心と、煮えたぎるほどの怒りを感じる。

 

 その思いで俺の心が昂ぶる。

 その衝動のまま。

 俺は叫んでいた。

 

「20代目! 絶対にアンタを解放してやる! この辱めから抜け出させてやるからな!」

 

 その瞬間だった。

 

 20代目の剣が一瞬鈍ったんだ。

 

 緑の剣のオーラが揺らぎ、その目が微かに動いたように見えた。

 俺の言葉が届いたのか……?

 

 だが、ヘットがその変化に気づき、苛立った声で叫んだ。

 

「不具合ですか!? ったく使えないですね!」

 

 その叫びと同時に。

 ヘットの手が激しく光り、広場全体を白い閃光が包んだ。

 

 俺は目を覆い、ライドウが「サダハル!」と叫ぶ声がかすかに聞こえた。

 

 そして光が収まったとき。

 ヘットと20代目の姿は消えていた。まるで最初からいなかったみたいに。

 

「何……?」

 

 俺は呆然と呟き、剣を下ろした。トキが般若の面を外し、息を切らしながら広場を見回す。

 

「逃げたのか? それとも……」

 

 ライドウが剣を収め、低く言った。

 

「分からない……でも、この場からは消えたらしい」

 

 今、この広場には最下級信者の死体と、アシュラの折れた刀が散乱してるだけだった。

 危機は取り敢えず去ったのかもしれない。

 

 でもあの強さ……

 俺の脳裏に、20代目の出鱈目な剣技と、ヘットの凶悪な魔法の威力が浮かぶ。

 

 あれが、絶対に倒さなければならない相手なんだ。

 

 このままじゃダメだ……!

 

 もっと力をつけないと……!




マシン クグツライドウ
DARK-LAW

戦士 ヘット
DARK-LAW

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