TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話 作:XX(旧山川海のすけ)
ヘットと20代目を追い返した後。
俺とライドウは上野ビルの最上階、ゴトウの謁見の間に戻っていた。
20代目の悲劇が頭から離れない。
俺の胸には、彼を解放したいという決意が燃えていた。
でも、そのためには力が圧倒的に足りないんだ。
もっと自分を鍛え、さらにもっと強力な悪魔を仲魔にしないと……
ゴトウの謁見の間。
畳敷きの広間で
「……それは、大変だったな」
トキから広場であったことの報告を受け。
ゴトウは重々しくそう呟く。
「……よりにもよって、マシン化した20代目葛葉ライドウを、そのクローンの……不要な後継者処分役に回すとは」
つくづく、自分たちの欲望を追うあまり、大局を見据えられなかったガイア教の罪の深さ。
そこを思い知る思いだ。
同じことを繰り返してはならん……
2度と蘇らぬよう、その余地を与えぬように、ガイアの世界を構築せねば……
そうしなければ、ガイア教もこの世から消えるべしと言わざるを得ん。
……俺はそんなゴトウの言葉を、噛み締めるように聞く。
ここから先のガイア教は俺が切り拓く先にあるものなんだから……
肝に銘じないとな。
「ゴトウ様、俺はもっと強い悪魔と契約をしたい」
俺はそう自分の意志を口にする。
ゴトウ様は
「そういうことならば、ひとつ心当たりがある」
……なんでも。
トキの仲魔である地母神イナンナと対になる形で召喚した悪魔が、マグネタイトが足りないせいでスライム状態で現界したらしい。
その召喚に多大なコストを支払った関係上、帰って貰うわけにもいかず、その状態でこの上野ビル地下に封印しているそうだ。
その名は神獣ドゥムジ。
……イナンナと対になるんだから、おそらく相当強力なんだろうとは思うのだけど……
マグネタイトをどうやって集めてくるんだ?
まさか生きた人間を攫ってくるわけにもいかないし。
それを考えるのがこっちの仕事ってことか……
そして
「これからの話をしよう」
ゴトウの声は低く、部屋に重く響く。
ライドウが一歩進み出て、冷静に言った。
「ゴトウ様、センターを倒すには具体的な戦略が必要です」
ゴトウはゆっくり頷き、言葉を続けた。
「その通りだ。メシア教団の支配を打ち砕くには、まず仲間を増やさねばならん。ザインとアレフ。この二人を仲間に引き入れることが急務だろう」
ゴトウが言うには、ザインはセンターから指名手配の扱いを受けていて、アレフは地上世界から姿を消し、この地下世界に流れて来たという情報が入ってるとのこと。
その2人か……
ザインに関しては電波ジャックの映像を思い出す。
直接の面識はないけれど、仲間に入れられるのであればこんなに心強いことはない。
何せ最強のテンプルナイトだったはずだし。
だけど俺は
「我々はザインと面識はありません。そちらで何とかお願いできませんか?」
そう言った。
……厳しいかもしれないけどな。
センターに敵対してるからと、それ即ちガイア教に来るとは限らないんだし。
だから「任せてください!」とは言えなかったんだ。
代わりに
「アレフ……元メシアの方は我々でやってみます」
こっちは面識があるしな。
ただ、アレフが現在地下世界のどこにいるのかは分からないそうだ。
……後楽園闘技場で聞き込みをしてみるか。
あそこは地下世界中の人が集まるところだしな。
俺が頷くと、トキが静かに口を開いた。
「私はザインに接触できるかをやってみる。お前たちに面識が無いなら、私が行っても変わるまいし」
その言葉に、俺は少し驚いた。
トキはスカウトマンをしていたわけだし、適役なのかもしれない。
ゴトウが「頼む、トキ」と短く言い、俺たちも頷く。
こうして、俺たちの今後の方針が決まった。
後楽園闘技場に着くと、ドームは相変わらずの喧騒に包まれていた。
賭けの叫び声、闘技者たちの汗と血の匂い、観客席からの野次。
俺とライドウは聞き込みを始め、酒場や観客席を回った。
だが、なかなか具体的な情報は掴めない。
そんな時、聞き覚えのある声が背後から響いた。
「サダハル! ライドウ! また会ったね!」
振り返ると、3つ目のミュータントの女、ミドリが笑顔で立っていた。
軽い調子で「トーナメントの覇者が何の用?」と聞いてくる。
「なぁ、アレフって男を知らないか? 黒い長髪の男で、鍛えててアームターミナルを装備してて、目つきが鷹のように鋭い感じの……」
俺は記憶の中のアレフを言葉にしてミドリに伝えた。
すると
「……そういう人なら、最近この近くで噂になってたよ。金髪の派手目の女性を連れて、この近くにある祠について聞き込みしてたから」
……女連れ。
そうか……
ベスさんのことは吹っ切ったのかな……?
俺はそのことに対して少し複雑な思いだった。
あんな献身的な人をパートナーにしておいて、死に別れたのに。
すっかり忘れて別の女をパートナーにしてるのか。
……他人の人生に口出すのは避けたいけどさ。
ベスさんが高潔な人物だったのは知ってるからさ……
そんなふうに色々考えたが、それは脇に置いた。
今は関係ないことだ。
で、これを訊ねた。
「……その祠に何があるの?」
俺の問いに、ミドリは
「悪魔が封印されてる……」
封印って
外野から見ると
「チッ ベスのウスノロ女 これであの女との夫婦関係もご破算 この次はオレ自身をお腹に入れた女のヒロコをヒロインにしてやる!!」
に見えると思うんよ(最悪過ぎる)
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