TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話 作:XX(旧山川海のすけ)
「コノハナサクヤは我が娘として、右足の遺体を守っておる。麹町の祠にいるはずじゃ」
オオヤマツミの言葉に従い、俺たちは麹町に向かった。
標識と、アームターミナル内で自動で描かれる地図を参考に。
麹町は大きなビルと、枯れ木が印象的な区画で。
問題の祠は枯れ木の中にひっそりと、あった。
……オオヤマツミの話だと、ここに封印されているものが解放されると都合悪いと思ってる奴らが、それを阻止するべく守護悪魔を配置してるって話だったんだけど……?
麹町の祠は、後楽園闘技場近くの祠と同じく木造。
扉は閉まっている。ということは、まだここは封印を解かれていないんだ。
だとすると……?
そのとき甘い花の香り漂ってきた。そして
「ハーベスト! この退屈な仕事でヒト猿が2匹も!」
少女の軽やかな声が響いた。
そこに立っていたのは、緑色の衣装で身を包んだあどけない少女のような姿の悪魔。
彼女が悪魔だと思ったのは格好が異様なのと、抑えきれない神気を感じたからだ。
多分麦の穂と思われるものを右手に持ち、左手に鮮やかな色の花のようなものの束を抱えていた。
髪は金髪で、それを結い上げ植物で出来た髪飾りでまとめている。
そしてとても明るく、無邪気な笑顔。
けれども。
……その瞳には鋭い光が宿り、俺たちを値踏みするような気配があった。
彼女がこの祠の守護者だと直感する。
「……アンタ誰だよ?」
俺の問いに彼女は
「私はデメテル、この祠の守護者ですわ。コノハナサクヤを解放したいなら、私を倒してごらんなさいこのヒト猿。まぁ、種籾ごときに敗れる私ではありませんが!」
そう、名乗った。
そして
デメテルが麦の穂を振ると、空気を震わせ、地面を削る威力の波動が俺たちを襲った。
……衝撃魔法!
反射的に散ってそれを躱す俺たち。
躱しながら考える。
この状況で呼ぶ仲魔は……!
俺はそのまま再設定した。
そして地面に描かれる3つの魔法陣。
出現するのは……
岩の巨人・国津神オオヤマツミ。
河馬の地母神タウエレト。
そして最後が……
鎧と長剣で武装した鳥人の女戦士……
妖鳥モリーアン。
……合体をだいぶ頑張って、何とか作ったんだよ。
最大トーナメント前にな。
後楽園闘技場周辺で作った妖鳥モリーアン。
レシピは……
妖鳥オキュペテー+妖鳥ケライノー+妖鳥アエロー=妖鳥マッハ
妖鳥オキュペテー+妖鳥ケライノー=精霊エアロス
妖鳥マッハ+精霊エアロス=妖鳥モリーアン
妖鳥モリーアンは別に衝撃魔法に強いわけじゃない。
ただ、剣気を飛ばす剣技と、背中の翼由来の機動力がある。
……このデメテルは魔法攻撃主体のようだし。
モリーアンみたいな相手は戦いにくいはずだ。
デメテルの突き出した右手から衝撃魔法が再び襲い、枯れ木を吹き飛ばす。
タウエレトが防御魔法を張り、衝撃波を軽減。
自分をガードするオオヤマツミの補助をする。
岩の巨体でタウエレトを庇うオオヤマツミ。
デメテルが片手で放った衝撃波がオオヤマツミに直撃するが、彼は動じず、タウエレトを守り続ける。
「サダハル、回復を頼む!」
ライドウの指示に、俺はタウエレトに「回復しろ!」と叫ぶ。
タウエレトが柔らかな光を放ち、俺たちと仲魔の傷を癒していく。
そのときモリーアンがデメテルに剣気を飛ばし、その背中に斬撃を浴びせた。
「キャア!」
デメテルの悲鳴。
……だけど……
「……なんだと?」
ライドウが呻くように言う。
「全然ハーベストではありませんわね……このままでは種籾を育てる老人と同じ末路ですわよ?」
……確かにさっき、モリーアンが剣気を浴びせた。
しかし、効果無かったのだ。
無効、って意味じゃない。
……動画の逆再生みたいに、すぐに治ってしまったんだ。
超再生能力……!
「明日があると思わないで下さいね」
そう言い、デメテルはすさまじい笑みを浮かべた。
種籾なんだから当然今日より明日なんじゃ。
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