TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話 作:XX(旧山川海のすけ)
「モリーアン、行け!」
俺が叫ぶと、モリーアンが素早く空中を飛び回り、長剣から剣気を飛ばしてデメテルを斬り付けた。
鋭い剣気がデメテルの首を切り裂く。
だが彼女は回避しようとすらせず、その受けた傷は即座に癒えてしまった。
「ノットハーベスト! そんな今日を生きる資格の無い攻撃、全くの無意味ですわよ! お墓に種籾を蒔くが如くですわ!」
首を切られても痛がりもせず、再生しながら微笑み、無造作に恐ろしく高威力の衝撃魔法を撃って来る。
狙いは割とガバい感じだったが、効果範囲が広いため、あまり関係無かった。
それでもモリーアンは軽やかに飛び回り、攻撃を続けながらデメテルを牽制していた。
ライドウがフレスベルグにアイスブレスを吐き出させた。
輝く氷の息吹がデメテルを包むが、彼女は平然と受け切り、平然としていた。
「ちょっと寒いけど、私は冬の創始者でもあるのね! 通じるわけありませんわ!」
デメテルの高笑い。
強いな……!
俺は呻いた。
モリーアンの剣気は何処を斬り付けても大した意味は無さそうだ。
タウエレトの回復で持ちこたえられているけど、魔力は無限ではない。
なんとかしないと……このままじゃ埒が明かないぞ。
物理攻撃は効果なし、氷結も効果が薄い。
衝撃波はあいつ自身が使ってるから効果があるかどうか怪しい……
ならば
「ライドウ、フェンリルのファイアブレスはどうだ?」
「任せろサダハル……行け!」
俺が聞くと、ライドウがフェンリルを突進させた。
そしてその口腔からファイアブレスがデメテルに向かって放たれる。
襲い来る紅蓮の炎。
それを彼女は
僅かに緊張感のある表情で両手を向け
「アルティメットハーベストですわ!」
叫びながらまさしく極大の衝撃魔法を展開。
凄まじい波動の爆発が炎を相殺し、ファイアブレスを消し去った。
それを成し遂げデメテルが不敵に笑う。
「……残念でした。あなたたちにハーベストは訪れない」
ライドウが「クッ、そんな防ぎ方を……」と悔しそうに呟く。
だが俺は……俺は今ので気づいた。
デメテルはファイアブレスだけを全力で防いだんだ。
他の攻撃は全部無視して再生で対処してるのにだ。
……もしかして、火炎が弱点か?
だったら
「ライドウ、もう一度ファイアブレスをやらせてくれ!」
「……何か策があるんだな? サダハル……? フェンリル! もう一度ファイアブレスを!」
ライドウの指示を聞きつつ。
俺はアームターミナルにコマンドを打ち込んだ。
打ち込んだコマンドは帰還。
そして召喚。
タウエレトが帰還して。
代わりに大天使ラミエルが召喚される。
俺は力を込めて指示を飛ばした。
「ラミエル! 火炎魔法をそいつに叩き込め!」
「分かった!」
火炎使いの2枚看板。
これで自分を討つつもりなんだな?
そう判断したのか。
デメテルの笑みが深くなる。
……その程度のやり方でやれると思うなよ?
そんな思いが込められてる笑み。
極大の衝撃魔法に、それほどの自信があるのかね。
……まぁ。
本命はそうじゃないからな!
俺はさらに指示を飛ばす。
「モリーアン! デメテルの腕を片方切り落とせ!」
……アイツの極大衝撃魔法は両手を使うはず。
だったら片腕を直前で奪えば……!
モリーアンが高速飛行をし、擦れ違いざまにデメテルの右手を、手首のあたりで切り落とす。
デメテルの右手が、麦の穂を持ったまま宙を舞い、地面に落ちた。
デメテルの顔が強張った。
……ビンゴ!
フェンリルのファイアブレスが吐き出され、ラミエルの火炎魔法が叩き込まれる。
火炎攻撃の二重奏。
アアアアアアア―ッ!!
デメテルの悲鳴。
火炎のダメージは再生できないらしい。
炎の中で人影が悶えるように動いて
「こんなのハーベストじゃない……!」
そう呻きながら、彼女は倒れ。炎の中で消滅していく……
「やったぜ!」
そう俺が拳を握ると、ライドウが「ナイスだサダハル」と小さく笑った。
ハーベスト言わせすぎた!
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