TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話   作:XX(旧山川海のすけ)

67 / 116
第67話 国津神コノハナサクヤ

 デメテルを倒した俺たちは、祠に近づきその扉に手を掛けた。

 そのとき

 

「なぁ、オオヤマツミ」

 

「何じゃ召喚主?」

 

 俺はふと気になった。

 何でコノハナサクヤが封印されるに至ったのか。

 

 なので

 

「……どういう経緯でコノハナサクヤは封印されてしまったんだ?」

 

 訊ねたんだ。

 余計なことかもしれないけどさ。

 

 ここに押し込められた神様が、どういう理由でそうなったのか知っておきたかった。

 

 守護神の遺体の一部を譲ってもらう相手ではあるわけだし。

 知れるのに知っておかないのは礼儀がなってない気がしたんだ。

 

 すると

 

「……今の時代の地上の人間で、知っている者はほぼおらんがのう……」

 

 オオヤマツミは言った。

 かつての日本は、ずっと王様がいて。

 その王様は、天津神のリーダーであるアマテラスに「日本を支配しろ」という命令を受けて地上世界に降りて来た神様の末裔。

 

 そしてだ。

 その降りて来た神様が、地上世界に来てまず最初にしたのが……

 

 嫁取り。

 

 その嫁が……

 

「我が娘、コノハナサクヤだったんじゃ」

 

「……なるほど。それでどうして封印されることになったんだ?」

 

 一緒に聞いていたライドウが口を挟んだ。

 俺は……なんとなく理由が分かったけど。

 

 ライドウは、そういう事態に遭遇したことがあまり無いのかもしれないな。

 そこに俺は、俺とライドウの育ちの差を感じて、少しだけ寂しかった。

 

 オオヤマツミは

 

「……我が娘は、国津神でありながら天津神のアマテラスの系譜に妻として加わった身なのじゃな」

 

 だから

 

「天津神と国津神の諍いを止めず、放置した罪を償えと責められたのだ」

 

 ……やっぱり。

 そうなんじゃ無いかと思ったよ。

 

 ライドウは嫌悪感を隠せない表情をしていた。

 

 ……ライドウの周りには、おそらくそういう人間は居なかったんだろう。

 少なくとも、目の届く範囲には。

 

 自分は悪くない、悪いのは他の奴だ。

 ……スラムにはざらにいたからな。

 

 テンプルナイトに処罰されるようなやらかしをしたときに、他人のせいにするクズ。

 ざらにいた。

 

 ……そいつに力が無ければ、叩き出されるだけだけどさ。

 ある程度権力ある奴がそれだと、地獄だったよな……。

 

 そんな苦い思い出を思い出しつつ

 

「……そうか。辛い話だな」

 

 そうオオヤマツミに返し。

 俺は祠の扉を開いた。

 

 内部は暗く……

 

 祠の奥に進むと、女性が倒れていた。

 

 花の飾りがふんだんに入った衣装を身に纏う、花のように綺麗な細身の女性が。

 俺たちが近づくと、女性は目覚めて

 

「……祠の封印を解くとは、何の用かの?」

 

 身を起こし、ふわり、と宙に浮かび上がった。

 

 そして

 

「私はコノハナサクヤ。……封印を解いてくれたことは感謝する」

 

 そこまで言って。

 俺の仲魔にオオヤマツミがいることに気づいた。

 

「……そこにいるのは父上ではないですか。これは一体……?」

 

 驚いている。

 封印が解かれて目覚めたら、いきなり父親が目の前にいるわけだし。

 

 ……多分驚くだろ。

 

 俺は自分の父親ってもんを知らんから想像だけどさ。

 

「……コノハナサクヤよ。東京の守護神……公の右足の遺体を」

 

 オオヤマツミの言葉。

 それに対して彼女は

 

「……承知しました。父上」

 

 その一言で察したらしい。

 彼女の衣装から伸びている細い右足が輝き……

 

 そこからずれ落ちるように、もう1本。

 

 太腿から爪先まで。

 完品の右足のミイラがボトリと祠の板間の床に落ちて来た。

 

 コノハナサクヤはそれを拾い上げ、両手で捧げるように差し出す。

 

「どうぞ、父上……」

 

 だがオオヤマツミは

 

「我が娘よ。それはこちらに……我が召喚主だ」

 

 そうオオヤマツミに促され、コノハナサクヤは

 

「……我が父の召喚主……名を教えてくれるか?」

 

 東京の守護神の右足の遺体を俺に差し出して。

 

 俺の名を訊く。

 俺は答える。

 

「サダハルだ。……どうしてもこれが必要な状況なんだ」

 

 ありがとう。

 そう礼を言うと

 

 彼女はニコリと微笑み。

 

「……ところで。サダハルよ」

 

 そう俺に呼び掛けた後。

 俺のアームターミナルを指差して

 

「契約可能な仲魔の数は空いておるか?」

 

 そう、訊ねて来た。

 

 えっと……?

 それって……?




原作だとここにいるのはオオヤマツミなんで。
コノハナサクヤと入れ替えました。

本作を読んでいただき感謝です。
続きが気になる、面白かった。
その場合は評価、お気に入り、コメント等を頂けますと嬉しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。