TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第68話 兄貴への想い

 麹町の祠の前で、俺は守護神の右足を脇に置き、腰を下ろしてじっと見つめていた。

 その干からびた遺体からは、神気が感じられる。

 それだけで、これが本物だと感じた。

 

 ライドウは祠の入り口で腕を組んで立っている。

 そして俺の仲魔のハイピクシーが、俺たちの上で飛び回り。

 念入りに周囲を見張っていた。

 

 ……コノハナサクヤを仲魔の召喚契約を結んだ後。

 全て帰還させて呼び直したんだ。

 

 ハイピクシーを。

 

 召喚コストが低いから、こういうときありがたい。

 そして遺体から視線を外して前方を見つめていたら

 ライドウが口を開いた。

 

「サダハル、緊張してるか?」

 

「……何が?」

 

 俺の傍で壁に体重を預けて立っているライドウを俺は振り返る。

 ライドウは微笑んでいた。

 

「……ふぅん……すぐに理解できないんだな」

 

 そこまで言われて、気づいた。

 

 ……アレフは兄貴の仇なんだよな。

 元々、今の俺は兄貴の恨みをアレフ相手に晴らそうとしたからあるんだ。

 

 あのときは本当に許せなかった。

 許せなかったけど……

 

 思う……

 

 ……俺、結局。

 

 兄貴に惚れていたのかな。

 力強くて、俺を認めてくれて。

 女より俺の方が大事だって言ってくれた兄貴。

 

 普通に男に惚れるという意味ではなく

 本来の意味の「惚れる」で。

 

 アレフはその兄貴を殺したから、許せなかったのか。

 

 ……そこで俺はライドウをまじまじと見る。

 

 地上世界ではテンプルナイトの制服を着ていたけど。

 こっちでは目立たない普通の黒と緑のシャツとズボン。

 綺麗な金髪は括って後ろでおさげにしてる。

 

 出会ったときから思っていたけど、綺麗な奴だ。

 中性的で、繊細で。

 

 ……兄貴のことが許せるようになったのは、コイツが好きになったからなのかな。

 ということは俺は自分のことしか考えていない、薄情な奴なんだろうか……?

 

 何だか、凹んで来た……。

 

「……どうした?」

 

 ライドウがそんな俺に気づいたのか。

 俺にそっと近づいて覗き込んでくる。

 

 俺は

 

「……なんでもないよ」

 

 そう返した。

 内心を吐露して

 

「そんなことないぞ。私はそうは思わない」

 

 そう言って欲しい気持ちはあるけど。

 そういうことはしたくないんだ……。

 

 すると

 

「2人とも! 誰か来たよ!」

 

 高いところから周囲を見張っていたハイピクシーが戻って来て、俺たちに報告する。

 俺たちは身構える。

 

 ……戦闘をする気は無いけど。

 ならないとも言い切れないし。

 

 そして待ち構えていると。

 向こうから、黒髪の凛々しい感じの男と。

 その男の隣に立つ、金髪の女が現れたんだ。

 

 ……アレフと。

 その新しいパートナーの女か。




アレフと再会する。

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