TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話 作:XX(旧山川海のすけ)
第7話 テンプルナイトを目指すことにした
「えっ、マジか!?」
そんなの、断る理由は無い。
コロシアムにカジノ、そして売春施設という娯楽に満ちてはいるが。
住むには暗く、閉塞したヴァルハラエリア。
そこから連れ出して貰える……
1級市民が住むセンターに……
テンプルナイトのこの少年に連れて行って貰えるってことは、そういうことだろ……?
そこを思い、俺は興奮した。
兄貴が目指した場所に、連れて行って貰える……!
だけど
俺もセンターに行けるのか!?
そう言いそうになって、寸前に飲み込む。
多分、そういうことを言うと、この少年の……ええと、葛葉ライドウだっけ?
彼の機嫌を損ねるかもしれない。
彼は一緒に来るかとは言ったけど、センターに連れて行ってあげようとは言ってないんだから。
彼の俺の評価は
「君はフレスベルグのバインドボイスの拘束を破った。……これはすごいことだよ。君はテンプルナイトを目指すべき人間なんじゃないかと思うんだ」
その強い精神力は、メシア教の戦士として十分な武器になる。
……ハッキリ言ってかなり高いみたいで。
これを下げるような言葉は口にするべきじゃ無いだろ。
幻滅されるのは色々辛い。
「……俺は強くなりたい。復讐を成し遂げるために」
それにさ。
俺はセンターに行く目的で復讐を誓ったんじゃ無いんだ。
兄貴の仇を取るために、力を求めているんだ。
……履き違えるなよ。
「そうか……強くなることは良いことだね……出来ることが増えるからね……それは向上心で、十徳の1つだ」
十徳……。
メシア教が説く、人として大切な十の事柄。
それが十徳……。
「ただ……」
さっきも言ったけど、君の復讐の先に何があるんだ?
復讐を成し遂げられないと、君はどうなってしまうんだ?
十徳に遵法がある。不満に対し、私情を押し殺して法に委ねる気持ちだね。
人が法を守らないと、社会は崩壊するから。
……それを無視してでも、成し遂げないといけない事情があるのかい?
何を得ようと……あるいは何を取り戻そうとしているんだ?
そんなライドウの言葉に。
……俺はそこを全く考えていないことに気づいた。
兄貴はもういない。
ホークをブッ倒しても戻って来るわけじゃないんだ。
だけど……
悔しいんだ。
俺は兄貴が毎日厳しいトレーニングを、大手ジムの羽田ジムでやってたことを知っていた。
兄貴はいつも真剣で……剣だけで1対1なら負けなしの、無敵の戦士だったのに。
あんな……よってたかって……!
コロシアムの砂の闘技場で。
たくさんの悪魔に袋叩きにされて、兄貴が嬲り殺しにされたときのことを思い出す。
……あんな終わり方……無いだろ。
視界が滲んだ。
油断してたのか、止められなかった。
そのときだった。
「……そうか。きっと、誰かのための復讐なんだな……自分のためじゃ無いのか」
ライドウはそう言って、少し目を伏せる。
理由は良く分からなくても、察してくれたんだ。
そして
「すぐには結論は出ないと思う。だから、私のところでテンプルナイトを目指して頑張るのはどうかな……?」
何度も言うが、君の精神力は素晴らしいんだ。
是非、君を候補生として連れていきたいと思っている。
そう言った。
彼は、テンプルナイトを目指すことで……
俺に復讐と向き合え。
そう言ってるのか。
多分、そうなんだろう……
俺は
「分かった。俺、目指してみるわ」
ライドウの言うことに同意した。
多分、これが最善の選択なんだよな。
兄貴……
ライドウさんは将来ああなるので。
割と柔軟です。
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