TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話 作:XX(旧山川海のすけ)
地下世界に日の光を取り戻す。
それは一体、具体的にどういうことなんだろうか?
俺は女神の言葉の続きを待つ。
アマテラスが続ける。
「まずはこの東京の地を覆い隠すTOKYOミレニアムとやら……それを除かねばならぬな」
この地下世界は、TOKYOミレニアムで覆い隠される形で存在してる。
だからガイア教徒が疑似的に悪魔を使って太陽の代わりを用意するくらいだ。
この世界に日の光を取り戻すのだから、邪魔なTOKYOミレニアムを消してしまおう。
その結論は、あまりにも自然だ。
……でも、それをどうやるんだ……?
俺はアマテラスの続ける言葉が何であるのかに注視した。
天津神のリーダーなのだし、何か意見を出すはずだ。
そう思っていた。
だけど、違った。
アマテラスは何も言葉を発さず。
他の神々が
「……我はそのためには、九頭龍を暴れさせるのが一番早いと思うのだが」
脳の姿の神。
「……確かに。九頭龍は地球そのものと言える存在。九頭龍であればTOKYOミレニアムを吹き飛ばすなど造作もない」
顔を鏡で覆っている男神。
「その制御は魔界のルシファーが握っていたはずだ……」
「ルシファーも異国の悪魔よな。我らと手を組むだろうか……?」
武人の神2柱。
口々に、そんな言葉を口にした。
えっ、と思った。
アマテラスはリーダーなんだろ?
何故アマテラスが全てを決めないんだ?
そんな俺の思いが顔に出ていたのか。
ヒルコが話し掛けて来た。
「ええと……サダハルだったな?」
「はい」
俺がヒルコ神にそう返すと、ヒルコ神は
「高天原……天津神の世界では、ずっとあの調子なのだ。アマテラスはあくまでただのオサであり、その天津神の意志を全て決める存在では無い。必ず臣下たる他の神々に意見を戦わせる。そうして出た意見は、ただひとつの存在から出るものよりも優れている……そう考えて来たのだ」
……なるほど。
確かそういうの、民主主義とかいうやつだよな?
旧世界の書物にちょくちょく出て来る概念だ。
俺の世界では、ずっとセンターが政治の実権を握って来たから、リアルではただの1度も見たことが無いものだけど。
……でも、面倒くさそうだな。
俺は思った。
そんなものは、政治が得意な誰かに一任した方が良いのではないのかと。
特にあの脳みその姿の悪魔なんて、口ぶりに頭の良さを感じるし。
うってつけなんじゃないのか……?
……そう、思ったんだけど。
「では、九頭龍によるTOKYOミレニアム破壊の要請を魔界に伝えに行く使者を決めようでは無いか」
アマテラスはそのまま「九頭龍でTOKYOミレニアムを破壊する」という提案について、一番重要だと思った問題点の指摘をせずに
次の段階に行こうとした。
ちょっと待ってくれ。
まさか……!
俺は手を上げた。
無視されるかもしれないが、言わずにはいられない。
……アマテラスは気づいたらしく。
「サダハルだったな、何か言いたいことがあるのか?」
アマテラスが俺の名前を知っていたことに少しギョッとしたが、今はそれはどうでもいい。
「TOKYOミレニアムの人間を無視しないでやってくれ! お願いだ!」
俺は必死で訴える。
さっきの話し合い、魔界の大魔王の助力を要請して、後でどんな不都合があるか、そもそも向こうがこっちの要請を受け入れてくれるのかとか。
そういう、魔界側との関係性についての話しかしてなくて……
今も何万人も生活しているTOKYOミレニアムを壊すときに、そこの住民をどうするかについて何も話し合っていなかった!
俺は思ったんだ。
……ひょっとして天津神たちは、TOKYOミレニアムの住人はどうなっても良いと考えているのか!?
高天原が天照大御神の独裁では無いことは一応リアル設定です。
かの有名な国譲りに関しても、行動方針で3回話し合いしてますからな。
で、2回普通に使者を立て、2回とも失敗したので、最終手段として3回目に建御雷を派遣した流れ。
本作を読んでいただき感謝です。
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