TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話 作:XX(旧山川海のすけ)
俺は天津神に腕を振りつつ主張した。
「センターの指導部がおかしいだけで、そこで暮らす人々がみんな悪いわけじゃない。問答無用で全て吹き飛ばすのは、絶対に違う!」
俺の胸に、ベスや、マダムや、そしてアリババの顔が浮かんだ。
彼女らを産んだのもTOKYOミレニアムだ。
きっと、同じような人々もいっぱい居るはず。
なのに……
TOKYOミレニアムの住人だから全員死んでも構わないなんておかしい!
聞き入れてもらえないことを恐れた俺は地面に膝をついた。
そのまま土下座しようとしたが、ライドウが素早く腕を掴んで止めた。
「落ち着け」
そう、耳元で言われた。
それはアマテラスの軽蔑を買うかもしれない、と。
ライドウの言葉に俺は唇を噛み、アマテラスをじっと見つめる。
女神は。
静かに俺に視線を向けて、ゆっくり答える。
「……良かろう。サダハルよ。おぬしが地上の人間の代表として責任を持ってTOKYOミレニアムの人間を救うが良い」
かつて我が孫の神に、地上支配を命じたときのように、この度はおぬしに託すとしよう。
アマテラスからの言葉。
俺は感激する。
だけど……
「……だが、失敗したら即座に九頭龍で全て吹き飛ばす方向で話を進める。良いな……?」
冷徹な声で俺にそう言って来た。
俺の背筋に緊張が走る……本気だ!
失敗したら、TOKYOミレニアムの全てが消える。
これは酷いとは言えない……むしろこれは譲歩なんだから。
だからこう言うしかなかった。
「必ずやってみせます」
……当たり前だよな。
機会を与えて貰って、これ以外言うことあるか?
アマテラスは俺の言葉に満足そうに頷いた。
「我らを失望させるなよ……ん?」
そのとき。
天津神のうちの1柱……武人風の神が俺たちを見て何かに気づく。
「お前たち……練気の剣を持っているのか」
……練気の剣?
俺たちは自分たちがこれまで振るって来た、TOKYOミレニアムの骨董品屋で買った剣を見る。
両刃の西洋剣……これ、そういう名前なのか。
で、これが何なのか……?
俺たちは戸惑ったが
「我は、タケミカヅチと申す神。天津神の剣なり」
……武人の神はタケミカヅチを名乗り
「その剣は、悪魔の力を宿すことで魔剣へと変貌する貴重なもの」
そう、教えてくれた。
えっ……?
俺たちは驚きのあまり絶句する。
そして
「……我は武の神なり。だが、今は永きに渡る封印により、大きく力を減じておる……」
その言葉で
俺はなんとなく、タケミカヅチが言いたいことを理解できてしまった。
彼は
「ならば。その剣に宿り、天津神の剣としての役割を果たそうと思う。良いな……?」
そこまで言って。
その身体をマグネタイトの塊に変換し。
――ライドウの腰にぶら下がっていた錬気の剣に吸い込まれていった。
おお……
ライドウが剣を抜くと、その剣は帯電してるような稲光を放った。
「……その状態になった錬気の剣は、古より雷神剣と呼ばれておる……心して使え」
雷神剣……!
アマテラスの言葉に、震えるような感激があった。
「……ありがとうございます」
ライドウは天津神たちに頭を下げる。
天津神たちは、それに満足げに頷いてくれた。
そのまま手分けの話になった。
アレフが「俺たちは魔界へ行き、大魔王ルシファーに九頭龍の話をしにいく」と申し出た。
ヒロコは「こっちは任せて頂戴。仮にも彼はメシアだから、絶対に解決させてみせるから」と自分の胸を叩いた。
必然的に俺たちはTOKYOミレニアムの住民を救うため動くわけだが……
その前に力を増す必要があるわけだ。
だから
「マグネタイトを大量に得られる場所はないですか? どうしても必要なんです」
俺の言葉に、アマテラスが静かに答えてくれた。
「新宿の近くに、生体エナジー協会の遺構がある」
「……生体エナジー協会……?」
知らなかったので訊くと、大破壊前に生体マグネタイトを金で取引していた団体のことらしい。
なるほど……
でもさ
「そこ、まだ無傷なんですか?」
そんなもん、悪魔がほっとかないと思うんだけど……?
すると
「外国の悪魔たちに略奪されぬよう、国津神アマノザコが番をしている」
「アマノザコ? 国津神なのに、なんで命令を聞いてるんですか?」
俺が疑問をぶつける。
言ってることがおかしいと思うんだが……
すると、アマテラスが淡々と説明した。
「アマノザコは従わない神なのだ。アマノザコに出会ったら、私がマグネタイトを必要としていると言っていると言え」
……えーと?
控えめに言って、わけわからん……。
アマノザコって、天狗の祖らしい。
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