TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第77話 立場が違えば見え方も変わる

 アマノザコが宿った風神剣に案内されて、新宿の生体エナジー協会の遺構に辿り着いた。

 そこは無数のガラスのシリンダーが立ち並んでいて、内部に緑色の輝くものが収められている。

 

 俺はマグネタイトをそこで満タンにチャージして戻ってきた。

 アームターミナルの表示は、目安の数値が「99999」だった。

 これがどのくらいの量なのか、比較対象がないからピンとこないけど、俺が普段召喚している仲魔たち。

 それでも消費が100を超えることは無かったと思うんだよなぁ……

 

 で、だ……

 

 俺たちはアレフと同盟を結んで味方に引き入れた。

 アレフとヒロコは魔界に赴いてルシファーと対話しに行っている。

 

 次の行動を決めるため、俺たちは上野へ帰ることにした。

 上野ビルの最上階、ゴトウの謁見の間に戻ると、懐かしい空気が俺を包んだ。

 

 ゴトウが変わらず部屋の奥で褌一丁の姿で鎮座している。

 トキが先に帰還していて、般若の面を外し、ゴトウの側で膝を折っていた。

 

 俺は少しホッとした。

 トキが無事で良かったよ。

 

 ライドウが「サダハル、まずは報告だ」と俺に言った。

 俺は頷き、ゴトウの前に進み出た。

 

「ゴトウ様、アレフと同盟を結びました。現在彼は魔界に赴き、ルシファーに謁見するために動いています」

 

 ゴトウが「そうか。ご苦労だった」と頷く。

 その後、そこに至るまでの細部の話を伝える。

 

 この辺、テンプルナイトをしてたときの経験が生きた。

 まず結果を伝え、それからその結果に至るまでの話をする。

 組織で動く場合の報告の鉄則だ。

 

 俺たちの報告が終わった後。

 次にトキが静かに口を開いた。

 

「私はザインを勧誘できなかった。ガイア教徒とは手を組めないと言われた」

 

 その言葉に、俺は思わず声を上げた。

 

「は!? ザイン、1人で何ができるんだ!? センターに立ち向かうのに、なんでガイア教団を拒むんだよ!」

 

 俺の苛立ちが謁見の間に響く。

 ライドウが「サダハル、落ち着け」と静かに言う。

 だけどトキが淡々と伝えたザインの言葉……

 

「ザインは言った。ガイア教徒は野蛮人の集団だ。間違っているのはセンターと同じ。そしてメシア教の説く十徳、十罪の理念は間違いではない。センターは悪だが、メシア教の理想は悪ではないんだ。だが、ガイア教の説く世界は間違いなく悪だ、と」

 

 俺はその言葉に即座に反論した。

 かなり早口で

 

「言ってることは分かるよ! 俺だってガイア教団が完璧だとは思わない。でも、そんなの戯言だろ! 理念が正しいから何だ!? 実質守られて無いんだから空っぽだろ! そんなもん大事にして虐殺を見過ごすよりはマシだろ! このままじゃセンターの思惑が実現するだけだ! ザインの理想なんか、絵空事じゃねえか!」

 

 だが、ライドウが静かに口を開いた。

 

「サダハル、ザインはおそらくガイア教徒の歴史を誰よりも学んできた男だ。エリート中のエリートだからな。私以上のガイア教を否定する教育を受けてきたのかもしれない。彼のことを知らずに否定するのは、違うんじゃないか?」

 

 ライドウの言葉に、俺はハッとした。

 

 彼の落ち着いた目が、俺の心を静める。

 俺は深呼吸し、考え込んだ。

 

 俺はガイア教団の今を見て、センターの支配よりマシだと感じて入信した。

 だけど……もしガイア教徒が奴隷狩りや弱者を食い物にする連中だったら、俺は改宗しただろうか?

 

 想像してみる。

 

 俺はガイア教徒が悪だと教育されてきたけど、具体的にどう悪いかは教えられなかった。

 支配者に逆らうだけで悪とされたからだ。

 

 でも、俺はここに来て現実のガイア教徒に触れることで、その認識の檻から逃れた。

 

 ……ザインは違うのか?

 トキだって、変な勧誘はしてないはずなのに……

 

 いや、でも。

 やっぱり、違うはずだよな……。

 

 彼は最強のテンプルナイトだ。

 ライドウの言う通り、エリート中のエリート。

 世界の認識をする基本が違うのかもしれない。

 

 俺はザインを非難するのをやめ、トキに聞いた。

 

「ザインは今、何をしてるんだ?」

 

 トキが答える。

 

「ザインはファクトリーを解放しようとしている。センターの強制労働施設だ」

 

「なら、その手伝いに行くぞ!」

 

 俺が言うと、ライドウが「いい判断だ」と小さく笑う。

 

 彼の目的の手助けをしたら、会話できるかもしれない。

 それにファクトリーの解放はやらなければならないことで。

 ここで手助けしないのは無いだろ。

 

 出て行こうとする俺たちにゴトウが

 

「良い結果を祈る」

 

 そう言って命じる。

 

「お任せを」

 

 その言葉に俺はそう返した。




地上に世界に戻る主人公たち。

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