TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話 作:XX(旧山川海のすけ)
アマノザコが宿った風神剣に案内されて、新宿の生体エナジー協会の遺構に辿り着いた。
そこは無数のガラスのシリンダーが立ち並んでいて、内部に緑色の輝くものが収められている。
俺はマグネタイトをそこで満タンにチャージして戻ってきた。
アームターミナルの表示は、目安の数値が「99999」だった。
これがどのくらいの量なのか、比較対象がないからピンとこないけど、俺が普段召喚している仲魔たち。
それでも消費が100を超えることは無かったと思うんだよなぁ……
で、だ……
俺たちはアレフと同盟を結んで味方に引き入れた。
アレフとヒロコは魔界に赴いてルシファーと対話しに行っている。
次の行動を決めるため、俺たちは上野へ帰ることにした。
上野ビルの最上階、ゴトウの謁見の間に戻ると、懐かしい空気が俺を包んだ。
ゴトウが変わらず部屋の奥で褌一丁の姿で鎮座している。
トキが先に帰還していて、般若の面を外し、ゴトウの側で膝を折っていた。
俺は少しホッとした。
トキが無事で良かったよ。
ライドウが「サダハル、まずは報告だ」と俺に言った。
俺は頷き、ゴトウの前に進み出た。
「ゴトウ様、アレフと同盟を結びました。現在彼は魔界に赴き、ルシファーに謁見するために動いています」
ゴトウが「そうか。ご苦労だった」と頷く。
その後、そこに至るまでの細部の話を伝える。
この辺、テンプルナイトをしてたときの経験が生きた。
まず結果を伝え、それからその結果に至るまでの話をする。
組織で動く場合の報告の鉄則だ。
俺たちの報告が終わった後。
次にトキが静かに口を開いた。
「私はザインを勧誘できなかった。ガイア教徒とは手を組めないと言われた」
その言葉に、俺は思わず声を上げた。
「は!? ザイン、1人で何ができるんだ!? センターに立ち向かうのに、なんでガイア教団を拒むんだよ!」
俺の苛立ちが謁見の間に響く。
ライドウが「サダハル、落ち着け」と静かに言う。
だけどトキが淡々と伝えたザインの言葉……
「ザインは言った。ガイア教徒は野蛮人の集団だ。間違っているのはセンターと同じ。そしてメシア教の説く十徳、十罪の理念は間違いではない。センターは悪だが、メシア教の理想は悪ではないんだ。だが、ガイア教の説く世界は間違いなく悪だ、と」
俺はその言葉に即座に反論した。
かなり早口で
「言ってることは分かるよ! 俺だってガイア教団が完璧だとは思わない。でも、そんなの戯言だろ! 理念が正しいから何だ!? 実質守られて無いんだから空っぽだろ! そんなもん大事にして虐殺を見過ごすよりはマシだろ! このままじゃセンターの思惑が実現するだけだ! ザインの理想なんか、絵空事じゃねえか!」
だが、ライドウが静かに口を開いた。
「サダハル、ザインはおそらくガイア教徒の歴史を誰よりも学んできた男だ。エリート中のエリートだからな。私以上のガイア教を否定する教育を受けてきたのかもしれない。彼のことを知らずに否定するのは、違うんじゃないか?」
ライドウの言葉に、俺はハッとした。
彼の落ち着いた目が、俺の心を静める。
俺は深呼吸し、考え込んだ。
俺はガイア教団の今を見て、センターの支配よりマシだと感じて入信した。
だけど……もしガイア教徒が奴隷狩りや弱者を食い物にする連中だったら、俺は改宗しただろうか?
想像してみる。
俺はガイア教徒が悪だと教育されてきたけど、具体的にどう悪いかは教えられなかった。
支配者に逆らうだけで悪とされたからだ。
でも、俺はここに来て現実のガイア教徒に触れることで、その認識の檻から逃れた。
……ザインは違うのか?
トキだって、変な勧誘はしてないはずなのに……
いや、でも。
やっぱり、違うはずだよな……。
彼は最強のテンプルナイトだ。
ライドウの言う通り、エリート中のエリート。
世界の認識をする基本が違うのかもしれない。
俺はザインを非難するのをやめ、トキに聞いた。
「ザインは今、何をしてるんだ?」
トキが答える。
「ザインはファクトリーを解放しようとしている。センターの強制労働施設だ」
「なら、その手伝いに行くぞ!」
俺が言うと、ライドウが「いい判断だ」と小さく笑う。
彼の目的の手助けをしたら、会話できるかもしれない。
それにファクトリーの解放はやらなければならないことで。
ここで手助けしないのは無いだろ。
出て行こうとする俺たちにゴトウが
「良い結果を祈る」
そう言って命じる。
「お任せを」
その言葉に俺はそう返した。
地上に世界に戻る主人公たち。
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