TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話 作:XX(旧山川海のすけ)
お願いだ、間に合って欲しい……!
そう願いつつ、俺たちは最上階に辿り着いた。
セイレーンの囚われている部屋はすぐに見つかった。
だけど……
セイレーンの部屋の扉の前で、血まみれで倒れている男を見つけた。
2メートル近い大きな体と、頭頂部以外の頭髪を剃り上げた髪型……
そしてテンプルナイトの制服。
……ザインだ。
「ザイン!」
俺は駆け寄り、ライドウが周囲を警戒する。
ザインの制服は裂け、肩から血が流れている。
他にも凍傷と、火傷も負っていた。
ベルフェゴールにやられたってことなのか……?
俺はアームターミナルのキーボードを叩き、コノハナサクヤを召喚し
「私に何の用ですか? 召喚主?」
魔法陣の光の中から呼び出されたその国津の女神に
「彼に回復魔法を掛けてくれ」
そう、頼んだ。
コノハナサクヤは頷き、ザインに手を翳し
「癒えろ」
その手から柔らかな光を放射し、彼を癒す。
すると彼は呻き声を洩らしつつ
目を覚ました。
そして
「センターはどこまで腐っているんだ……魔王に番をさせるなんて……」
彼の声は怒りと虚無に満ちていた。
かつてはそのセンターで重要な地位に居ただけに、そう思うのかもしれないな。
俺はそんなザインに手を差し出し
「ザイン、1人じゃ無理だ。俺たちと共闘しよう! セイレーンを救って、ファクトリーを解放するんだ!」
そんな俺たちの言葉を聞き。
ザインが俺たちを見据え、目を細めた。
そして
「君たちは……確かテンプルナイトだな?」
ザインは俺たちを知っていた。
だけど俺たちは頷かなかった。
ここで「そうだ」と言って、ザインを騙すのは簡単だ。
しかし、それをするときっとザインは最終的に敵に回る気がする。
だから
「今はガイア教徒だ」
ここで騙すわけにはいかない。俺は真実を告げたんだ。
「センターを倒すためにそうした」
ライドウが俺の後にそう続ける。
ザインの表情が硬くなる。
「ガイア教徒か……」
ガイア教徒に協力するのは嫌なのか。
明らかに、渋っている。
その拒絶の態度に……俺の苛立ちが爆発した。
「アンタのその拘りは、アンタの目的と引き換えにしてもいいものなんだな!?」
ザインの目が俺に向く。
その目には動揺があった。
彼も理解しているんだろう。
このままではファクトリーの解放は不可能であると。
でも俺たちと手を組めば、果たされる可能性があると。
「その拘りは、勝てるかもしれない勝負を諦めさせるに足る、大きな理由なんだな!?」
そんなの今、考えている場合かよ!?
だから俺は、一歩も譲らずに、こう主張した。
「つまり、メシア教の教義は、ファクトリーで無理矢理働かされている人々の心の自由より重いってんだな!?」
その言葉が、決定打になったみたいだった。
葛藤をしていたザインの顔が、変わった。
……決断した男の顔に。
ライドウがそこで言った。
「ザイン、答えを聞かせてくれ」
「僕は……」
その瞬間だった。
複数の足音が響き。
そいつらが現れたんだ。
冷たい声と共に。
「……ザインよ。神の御意思に背いた罪を償うときだ」
その場に現れたのは。
笑顔の紋様が描かれた覆面を被った6人の男たち。
その肉体は鍛え上げられていて、そこにメシア教の聖印が刺繍された赤い衣装を身に着けている。
その手にはチェーンソーが握られていて。
6人は一斉にそれを起動させた。
チェーンソーのエンジン音がその場に響き渡る。
……こいつらがメシア教徒の殺し屋・エグゼクター。
戦うしかない……!
ニコニコマークの覆面が異常で良い。
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