TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第85話 更なる悪夢

 監視塔の最上階、セイレーンの部屋の前で、エグゼクターのチェーンソーが不気味に唸る。

 笑顔の紋様が描かれた覆面、赤い衣装にメシア教の聖印が輝く6人の粛清部隊。

 そいつらが、俺とライドウ、そしてザインを睨む。

 

 俺はアームターミナルを操作し、国津神オオヤマツミと神獣ドゥムジを追加召喚した。

 魔法陣2つから、オオヤマツミの巨岩のような姿と、ドゥムジの羊顔と蠍の異形が出現した。

 

 ライドウは封魔管からフェンリルとフレスベルグを呼び出す。

 狼の咆哮と大鷲の羽ばたく音が、緊迫した空気を切り裂く。

 

 そして次の瞬間、エグゼクター6人が一斉に叫んだ。

 

「封印の鎖に縛られよ!」

 

 エグゼクターたちの胸の聖印が輝き、魔法を封じる波動がザインを襲う。

 

 これがエグゼクターの基本戦術なのか。

 魔法を数の暴力で封じ、魔法の使えなくなった相手を寄ってたかって嬲り殺すのが。

 

 奴らの狙い通り、魔法を封じられたのだろうか。

 ザインは魔法を使おうとしなかった。

 

 だが、ザインは動じなかったんだ。

 

 全く恐れずに、素手でチェーンソーを持ったエグゼクターに突進したんだ。

 

 蹴り、掌底、肘打ち──その一撃一撃が、まるで嵐のように正確で猛烈だ。

 エグゼクターの1人が仰け反る。

 覆面に拳を喰い込まされて。

 残りの5人が動揺し、叫んだ。

 

「魔法なしで我々と互角だと!?」

 

 ザインの戦闘力は、俺の想像を遥かに超えていた。

 これがかつて最強のテンプルナイトと呼ばれた男の力か……。

 

 俺は呆然と見つめてしまう。

 

 だが、ライドウの声が俺を現実に引き戻した。

 

「サダハル、ボサッとするな!」

 

「そうだ、畳み掛けるぞ!」

 

 我に返り、俺は風神剣を抜き放ち、オオヤマツミに「アイツらを蹴散らせ!」と命令した。

 

 だが、その瞬間、アームターミナルからアリババの声が響く。

 

『サダハル! 聞いてくれ! いいか!?』

 

 後にしてくれ! と叫びそうになったが、アリババは状況を把握してるはずだ。

 つまり緊急性が高いんだ。

 

 考えを変えた。

 

「手短に頼む!」

 

 そんな俺の言葉にアリババが急いで応えてくれる。

 

『監視カメラに異様な男女2人組が映った。パンツスーツの高身長の女と、軍服の男だ』

 

 その言葉に俺の背筋が凍った。

 それって上野の街での悪夢の主……!

 

「20代目とヘット……!」

 

 ライドウを殺すための戦力、マシン兵士20代目葛葉ライドウと、その監視役ヘットが監視塔に入り込んでいるのか……!

 

「まずいな……ここに20代目とヘットが来たら、セイレーンを助けることなんて不可能だ」

 

 ライドウがそう低く呟く。

 

 エグゼクターを全滅させた後、ベルフェゴールを討てばいい。

 俺たちのその予定が木っ端微塵になるかもしれない。

 

 この場合、俺はどうすれば良いんだろうか……!?

 

 数秒考え、俺は……

 

 閃き、決断した。

 

「ライドウ! 悪いがここは頼む!」

 

 そう口にして、俺は

 

「俺がベルフェゴールを倒して、セイレーンを連れ出す!」

 

 そう言って。

 ザインが先に挑み、返り討ちにあった部屋に飛び込んだんだ。




果たして1人で勝てるのか……?

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