TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話 作:XX(旧山川海のすけ)
「俺がベルフェゴールを倒して、セイレーンを連れ出す!」
俺の言葉にザインが「無謀だ!」と叫ぶ。
だが俺は無視した。
ここで決めないと、20代目とヘットが来る。
そうなったら撤退も難しい。
……そしてここで引けば、以後はヘットが待ち構えてて、ファクトリー解放の難易度が跳ね上がるはずだ。
そこにライドウの言葉が飛ぶ。
「分かった!」
その声には
「私たちはエグゼクターを片付ける! サダハル、必ず生きて戻れ!」
……俺への信頼を感じた。
その言葉に、胸が熱くなる。
ライドウが俺の考えを理解してくれた。嬉しい。
絶対に勝つ! 勝って生きて帰る!
任せてくれ!
そして決意と共に飛び込んだ部屋の中は、異様な光景だった。
数メートルの巨体を持つ全裸の悪魔が、巨大な便器に座している。
紫色の肌、白い髭、頭に2本の角、尻から細い尾。
……これが魔王ベルフェゴールだ。
アリババの情報では怠惰の悪魔。
便器に座ったまま動かないのは、用を足すのも面倒くさいってことか?
……だがそんなことは今はどうでもいい。
俺は叫んだ。
「ベルフェゴール! 覚悟しろ!」
そんな俺をベルフェゴールが便器から腰を上げず、嗤った。
「ふっふっふっ、また来おったな。2人目か。返り討ちにしてくれる」
ザインを返り討ちにした自信が、その声に滲む。
俺はコノハナサクヤに声を飛ばす。
「コノハナサクヤ、焼き払ってくれ!」
「任せろ!」
コノハナサクヤは花の神でありながら、火炎に縁深く、火炎を扱う能力を持つ。
その国津の女神は桜の花びらを舞わせ、舞うような動きで火炎魔法を放った。
激しい炎の奔流がベルフェゴールを飲み込もうとしたが、魔王が「甘いわ!」と叫び、吹雪の息を吐き出した。
輝くアイスブレスが火炎とぶつかり、押し合いの均衡が生まれる。
そしてコノハナサクヤが徐々に押され始めた瞬間、そこに割って入る者があった。
国津神オオヤマツミだ。
「父上!」
コノハナサクヤが叫ぶ。
「なんのこれしき!」
オオヤマツミが巨岩のような体でコノハナサクヤを庇い、吹雪の息を正面から浴びていた。
オオヤマツミは氷結に耐性がある。
だが、耐性があるとはいえ、苦しげな唸り声が漏れていた。
それを精神力で耐え、オオヤマツミは一歩ずつ前へ進む。
そこで
「ぬぅ! ならば」
ベルフェゴールがこのままでは効果が薄いと判断したのか。
アイスブレスを止め、ファイアブレスに切り替えた。
だが、今度はそこにコノハナサクヤが素早く反応した。
父神がやったように彼女が割り込むと、ベルフェゴールのファイアブレスを反射し、そのままに逆に浴びせた。
「グアアアアアッ!」
自身の火炎を浴び、ベルフェゴールが悲鳴を上げる。
「お、おのれ!」
怒りの声。
ブレス攻撃を諦めたのか、細い尾を鞭のように振るった。
それにコノハナサクヤが気を緩めた隙を突かれ、尾に絡め取られ、引きずり倒された。
「わわっ!」
コノハナサクヤが悲鳴を上げ、脱出を試みるが、逆さ吊りにされる。
暴れているが、脱出が叶わない。
そして
「このままお前から倒してくれる!」
……ベルフェゴールが便器に座ったまま口腔を開き、アイスブレスを吐くために大きく息を吸い込んだ。
コノハナサクヤの運命は?
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