TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第87話 ベルフェゴールの秘密

 コノハナサクヤがベルフェゴールの尾に絡め取られ、逆さ吊りにされた瞬間、俺は叫んだ。

 

「させっかよ!」

 

 風神剣を握り、高く跳躍する。

 

『やっちゃえ、ちゃえー!』

 

 アマノザコの力が剣から迸り、風の助力で俺の体が軽やかに押し上げられていく。

 

 そして一閃。

 

 緑の疾風の斬撃がベルフェゴールの細い尾を斬り落とし、コノハナサクヤを解放した。

 その後着地の衝撃もアマノザコが和らげ、俺は素早く剣を構え直す。

 

「グアアアアッ!」

 

 尾を切断され、ベルフェゴールが悲鳴を上げた。

 便器に座したまま、その紫色の巨体が震える。

 

 そして拘束から解放されたコノハナサクヤが落下の衝撃を衝撃魔法で相殺し、素早く身を起こした。

 

「助かったぞ、召喚主!」

 

 彼女の声に、俺は内心で拳を握った。

 大事な仲魔を倒されてたまるか。

 

 ……だが、ふと疑問が頭を過った。

 

 なぜベルフェゴールは便器から動かないんだ?

 身体ごと動けば尾を切られることはなかったはずだ……。

 

 ちょっと、便器から腰を上げるだけで良かったはずなのに。

 

 それはアリババが言っていた、怠惰の悪魔だから?

 本当に、それだけなのか……?

 

 そこに

 

「喰らいなさい!」

 

 コノハナサクヤが衝撃魔法を放つが、ベルフェゴールが両腕をクロスさせて防ぐ。

 ……これを見た後。

 

 その瞬間、俺は仮説に辿り着いた。

 

 あいつ、便器から動かないんじゃない。

 

 ……多分動けないんだ。

 

 足が萎えているように見えないけど、ひょっとしたら立ち上がる力がないのでは……?

 

 理由は分からないが、これが突破口では……?

 

 なので

 

「ドゥムジ! 至高の魔弾だ!」

 

 俺は神獣ドゥムジに命じる。

 

 羊の顔と蠍の尾を持つ神獣が、黄色い体を震わせて応える。

 

「承知したぞ、ニンゲンよ!」

 

 ドゥムジが蠍の下半身の尾を高く持ち上げ、針の先に魔力を凝縮し始める。

 

 至高の魔弾……。

 

 発射まで時間はかかるが、恐ろしい貫通力を持つ必殺技だ。

 ベルフェゴールの顔が引きつる。

 

 ……仮説は正しかったみたいだ。

 あいつは便器から立てない。

 

「させんぞ!」

 

 ベルフェゴールが火炎のブレスをドゥムジに向けて吐き出す。

 

 だが、コノハナサクヤが素早く反応し、ドゥムジを庇った。

 火炎の息は反射され、ベルフェゴールが自身の炎を浴び、苦悶の声を上げる。

 

 その隙に、ドゥムジの魔力凝縮が完了した。

 

「……おしまいだ」

 

 ドゥムジの低い声と共に、魔力の集中する音を立て。

 次の瞬間、至高の魔弾が放たれる。

 

 魔力の光線が一直線にベルフェゴールを貫いた。

 

「おのれ……! ワシのこれからの輝かしい時代が……!」

 

 魔弾に胴体を貫かれたベルフェゴールは、悔しさを滲ませながら塵と化し、消滅した。

 

 便器が砕け、それも塵と化す。

 

 部屋に静寂が戻る。

 俺は風神剣を下ろし、息を吐いた。

 

 コノハナサクヤが「見事だ、召喚主」と微笑み、ドゥムジが「ニンゲン、悪くなかったぞ」と称賛してくれた。

 

 だが、休息の時間はない。セイレーンが待っている。

 

 アリババの警告が頭をよぎる。20代目とヘットが来る前に、片付けないと。

 

 俺は速やかに、ベルフェゴールが守っていた扉の部屋に足を向けた。




セイレーンを説得できるのか?

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