TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第91話 メシア教徒じゃない

 かつて、俺たちがテンプルナイトだったとき。

 あのときは敵だったわけだけど、今は……

 

「……俺もガイア教徒だよ!」

 

 お前たちの仲間だ。

 そう伝えた。

 

 だが、ジライヤのリーダーが嘲笑う。

 

「嘘を吐くな、その恰好、どうみてもテンプルナイトではないかメシア教徒め!」

 

「見え透いた嘘を吐きおって!?」

 

 俺の言葉は一刀両断にされた。

 まずい。

 

 ……多分、本気で戦えば勝てる。

 

 だが、今は時間がないし、それに仲間同士で争うのは本意じゃない。

 

 ……どうすればいい?

 

 そう、俺が頭をひねる中だった。

 

 突如、ライドウが粉塵マスクを外したんだ。

 

 それにジライヤたちが動揺する。

 

「……女か?」

 

「女が荷物運びだと!?」

 

 ……そういえば。

 俺は慣れてるが、ライドウの中性的な美貌は確かに目を引くな。

 

 女に間違われるのは、ライドウにとっても屈辱なんだろうか?

 そこのところを考えていると

 

 彼が静かに言ったんだ。

 

「私は男だ。……本当に彼はガイア教徒だ。私もだけどね。仲間なのだから通してくれないか?」

 

 ライドウのその落ち着いた物言いに

 ジライヤたちがざわつく。

 

 だが、しばらくざわついた後。

 

 リーダーが妙に興奮した声で叫んだ。

 

「ガイア教徒かどうか確かめさせてもらおう! お前の身体を触らせろ!」

 

「……ハァ?」

 

 ジライヤたちが続ける。

 興奮した声で。

 

「メシア教徒には十罪で姦淫の罪があるだろ!」

 

「正規の男女夫婦間以外の性行為は重罪だったはずだ!」

 

「なのでお前が自ら積極的に身体を差し出せば、即姦淫の罪だ!」

 

 ……なるほど。

 

 確かにメシア教徒の十罪では姦淫の罪は相当重い。

 死罪にこそならないけど、正当化はされない。

 

 それより上位の罪を犯すことを回避するため、という理由でもない限り。

 それを「戦いもせずに進んで身体を差し出す」なんて、許されはしないよな。

 

 だけどさ……

 

 こいつらは違うだろ……!

 

 こいつらはメシア教の教義を利用して、ライドウの身体を触る口実を作ってるだけ。

 

 俺の胸に激しい憎悪が湧いた。

 

 こいつら、潜伏してる間にたまった性欲をライドウで解消しようとしてるだけだ。

 

 ライドウの美貌なら男でも構わないとでも思ってるんじゃないか?

 

 ……許せない。

 

 そう、怒りのあまり俺が風神剣を抜き、アームターミナルのキーボードを叩こうとした瞬間、ライドウが囁いた。

 

「サダハル」

 

 振り向くと、ライドウが俺に近づき、突然キスをしてきた。

 

 唇に、だ。

 

 柔らかく、温かい感触。

 俺の頭が真っ白になり、動揺で心臓が跳ねる。

 

 ……長いキスが終わり、ライドウが離れる。

 俺から離れたとき、ライドウの顔は少し上気していた。

 

 そして振り返り、彼がジライヤたちに冷静に言う。

 

「……メシア教徒なら、裁判にかけられる罪だ。これで信用してくれるかな?」

 

 それにジライヤたちが上擦った声で「ああ……信じるとも」と答える。

 俺はまだ動揺が収まらず、頬が熱い。

 

 ライドウがジライヤたちに提案する。

 

「今、大切な仕事をしている。ガイア教徒のためになる仕事だ」

 

「君たちはここでメシア教徒狩りをして、私たちのために陽動を頼む」

 

 ジライヤのリーダーが「任せるがいい」と了承。

 そのまま俺たちは通路を進み、アリババがロックを解除した出入り口を抜けた。

 

 邪魔は入らなかった。

 ジライヤたちのお陰だろうか。

 

 

 

 ……なんとかセンターの内部に潜入成功だ。

 だが、ライドウとのキスが頭から離れず、気まずい沈黙が流れる。

 

 ザインが「妙な陽動だな」と呟く。

 何が妙なのかは言わない。誰も聞かない。

 

 ザインらしくない、中身のない発言。 

 

 沈黙が耐えられなかったのか、それとも彼もライドウの行動に動揺したのか。

 あれから口数がずっと少なかった。

 そして俺は、この状況を咳払いでごまかした。

 

 ……さっさとホーリータウンに向かおう。




頭がフットーしてしまうよ!

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