TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話 作:XX(旧山川海のすけ)
ホーリータウンに入った。
このエリアに戻ってくるのも久しぶりな気がした。
……数週間前は普通に生活していたエリアなのにな。
ホーリータウンの様子は……
静かだった。
前はもっと、ヴァルハラほどではないけど、賑やかな印象だったのに。
店も軒並み閉ってる。
ここの皆は買い物をどうしているのか?
……テンプルナイトが居ない。
どうしてだ?
センターからの通路にも居なかったし。
俺たちは不審に思いながらも約束のディスコ・ムーンライトに向かった。
……アリババが居た。
「やぁ久しぶり!」
……前に会ったときと同じく。
ラフな感じの、活動的な衣装で身を包んで。
オレンジ色長髪の、眼鏡の少女が俺たちを待っていた。
アリババの家は
「まぁまぁ上がってくれ」
……汚い部屋だった。
そこら中に何かを印刷した紙が散乱していて。
何冊もの本が、平積みで置かれている。
パンパンのゴミ袋が何個も放り込まれた部屋もあった。
そして本のタイトルを見てみると……
流石にハッカーだけあって、コンピューター関係の本が多かったけど。
どこから調達したのか、聞いたことも無いようなタイトルの漫画の本があった。
「キラキラ闇菓子アラモード……あやトラダークネス……」
思わずタイトルを呟くと、アリババは
「ああ、それはセンターが焚書対象にしてるご禁制の旧世界の漫画本だ。読みたかったら読んでも良いぞ」
来ていた上着を脱いで、タンクトップ姿になりながら、そんなことを言った。
さらに
「読んだら感想を教えてくれると嬉しい」
そう言った後。
彼女はこの自分の部屋に戻って来て、当然のようにパソコンチェアーに腰掛けて。
早速自分のパソコン……彼女のマシンを弄り出した。
流石ハッカーというか。
何台ものパソコンが合体した、複合マシンだ。
モニタもいっぱいある。
それで俺がここに来るまでに変に思ったことを色々話したから、それを調べようとしてくれているんだ。
流石に他人に仕事させて自分は漫画なんて無理なので。
部屋に散乱した紙を片付けたり
「この辺のゴミの回収は?」
「月水金だ」
……なんとか隣の部屋に放り込まれているゴミ袋を排除しようとした。
ザインなどは
「……何だこの冷蔵庫は。食料品が無いぞ。コーラしか入っていない」
「私はうみゃあ棒とカップ焼きそばしか食べない」
「ちょっと待て」
……まぁ、色々あった。
俺がなんとか外から食材を手に入れて来たり。
ゴミをゴミ置き場に放置してきたりして。
部屋を片付け。
ソーセージや餃子、売れ残り野菜などで鍋めいたものを作り。
センターがやってるニュース番組をテレビのチャンネルに合わせて
4人で食事をはじめた。
「他人と一緒に食事をするなんて久しぶりだな」
アリババは嬉しそうで。
「ずっと1人だったのか?」
「数年前に育ててくれたおじさんが死んでからはそうだな」
別に辛くもなさそうに。
アリババは語った。
センターの教える歴史という奴が嘘くさくて。
それを知るためにハッキング技術というものを学んだと。
で、色々知って反感を持ったりもしたが。
自分で行動を起こすのは無理だなと諦めていたら。
俺に出会ったと。
「私は他人より色々知ってるだけで何も出来ない人間だったけど、そうじゃなくなったのはオマエのお陰だ。サダハル」
そう言ってくれた。
何だかこそばゆい。
「……しかし」
そこにライドウが口を挟んだ。
「君はどうして、センターの目に留まらなかったのかな? 幼少期の知能テストで君ほど賢ければ、センターに住んでいるのが当然の流れだと思うのに」
……まぁ確かに。
アリババほど賢ければ、センターが見出してセンターに連れて行くと思うんだが。
それに対してアリババは
「……あのテストで好成績を出すと、知らんところに連れて行かれるなと思ったから、わざと成績を落としたんだ」
そんなことを言った。
マジか。すげぇな。
そんな風に、束の間だけど平和で楽しい食事の時間だった。
だったのに……
突然だったよ。
テレビの中で
『……突然ですが、センターよりTOKYOミレニアム市民の皆さんに向けて発表があるようです』
さっきまでファクトリーの崩壊に関するニュースを読み上げていたニュースキャスターがそんなことを言い出したんだ。
センターの発表とは?
(予想はされてるだろうけど)
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