TOKYOミレニアムから40代目が旅立つまでの話 作:XX(旧山川海のすけ)
「センターには……従わないと……」
「死にたきゃそこで1人で勝手に死ねや!」
前歯を失い、鼻血を流しながらボコボコに顔を腫らして倒れ伏したメシア教徒の女に唾を吐き掛けながら、ホーリータウンの住民たちは吐き捨てた。
「本当に大教会に行けばここから逃げられるんだな!?」
「ああ、3階に地下世界へ続く直通エレベーターがある」
そこから自力で向かって欲しい。
安全では無いから、キッチリ武器を用意して、バラバラにならないように慎重に……
時間はまだ1日あるんだから、絶対に慌てるな。
……そう伝える。
集団狂気で死者が出たら、それはあまりにも虚しいし。
そう告げると
「分かった! ありがとう!」
「なんとかやってみるわ!」
……ここの住民は、あまり無茶は言って来なかった。
人間のレベルはファクトリーより上ってことか……
少し複雑だった。
育ちの差って奴か……
この一部始終を見ていたザインはずっと黙っていた。
実はずっと顔を隠している。
アリババの家にあった、おたふくの覆面を被り続けている。
……彼が顔を出すと色々ややこしいことになるしな。
お前が出頭すれば俺たち危険な地下世界に行かなくて済むだろとか。
もしくは俺たちの言ったことを疑ってくるとか。
……俺たちの言葉がすんなり届いたのは、俺たちの言葉が最後の希望だったからだ。
こんな状況で、その希望を疑ってかかる慎重な奴ってそうそう居ないんだよ。
まあ、アリババからの受け売りだけど。
半分くらい。
だからザインの顔出しはマズいんだよな。
最初はアリババと一緒に待機しててくれと言ったんだが、同行すると言って聞かなかったんだよ。
だからまぁ、マスクマンになって貰った。
「……情報開示を全てやらないのは嘘とは言わないが……」
人が居なくなったからか。
ザインが呟く。
……気にしてんのかね。
アリババが空調のロックをして、毒ガスを流される危険性は今は無いってことを住民に言わなかったの。
言ったら面倒ごとが増えるだけで、俺たちが想定している結論に行く邪魔になるから敢えて言わなかったんだけど。
ザインはそう言うことを気にしてしまうんだな。
この男の真面目さに、俺は少し好感を持った。
面倒くさい奴だなとも思ったけど。
ホーリータウンの住人が、脱出のために忙しく働いている。
このまま、何事もなく済めばいいけど……
そう、俺は思っていた。
多分そうはならないな、と思いつつ
そしたら
『おいサダハル』
……案の定だった。
アリババから連絡が入った。
『センターが空調ロックに気づいた。直接的にホーリータウンの人間を殺戮するために兵隊を寄越す気になってる』
ほらな。
絶対してくると思った。
「それはエグゼクターか?」
俺の脳裏に、チェーンソーで武装したメシア教の殺し屋たちの姿が浮かび上がった。
だけど
『いや』
それは違ってて。
そしてアリババの言葉には緊張があった。
その理由は……
『ターミネイターだ』
真女神転生20XXだと、銃が通じない厄介な奴らなんですよねぇ。
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