ようこそ俺の実力至上主義のまちがった青春がある教室へ 作:ゆっくりblue1
「……ん」
カーテン越しの日射しの眩しさとむっとする蒸し暑さで目を覚ました。静かな空間で、物音はしない。最近は今頃の時間帯には朝食の匂いがしていた。身体を起こして横を向いても誰もいない。昨日ここにいた女の子の姿は見えない。
「……あっちの部屋に戻ったんだったな」
そう静かに呟き、時間を確認する。今は午前7時。休日ならば惰眠を貪るのだが、今日も今日とて平日で学校に登校しなければならないのでだるい身体を起こしてベッドから出ようとして、ぶー、ぶー、と机に置いてある携帯が鳴った。
携帯を取って着信元を確認すると、椎名からだった。鬼龍院先輩とかだったら怖かったが。俺は電話に出た。
「……もしもし、椎名か?」
『はい、おはようございます八幡君』
「……はよ。昨日は2時に帰ったんだろ?良く起きてたな」
挨拶を交わしてそう俺が聞けば、椎名はこう返してきた。
『何時もは大体この時間には起きるようになっているので、2時に寝てもその習慣がついたみたいです』
椎名はこの時間帯には何時も起きているのか。……まぁ、ここに泊まる前にも俺を朝に起こして朝食を作ってくれてたからな。この時間に起きているのは当然と思えば当然だ。そう納得していると椎名が続ける。
『八幡君を起こして朝食を作る為にしていたのでそれもあるのかもしれません』
「……そうか」
椎名の生活リズムに俺が関わっていると聞けば、何とも言えない気持ちになった。そして椎名に、また学校で。と言われたので、おう。と返して通話が終わった。そして俺は洗面所に行って学校の準備は始める。久しぶりに自分で朝食の準備をしたな。
そして登校する時間帯になると荷物を持って、部屋を出てエントランスに向かえば椎名と松下がいた。俺を見つけると2人は近寄って来た。
「改めておはようございます八幡君」
「おはよう比企谷君」
「……おう、おはようさん」
そう挨拶をすると椎名は鞄から四角い包みに入った物を取り出して、俺に差し出す。
「八幡君用のお昼のお弁当です」
「……わざわざ作ってくれたのか」
目立たないように早めに受け取って鞄に丁寧にしまう。今は一緒にいないんだから手間だろうし、作らなくても良いのにと思っていると椎名は微笑みながら言う。
「2人分作るのも当たり前になっていた様で……中々癖が抜けないみたいです」
苦笑気味に言う椎名。分かる。朝食を食べる時にも2人分の食事を用意しそうになったからな。すると松下は溜息を吐いて言った。
「2人とも、そういうことは早めに切り替えないとボロが出るよ?こんな所でバレたら私が黙っている意味もなくなるよ」
さーせん。確かに騒動が収まるまで上手く隠さないとこんな調子でいけばボロが出る。Dクラスにバレたら特に面倒なことになるだろうし、気をつけないとな。…今も視線を感じたし。
「では、お先に行きますね」
椎名はそう言って学校に向かって行った。一緒に登校する時が騒動が起こる前だったので今更別れて行く意味も殆ど無いかもしれないが、騒動でピリピリしている中で呑気にCクラスの椎名と登校すればDクラスの鬱憤がこっちに向かってくるかもしれないので、別れて登校することにした。
俺はそういうことには慣れているので別に大丈夫なのだが、それが椎名に降りかかるのならば俺としても本意ではない。……椎名の提案を受けて今迄やってきたのは俺の責任だしな。
「じゃあ、行こうか」
すると松下に促されるので、俺は疑問に思った事があって聞く。
「……何時も仲良くやってるグループは良いのか?こうやって俺と登校していて、変に目立つだろ」
本来、松下はクラスの上位カーストグループにいる。俺の様なカーストにも属さないボッチと毎回一緒にいる所を見られたら変に勘繰られる。すると松下は平然としながらこう言った。
「別に大丈夫だよ。噂されているんだったら勝手にされるんだから、知ってる?女子の中で学年別にランキングとか作られてるの、男子人気ランキングとか根暗ランキングとか」
何だそれ。そんなもん作ってんの?つーか、根暗ランキングとかって絶対要らないよね?上位の奴は居た堪れない。俺?上位に決まってんだろ。皆の平田洋介とか言うリア充イケメン専用スキルのザ・ゾーンとか持ってねえし。何あれ、何で笑っただけでキラキラエフェクトが見えんの?眩しいから止めてほしい。イケメンスマイルの補正とか要らん。キラキラエフェクトは沖谷ぐらいで良い。異論は認めん。
「比企谷君のランキングとかも言おうか?主にイケメンランキングとか根暗ランキングとか」
「別に良い。如何せイケメンランキングが低くて根暗ランキングがトップ10には入ってんだろ。自分からキツい結果を聴きにいく性癖は無い」
自分では基本的に高スペックで眼が腐ってなかったらそこそこイケメンだと自負しているが、あくまで自負なだけで俺より高スペックやイケメンはいるし、この眼でビビられることもあるから良い結果ではないと分かる。て言うかぶっちゃけどうでも良い。見た目だけの判断なんてあんまり当てにならんからな。主に坂柳がそれ。あんな御伽噺に出てくる様な外見をしていてお淑やかどころか寧ろ支配者だし。すると後ろから声が掛けられる。
「おはようございます。比企谷君」
その声に思わずビクッとしそうになるのを堪えて振り返れば其処には微笑みながら杖をついて立っている坂柳と坂柳の荷物と自分の荷物を持った神室がいた。
「………うす」
「おはよう。坂柳さんに神室さん」
そう適当に挨拶を交わしあうと、坂柳が怪訝そうな顔に一瞬なった。そして神室が口にする。
「……椎名は居ないの?」
「……最近の騒動でクラスの雰囲気がピリピリしてるからな」
そう頷きと共に答えれば坂柳も神室も合点がいった様な表情になった。そして良い時間になったので登校し始めた。目立つことなく1人で行きたかったのだが、松下が。
「もう既に結構目立っているから別に良いんじゃない?いきなり1人で行動したら返って目立つと思うよ?」
と言ってきた。別にステルスヒッキー使えば大丈夫では?と思いつつも、いきなり変わり過ぎても怪しまれるよ?と続けて言われたので一応納得して、4人で登校することになった。と言っても目立つこと無いように松下達の3メートル程後ろから着いて行く形をとった。ストーカーとかじゃないよ?側から見たらそう見えそうだけど。……自分で思って悲しくなってくるからこれ以上は止めよう。
そう言えば何処か不満そうな顔を3人からされたが。後ろからついて来られるのは嫌ですかそうですか。まあ俺でも嫌だから当然と思えば当然なのだが、此処は我慢してほしい。
そして松下達の会話を聞きながら学校の昇降口にまで着くと、ある昇降口のロッカー前に一之瀬が立往生しているのを見つけた。手には紙の様なものを持って困った表情を浮かべている。まあ関係無いよなと視線を逸らそうとして、一瞬こっちに振り向いた一之瀬と視線がかち合ったが、俺は何も見てませんよーと示すように視線を逸らして下駄箱の方に行って靴を履き替える。
そして坂柳達と別れてDクラスの教室に向かった。
そこから特には何も無く、何処かから視線を感じつつも授業を受けて昼休みになって最近のマイベストプレイスに行く道中、掲示板の前で話し合っている綾小路と一之瀬ともう1人のイケメン男子生徒がいた。真剣な表情で話し合う姿は修羅場か?とも思いそうだが、話の内容がDクラスとBクラスの同盟についてだったので違うと分かって話し掛けられないようにステルスヒッキーを使おうとしたところで運悪く一之瀬とまたもや視線がかち合った。
「あ、比企谷君」
その言葉にと一之瀬の視線に沿って綾小路やもう1人の視線もこっちに向いた。聞こえない振りは……視線合っちゃったから無理っぽいな。内心で溜息を吐いて渋々呼ばれた方へ向かう。
「……何か用か?飯食いに行きたかったんだが……」
そう嫌そうな言い方になってしまったので一之瀬は申し訳なさそうに眉を下げた。
「そうだったんだ。ごめんね?比企谷君」
ションボリした様子に流石に言い方がアレだったかと思って、こう言った。
「……悪い。ちょっと言い方が悪くなった。別に謝らんでもいい」
「……如何やらその様子だと知り合いらしいな」
一之瀬と俺のやり取りを見て一之瀬の隣にいるイケメン男子生徒が言った。そして続ける。
「……自己紹介が遅れたな。一之瀬と同じBクラスの神崎隆二だ。宜しく」
「……Dクラスの比企谷八幡だ」
落ち着いた自己紹介をされ、握手を求められるように手が差し出されたが握手した事で相手が不快に思ったら嫌だからしない。断じてコミュ障の弊害じゃない。そして取り敢えず聞くことがあるので綾小路の方を見た。
「それで、話の内容は大体察せられるが綾小路は何かあんの?」
「俺は掲示板を見て良い情報が無いかを集めていたら一之瀬達と偶然会って手を組まないかと言われていたところだ」
ほーん、堀北に頼まれた。って言わないところを見ると自主的に動いてんのね。須藤と此奴は結構話してるから外見上は不自然じゃないな。知りたいことは知れたし、話す事ないからこの場から離脱しようとして、一之瀬に予想外の事を言われた。
「比企谷君、連絡先を交換しない?前も会ったし、有力な情報を得た時に教えられるし」
その言葉に思わず警戒心を出す。一回会って一二言、しかも松下も居たのにも関わらず連絡先を交換したいとか、親父からのクソ英才教育(もしくは失敗人生の教訓)で美人が積極的に話しかけてきたら美人局を疑えって夢の無い事を言われたのと中学の時のことがある所為で善意を見せて話しかけてくる奴は基本的に疑っている。椎名も松下も坂柳も最初は疑ってたし。でも椎名は天使で純粋だし、松下と坂柳は契約関係があるから変に疑わないで済んでいたが、一之瀬は違う。なので言った。
「……別に俺は特にこの事件には関係無いし、交換しても何もないから意味が無いと思うが、何でだ?」
そう聞けば一之瀬は困った様な表情でそれは、その…と歯切れが悪くなった。そして沈黙が此処で降りて気まずい空気が流れる。ちらりと神崎の方に視線をやる一之瀬。如何やら神崎の前では言い難い様。綾小路と神崎がこっちに視線を向けてくる。視線的に交換してやれよ。という様な感じだ。
……このままじゃ飯食いに行けねえし、別に交換するだけなら良いか。此奴は櫛田の様なタイプじゃなさそうだし。と内心溜息を吐いて言った。
「……分かったから気まずい空気出すのは止めろ。俺が悪いみたいに見えちゃうだろ」
「…良いの?」
そう恐る恐ると言った表情で聞いてきたので、頷くと一之瀬はホッとした様子になった。余りにもその様子があからさま過ぎて、つい。
「午前3時しか相手無理だけど」
「その時間寝てるよね!?私も寝ちゃうから無理だよ!」
そう律儀にツッコミを入れる一之瀬。笑いを堪えつつもこう言う。
「連絡来たら見るから大丈夫。返信するかは分からんけど」
「独り言みたいになるからせめてメッセージは送ってよ!?」
声を出して全力でツッコむ一之瀬はその反動で顔を赤くして息を荒くする。……字面にしたらヤバい状況だよな。
「冗談だ。1%ぐらい」
「99%は本気ってことなの!?どれだけ私と連絡取るのが嫌なのさ!?」
「……比企谷。一之瀬をそこまで揶揄わないでやってくれ」
俺の揶揄いに見兼ねた神崎があきれた様子で言ってくるので流石にやり過ぎたかねと思ってこう言う。
「本当に冗談だ。けど返信はあんまり催促するのはやめてね?そういうノリはボッチの俺にはきついから。そしてごっめーん、電池切れてたとか無視して揶揄うのも枕濡らすことになるから勘弁してくれ」
「しないよそんな事……」
ツッコミ過ぎて疲れた様子で俺を見てくる一之瀬。……まぁ、此奴は良い奴そうだからしないだろうけど。わざわざツッコミ入れてくれるし。律儀過ぎて利用されそうでちょっと将来が心配。
そんなこんなであきれた様子の3人と別れて図書室の階段前に行った。
椎名の弁当を食べて、美味かった。とメッセージを送ると、お口に合って良かったです。と返ってきた。まあこのやり取りも習慣化している。この癖は大丈夫だろ。と思いつつも弁当をきちんと片付けて図書室に向かう。
図書室に入ればやはり静謐な空間。俺は椎名が居る場所を探すとすぐに見つけた。ただ、何時もと違って居る人物が3人。
「八幡君」
俺の事に気がついた椎名が声を掛けてきたので向かう。そして椎名以外の奴に向かって言った。
「……坂柳と神室は前にも此処に居たが、松下まで居たのか」
椎名の他に今居るのは坂柳と神室と松下だが、松下が図書室に居るのは見たことなかった。軽井沢達のグループと話している事の方が多いし、本もそこまで読んでいる様子はなかった。ただ、最近は軽井沢達のグループと余り話してなさそうだが。そう思っていると松下はこう言う。
「…何?そんなに図書室と縁がなさそうに見える?」
俺の物言いに引っかかったのか、若干眼を険しくさせる松下に俺はこう言い返す。
「別にそういうことを意味して言ったわけじゃねえよ。ただ、最近軽井沢のグループとあんまり話してないのを不思議に思ってただけだ」
別に意識して見てはいないが、最近は交友グループよりも俺に絡んできている気がする。これは自意識過剰では無くてはっきり実感を伴っている。この騒動が起きる前からそれらしい動きは有ったがこの騒動をきっかけにそれが増した気がする。
そう言えば松下は少し神妙そうな顔になってこう言った。
「最近グループの様子がちょっとね。軽井沢さんはそこまでなんだけど、他の篠原さんとか佐藤さんの須藤君が起こした事件で苛々してて悪口のオンパレードで、流石にちょっと距離を置こうってことにしたの」
そう少しだけ疲れた様子で言った松下。俺は納得する。須藤の起こした騒動の所為で貰える筈だったpptが貰えないんだったら須藤に対しての影口が増えてもしょうがない。松下の居るグループは最上位カーストグループだ。影響力もまあ強い。女子の空気が悪い原因のはそれだ。
松下は計算高いし、愚痴も言うが、それでも人の悪口をあまり言わない。嫌なものは嫌だと言うが、理不尽に貶す事はしない。俺に話しかけてくれるぐらいには良い奴だ。
「それに、今は比企谷君や椎名さん達と居る方が落ち着くの」
「………そうかい」
そう僅かに微笑む松下の言葉を眩しく思いながら言う。するとふと坂柳が言った。
「そう言えば比企谷君、Bクラスの一之瀬さんと連絡先を交換されてましたよね」
坂柳の言葉にこの場の温度が低くなった気がする。微笑みながら爆弾を落としにくる魔王。同情の視線を向けてくる神室。そして雰囲気が冷え冷えとしている椎名と松下。特に疚しいわけではない筈なのに何故か冷や汗が止まらないのですがどうすればいいですか安西先生!
「……八幡君には何故女性で然もハイレベルな人ばかり集まってくるのでしょうか?」
「本当に謎だけど、その話は詳しく聞かせてもらいたいなぁ」
そう良い笑顔を向けてくる椎名と松下。とりあえず眼が笑っていないのを何とか戻して欲しいなぁ。この後めちゃめちゃ尋問された。
そして尋問された後、疲労しながら次の授業が数学だったので、眠気と闘いながら何とか突破して、次の授業も受け終えて、HRが始まり、茶柱先生が話し始めた。
「今からHRを始める。が、その前に須藤。お前の処分について生徒会でCクラスと話し合いが来週の月曜日にある。しっかり覚えておけよ」
如何やら生徒会の話し合いが来週に行われるらしい。須藤は緊張した面持ちになった。すると、堀北が挙手をした。
「先生、よろしいでしょうか?」
「何だ堀北?」
「話し合い時に此方側の参加は可能でしょうか?それと人数についての制限は有りますか?」
そう聞けば、茶柱先生は人数合わせとして2人まで可能だ。と言うので堀北は分かりました。ありがとうございますと言う。クラスメイトは堀北の物言いに驚いていた。その質問をするということは堀北が話し合いに参加することを意味しているからである。
堀北は須藤を嫌っていることはクラスでは周知の事実。実際に須藤の問題にはあまり力を貸していない。その堀北の参加にクラスメイトは驚いている。が、堀北はあくまでcptの為であって須藤の為ではない。
「…堀北、お前」
だが勘違いしている奴が1名、当事者たる須藤である。自分の事を思って参加を希望したのだと勘違いした。これで更に好感度が上がった。隣の松下は呆れている。おい須藤、その先は地獄だぞ(某弓兵)。
そしてHRは進行し、終了すると、放課後になったので帰る準備をする。すると、堀北に声を掛けられた。
「少し良いかしら比企谷君。話があるのだけれど」
「……手短かにな」
わざわざ堀北が話しかけてきた事に嫌な予感がしつつも用件を問う。すると堀北は平然と言った。
「来週の話し合いに貴方も参加して欲しいのだけれど」
「………はぁ?」
思わず素っ頓狂な声が洩れてしまった。堀北の予想外の言葉に松下も呆気に取られている。周りのクラスメイトも同様だ。特に須藤は驚きに目を見開いて慌てて言った。
「おい、堀北。何でこんな奴を参加させようとすんだよ!?」
「……それについては同感だ。前にも言ったが俺には関係無いぞ」
須藤の言葉に便乗して言えば、堀北はこう言った。
「貴方はこの騒動を上手く解決する手段を持っていると思っているわ。貴方の言葉の端々から推測して出た結論よ。この騒動を上手く解決する力を持った貴方を利用したいと思ったのは当然だと思うのだけれど?」
あっけらかんと言う堀北。俺は若干驚いていた。1人でやるのが当然だと言った堀北が利用するとは言ったが、実質的に頼ってきたのだから。堀北の中でかなりの変化があった様だ。
とは言っても俺はこの事件に関わって解決したとしても大したリターンを得られない。pptは生徒会長との契約で潤っている。cptを得ると言うだけでは俺を納得させるには甘い。
「……俺を納得させるには足りないな。俺を働かせるより、綾小路を働かせる方が有効だと思うぞ?」
そう言えば堀北は何故か不敵な笑みを浮かべる。何だ?嫌な予感が。そして耳元で急に囁かれる。
「……椎名さんとのこと、話しても良いのかしら?」
「……何のことだ?」
堀北の言葉に平静を装って聞くと、堀北は不敵な雰囲気を崩さずに言う。
「…椎名さんとはお弁当を渡されている関係性だということをよ」
……あの朝に感じたのはよりによって此奴のモノだったか。早めに出たのが裏目になったな。最近一之瀬と言い、堀北と言い、見られることが多いな。今度はちゃんとステルスヒッキーをしておこう。俺は内心鈍ったなと思いつつふっと息を吐いて言った。
「……分かった。協力する。だから離れてくれ。クラスの視線が痛い」
「…ええ、感謝するわ」
そう素直に従って礼まで言った堀北。俺は堀北の様子に思わずこう言った。
「……お前、何か前と変わったな」
「……貴方が視野を拡げて利用出来る物は利用しろと言ったのよ」
そう何故か悔しそうな表情になる堀北。どんだけ俺に指摘されたのが悔しいんだよ。本当に負けず嫌いだな……
ま、此奴の成長に免じて働いてちゃっちゃとこの騒動に決着を着けるかね。後松下さん、そんなジト目で睨まないで。バレたのは俺も予想外だったから。