ようこそ俺の実力至上主義のまちがった青春がある教室へ   作:ゆっくりblue1

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高度育成高等学校データベース(4/1時)

氏名 比企谷八幡 Dクラス 
誕生日 8月8日

学籍番号 S01T004758

部活 無所属

学力 B+

知性 A

判断力 A-

身体能力 C

協調性 E


面接官からのコメント

学力や判断力、知性共に高校生としては非常にポテンシャルが高く、更に身体能力も平均的であった為、Aクラス相当と見込まれたが面接時の消極的な応答態度や明確的な将来の展望がなく、他者との関わりが非常に少ない事から社会的対応の仕方を改善していく必要があると判断して、Aクラスを見送り、Dクラス行きとする。また、別途資料では小学四年生時前の資料が存在せず、評価点としては中学以降のもので算出したため、確定評価では無い。




担任からのコメント

真面目に授業を受け、授業妨害もない様子である。更にDクラスでは唯一Sシステムの絡繰りを初日から見抜いた。Dクラスでは隣席の松下千秋以外は特に生徒と関わる事はほとんどない。しかし、他クラスとの生徒との関わりは多く、特に問題行動は起こしていないが自クラスの生徒とも関わりを持ってもらいたい。


隣人が自分の黒歴史を覚えていたら普通泣く。

 

 

 

人生で一番印象に残った入学日から1日が経って、寮の生活規則や禁止事項を覚えた。男子と女子のフロアは階数が違って、下が男子で上は女子のフロアとなっている。基本的事項はゴミ出しの指定日、生徒同士のトラブルとなり得る自室以外の部屋への嫌がらせ行為、器物破損、騒音トラブルを起こさない。男子は女子の部屋に八時以降、入室を禁じる。と言ったようにこれと言って驚くようなものは無い。

 

部屋の電気代や水道水、ガス代は基本的にpptから引かれないようで、俺は其処に驚かされた。部屋の広さも1人で過ごすには充分過ぎるほどの広さだ。1番感謝しているのは、風呂とトイレが別々になっている事だった。一緒とか衛生的にも心理的にも嫌だからな。

 

そして、今俺はコンビニに行って、他に必要となる生活用品を買いに行っている。食料品や飲料水、食器用洗剤と風呂用洗剤、身体の清潔を保つ為のシャンプーやボディソープ、歯磨きセットなど最低限必要なものを買っておく。それ以外はpptの節制の為に使わない。来月pptが無かった場合に備えてである。無料商品があり、それをカゴに入れた生徒がいた。すると声が聞こえてきた。

 

「相変わらず貧相な生活を送ってんだな、不良品は」

 

「しょうがねえよ。最後に落ちるクラスはあんなもんだ」

 

嘲笑とも言える言葉に無料商品をカゴに入れた生徒は、悔しそうに顔を歪めつつ、レジに並んで行った。そして嘲笑した生徒達はニヤけた顔でコンビニを出た。……だから90点だったのか。

 

俺はそれを尻目に必要なものをカゴに入れたのでレジに行こうとすると、前で買い物していた女子生徒のハンカチがズボンポケットから落ちた事に気付いた。その女子生徒が落とした事に気付いていないので俺は花柄のハンカチを拾い上げて女子生徒に対して声をかけた。

 

「…あの、これ落としましたよ」

 

その声に女子生徒は振り向くと、自分に対して言われたこととハンカチの有無を確認した後に慌てて言った。

 

「本当だ。どうもありがとうございます。ってあれ?君って……もしかして比企谷君?」

 

俺のことを知っているようだったが、俺は相手に見覚えはない。怪訝に思っていると相手は苦笑しながら言った。

 

「まぁ覚えてないよね。一応同じ中学校出身で3年間同じクラスだったんだけど」

 

「……何で俺みたいなボッチを知ってる?別に有名になるようなことはしてないと思うが……」

 

そう言うと気まずそうな顔になって言いにくそうにしながら驚きのことを言われた。

 

「……比企谷君が中学校に告白していた折本かおりって子がいたでしょ?私はその子と仲が良かったんだ。その子から告白したことを話されて知ってたの」

 

折本かおり、中学校の1番の黒歴史となった人物の名前であり、俺が中学校で虐められるきっかけを作った人物でもある。その時の自分は単純で女子生徒に親しく接して来られただけで期待して好きになってしまう程の奴だった。

 

折本かおりは小学校の頃に眼が原因でヒキガエルと言われてきた俺にも親しくしてくれる奴だった。だから俺はそれが嬉しかった。折本の俺への態度にもしかしてと思って告白をした。しかし返ってきた言葉は。

 

『友達じゃ駄目かな。私は比企谷のことをそういう風に思えないんだ』

 

見事な失恋だった。そして撃沈した翌日に更に追い討ちをかけるかの如く、校内一と言っていい程、男女ともに人気だった折本に告白したことは瞬く間に自分のクラスどころか校内全体に駆け巡っていて、あらゆる生徒から失恋のことをネタにされ、虐められる日を過ごしていく羽目になった。そして何故告白したことが他人に洩れたのか……それは折本がうっかり友達に話してしまったのだ。

 

苦虫を噛み潰すように顔を顰めた後、俺は過去は過去だと割り切って過ごすことを決めていたので切り替える。それにしても同じ中学校出身の奴だったとは思わなかった。すると、相手は思い出したように自己紹介する。

 

「あ、ごめん。名前は言ってなかったね。私は松下千秋って言うんだ。Dクラスだよ」

 

「……そうか。俺もDクラスだ」

 

どうやら同じクラスだったようで、関わることはないとは思うが、学校の動き次第では嫌でも関わる可能性が出てくる場合が同じクラスなので現れた。

 

「……そっか。……とりあえずレジに並ぼうか」

 

「…ああ」

 

そう言って何処か重い空気が流れ、俺も松下も沈黙したままレジに並ぶ。コミュ力皆無な俺としてはこのような空気の払拭の仕方なんて知らないし、話題もないのでどうしようもない。そして買い物を済ませて店を出ると、同じく店を出た松下が口を開く。

 

「比企谷君は…あの事については……」

 

「……もう過去のことだ。別に気にしてねえよ……松下が気にする必要はねえよ」

 

気まずそうな顔でそう言われたので気にしないように言っておく。気にされる方がこっちとしても気まずい。如何せあまり関わりは持たないだろうし、同情を持たせたくないし、接して欲しくもない。だから言った。

 

「同情で言ってるんだとしたら辞めてくれ。別に松下が悪い訳でもないしな」

 

「……分かった」

 

松下はそう頷いたので俺はそのまま寮へ戻ろうとすると、松下に呼び止められる。

 

「……あ、あの、さ。連絡先交換して良い?」

 

「…何でだ?」

 

「かおりから比企谷君の事を聞いてたんだけど、あの子が比企谷君は詰まらないって言葉が話してみると全くそう思わなかったから。折角だからお話ししてみたいなって思って……」

 

松下の言葉や表情からは同情で言っている訳ではなく、純粋な興味の色が宿っていた。俺と話したいなんて物好きだなと思いながら、携帯を出して渡した。その行動に松下は驚く。

 

「え、私が登録するの?普通はそんな躊躇無く渡さないよ!?」

 

「別に見られて困る物はないしな。あんまり知り合いはいないし、やり方が分からんから頼むわ」

 

正直なところ何かあった時の保険として知り合いが多い奴の連絡先は持っておいた方がいいだろうと思ったからだ。松下は人気者だった折本と友達だったと言っていたので、コミュ力は高いだろうし、この学校は普通の学校とは違う。同じクラスの連絡先は得ておけば役立つかも知れない。

 

松下は俺の言葉に苦笑する。そして時間はかかること無く直ぐに連絡先交換をやり終えた。すると松下は俺のスマホを見て不思議そうな顔をして聞いてきた。

 

「坂柳って人の連絡先もあるんだ。この人はDクラスには居なかったから他のクラスの人の連絡先だよね?」

 

「……ああ、強制的に交換させられたんだけどな」

 

如何やら松下はDクラスの人物を全員把握しているっぽい。入学日から1日経って坂柳からメールが来た。お茶の誘いだったが、俺は断った。なるべく関わりたくないからだ。連絡先の削除も考えたが、坂柳の報復が怖いので一応置いている。彼奴は本当に有言実行するタイプだろう。なんとなくだがそんな予感がするのだ。

 

「………まぁ、俺からあんまり返事することはないと思うが、それでも良いのか?」

 

「うん、別に良いよ。比企谷君って会話とか苦手そうだし。でも少しは返事するぐらいはしてよ?」

 

「……善処するわ」

 

「あはは、善処するってやる気無いでしょ。……まぁ、比企谷君は隣りだから別に普通に話せば良いか」

 

本当、思わせぶりなことは言わないで欲しい。そんなつもりは全く無いことはわかっているが、少し心臓に良くない。って、隣?

 

「隣の席だったのか?」

 

「ああ、うん。最初は私も気付かなかったんだけどね。入学日の自己紹介の時間の時に隣の人がいない事に気付いたから、最初から居ないとも思ったけど比企谷君がDクラスって言ったから分かったんだ」

 

……まさかの隣の松下も俺の事に気付いて無かったんだな。自分のことながら影薄すぎるな。まぁ如何でも良いか。

 

そして俺はスマホを受け取って松下と別れた。まさか中学の同級生だったとは思わんかったな。

 

 

 

 

 

 

 

そして時間は過ぎて入学日からの2週間と少しが過ぎようとしていた。あれから隣人の松下と会話が発生する様になった。学校の動きにも気になる事がある。

 

正直なところ、Dクラスの生徒は常識を小中学で学ばなかったのかって言いたくなる程に酷い。特に松下から教えて貰った池と山内、須藤の3人は凄惨の一言だ。

 

授業中に騒ぐわ、遅刻するわとやりたい放題である。こちらも授業に集中出来ずに苛立つ程だが、俺も含めてそのことを注意する生徒はいない。その理由は単純で、不良の須藤が怖いのである。しかし生徒は未だしも教員たちもそのことについて何も言わないのだ。怒りもしなければ注意もない。全く意に返さずに授業を進めていく。まるで後でその行いの結果が返ってくるぞと表すかのように。

 

pptの増減に関わることは確信しているので、このままでは相当少なくなる。最悪、1ポイントも貰えない可能性がある。クラス単位なのか個人単位なのかはわからないが、クラス単位ならば俺を含めて真面目に授業を受けている生徒もポイントが貰えない事になる。それに備えて節制していて、『88,000ppt』が俺のpptの残高だ。

 

しかしそれにしてもうるさい。休み時間じゃうるさ過ぎて図書館で過ごすくらいだ。隣人の松下も授業中はかなりイライラしていて、たまにメールで愚痴を言ってくるぐらいだ。

 

そして今日、遅刻しないように余裕を持って登校すると、何時もは遅刻ギリギリの池と山内が妙にそわそわしながら登校していた。周りのクラスメイトは不審なものを見るように見ていた。

 

「やー、早いな俺達!」

 

「たりまえだろ。今日は体育の日で水泳だぜ。この日が楽しみで早く来ちまったよ」

 

この会話である程度察したクラスメイトが軽蔑の目で見ていることに気付かない馬鹿2人。この2人は人一倍異性について興味があるので良く下世話な話しをしているのはいやでも耳にしてしまう。

 

2人は男子を集めて何かを話し始めた。十中八九ロクな内容じゃねえだろうな。俺は誘われないように気配を消して席に座って机に顔を伏せて耳にイヤホンをつけておく。そして盗み見る。何やら女子の事で賭けをしているようだ。すると、池は感情の読めないイケメン、松下から聞いたが綾小路清隆と言うらしい。綾小路を誘っていた。誘われた綾小路は無表情で全く持って感情の読めない顔だった。

 

そして一限目の体育の時間になった。更衣室で黙々と着替えていると男子の興奮した様な声が聞こえてきた。うるさいな……と思いながら水着に着替えていると、横で同じく黙々と着替えていた先程の綾小路が急に声をかけてきた。

 

「……その、少し良いか?」

 

「……何だ?」

 

急に声をかけて来たため、思わず身構えそうになる。すると綾小路は感情の読めない声で言う。

 

「いや、名前が知りたくてな。未だ話しをした事がなかったから」

 

「……そうか。比企谷八幡だ」

 

「綾小路清隆だ、宜しく。良ければ友達になってくれないか?」

 

「……何で友達に?」

 

「友達は多い方が良いだろう?」

 

此奴はボッチだ。それはなんとなく雰囲気で俺と似ているから解る。だけど友達を欲しているらしい。その姿勢に何処か違和感があった。俺は言う。

 

「……いや、遠慮しておく。別に友達になったとしても話題もそんな無いから。あんまり関わることはないだろうしな」

 

そう断りの定型句を言う。本当は此奴と関わり合いになったらヤバそうと思ったからだ。バスで見た時に思ったが、此処まで表情の起伏が無い事と、視線の無機質さが怖いのだ。綾小路は断りの言葉を言われたにも関わらず、表情一つ変えず、そうか。と理由を聞く事もなく言った。

 

そして、水着に着替えて男子更衣室を出ると、男子は全員いるが、女子の姿が殆ど無かった。そのことに女子の水着が拝めると思っていた男子は落胆していた。

 

「折角、男女混合で女子の水着を拝めると思ったのにいい!」

 

「長谷部ちゃんの水着があああ……」

 

その言葉に水着に着替えていない見学している女子は軽蔑の眼差しを向けているが、男子は余り気にした様子はない。俺は溜息を吐くと、急に男子の歓声が上がった。

 

「櫛田ちゃんだああ!!」

 

「おおおおお!此処に来られて良かったああああ!!」

 

その歓声が上がった理由であるDクラスの人気者の美少女、櫛田桔梗が水着を身に付けて現れたからである。抜群のプロポーションは思わず男子が前屈みになる程だ。何かと綾小路と会話していた黒髪ツリ目の、堀北?も居た。松下の姿もある。そして見学者以外の参加者全員が来た事を確認すると、教員が集合を掛けたので集まった。

 

「よし、全員集まったみたいだが、随分と見学者が多いな………まあ良い。今からお前達には男子女子に別れて、競泳してもらう。1番になった奴には5,000pptをやる。逆に下位の三名には補習を受けてもらう。泳げない奴は絶対泳げるようにしてやるから安心しろ」

 

その言葉に生徒達は驚く。まあpptを貰えるとは思って無かったからだろう。そして生徒達はやる気を出す中、俺はその様子を外から見ていると競泳が始まった。

 

俺はプールサイドに座って、順番が回ってくるまで待っていると、横から近付いてくる存在がいた。最初に泳ぎ終えた綾小路である。

 

「何でそんなに端にいるんだ?比企谷」

 

「……騒がしいのは苦手だからだよ」

 

俺の隣で座って男子の泳ぐ様子を見ている。て言うか綾小路、腹筋凄えな。そう思いながら競泳を見た。男子で速い奴は須藤と、高円寺が別格だった。そして俺の出番が回ってきた。

 

泳ぐための屈伸運動をしていると女子の応援の歓声が響く。俺では無く、俺の横にいる爽やかイケメンにだが。

 

「かっこいいー!頑張ってー!平田くーんっ」

 

平田というイケメンは応援席に向かって微笑む。すると更に女子の歓声が響く。まるでアイドルだな……と俺が思っていると、ふと松下が此方に向いていることに気付く。頑張って、と口パクで応援して来たので小さく頷く。

 

そして始まりの合図が響き、一斉にスタートする。運動神経の良い平田がトップに立って他のレーンの奴を突き放す。俺8人中3番目の位置にいる。特に目立つ結果を出すつもりもないのでそこそこの力で泳ぎ、3番目でゴールした。

 

1番になった平田が注目を集めてくれていて目立つことが無かった。そしてプールサイドに行く。すると綾小路が櫛田と堀北の2人と話している事に気づいたので離れたところに行く。

 

そして充分離れた位置に行き、しゃがみ込もうとしたところで松下が近付いてきた。松下は競泳水着の姿だったので視線を逸らした。

 

「中々速かったよ。比企谷君」

 

「……速いって言っても平田が持っていったがな」

 

苦笑する様にそう言うと、松下は俺の身体をジッと見つめていたので気恥ずかしさを感じながら聞く。

 

「…何だよ?」

 

「いや、比企谷君の身体って引き締まってて筋肉もついてるなって。腹筋も結構あるみたいだし、何か習ってた?」

 

「……まぁ、色々とな」

 

はぐらかして若干強引に会話を終了して俺はしゃがみ込むと、松下も一拍置いてしゃがみ込む。そしてボーっと男女の決勝が行われるのを眺める。男子で平田、須藤、そして金髪ナルシスト男の高円寺が居た。順番が回ってくるまでに高円寺と須藤の泳ぎを見たが、Dクラスで頭一つ抜けている。平田は3位に終わると思い、2人の決戦になるだろうな。そう思考していた時に松下が口を開けた。

 

「……比企谷君、この体育の授業で5,000pptが貰えるって言われたけどどう思う?」

 

「……どう思うってのは?」

 

「そのままの意味だよ」

 

笛を合図に男子の決勝が始まった。平田は最初は食らい付いたが、折り返し5メートル付近で高円寺と須藤に抜かれる。俺はその様子を見ながら松下の質問に答える。

 

「……生徒達のやる気を出させるための手だろうなと思ってるが」

 

その言葉に松下は納得がいっていないのか、こっちを見て言った。

 

「そんな単純なものだとは私は思わないけどね。先生が絶対に泳げるようにしてやるって言葉、絶対に泳ぐ機会があるからあんな言い方したんだと思うんだよね」

 

松下の言葉にそうだなと思った。体育教員の言い方はただ言葉通りに聴けば生徒を泳げるようにするために言った言葉だと思うだろうが、それならば絶対と言う言葉はいらないと思うのだ。唯の言葉遊びの可能性もあるが、入学初日の事と言い、教員達は生徒達に大きく影響する何かを隠している。それを言葉の端々にヒントとして言っている。まるで気付く生徒がいるかを確認するように。

 

「入学初日から怪しいとは思っていたけど、授業の様子を見て驚いたんだ。何でうるさい生徒を注意をしないんだろうって…そしてその後に考えて気付いたの。これは測られているんだろうって」

 

どうやら松下は侮れない観察眼を持っているようだ。自力でその結論に辿り着く回転の早さは松下の実力の高さを感じる。ただ、此れでは初日で辿り着いた俺の結論と変わらない。

 

コンビニで聞こえたあの会話、"不良品"という言葉と"最後に落ちるクラス"という言葉。

 

不良品は、あの時に無料商品を買っていた生徒に対しての言葉だった。pptを全部使い切った事だけでは不良品とは言わないだろう。恐らくその事に加えて学校の何かで失敗したので不良品と言う言葉を使っている。

 

そして"最後に落ちるクラス"と言うのは何なのか。『最後』ということは順番或いは順位があると言うこと。そしてその順番或いは順位が明確なところはA、B、C、Dと分けられたクラスの事。そのアルファベットの順番の最後ーーーつまりDクラスだということ。

 

不良品と言われた生徒はDクラス。そして言った生徒はそれ以外のクラス。最後が存在すると言うことは裏を返せば最初もあると言うこと。

 

Dクラスの生徒は落ちこぼれであるならば、アルファベット順番でいけば最高はAクラス、次点がBクラス、その次にCクラスと言うことだろう。

 

つまり俺のいるクラスも落ちこぼれ認定されているクラスだと言える。そして最後に落ちるクラス、と言ったのでクラス単位で測られている。

 

この事を初日に見抜いた坂柳は正真正銘の怪物だ。あのレベルの奴は流石にそうはいないと思いたいが………

 

恐らく5月に貰えるpptは無いと思っていた方がいいだろうな。そう考えていると松下は続ける。

 

「比企谷君も気付いてるんでしょ?さっきの質問は随分と他人事だったし」

 

「……さあな。聞いてどうするんだそんなこと」

 

「いい関係性を築きたいだけだよ」

 

そう微笑む松下。怖いよ……何でこんな怖い奴とばっかり知り合うの俺。そしていつの間か決勝戦は終わって、男子は高円寺、女子は小野寺が勝者となっていた。高円寺は涼し気に笑っていて、須藤は負けたことに悔し気だった。そしてちょうど授業終了時間となって教員の呼びかけで集まって、pptの授与と一言があった後に解散になった。

 

楽しそうに解散していく他の生徒を見据えながら呟く。

 

「来月は面倒なことになるだろうな……」

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