「はい、皆さん今日のトレーニングはここまでですよ。お疲れ様でした」
「セブン様お疲れ様でした!」
「はい、お疲れ様」
私は教えを受けた戦闘員達に優しく接する。
彼らは図体が大きくても擬似人格を新しく注入された子供の様な存在……優しく、時に厳しく伸ばしていくのが大切である。
「ケケ、やってるなセブン」
「おや、シックスじゃありませんか。今日はネットサーフィンはもう良いので?」
「ケケ、飯を食わないとエネルギー切れになりそうだ」
「おやおやそうですか。せっかくですし、一緒に食べませんか? 情報交換といきましょう」
「ケケ、良いな。一緒に食べるか」
食堂に移動して配膳を受け取り、飯やスープをよそって席に着く。
「「いただきます」」
今日のメニューはチンジャオロースと唐揚げ定食で、私は唐揚げにマヨネーズをたっぷりかける。
シックスは塩派らしい。
「食堂も2号店、3号店が順次開業していくらしいですね」
「ケケ、まぁ戦闘員がどんどん増えていっているからな。料理人も増やして対応しないと」
「食堂によって味の変化が楽しめるかもしれませんね」
「なるべく均一にすると思うがな……それより僕的には売店の強化がうれしい」
「ほう、売店ですか?」
「ケケ、人員が増えるから怪人達がやっているマーケットに人員を補充して、商品の量も種類も増える予定だとよ」
「それは嬉しい情報ですね」
「だろ? お菓子系が増えてくれると言いけどなぁ」
そう言いながらシックスは顔がモニターに変わったからか、口の様な形をしたチューブを胴体から引っ張り、唐揚げ等をチューブに吸い込ませていった。
「奇妙な食べ方するな」
「こうしないと食べられないんだよ。味も味わえてるんだぞ。こんなんでも」
「そうなんだ」
もっきゅもっきゅとシックスは食べる。
「ネットサーフィンとかして面白い物とか見つかるか?」
「面白い物……日本情勢とかやっぱり面白いよ。監視カメラジャックしてヒーローと怪人達の戦闘の様子とか見たりしているけど……両方凄いことになっているね」
「そんなにですか?」
「ケケ、ヒーロー協会側がS級ヒーローも戦線に投入するようになって、怪人側も必死に抵抗し、内戦前にトップ10だったS級ヒーローの5人が戦死か捕獲されて闇市場で売られていたよ。1人2500万ドルの値段が付いていたよ」
「そりゃ凄いな。ヒーロー側はたまったものじゃないんじゃないか?」
「だからS級の穴埋めに人造ヒーローが大量生産、大量突撃している感じだがな。この内戦の非公式だが戦死者は500万人を超えたとなっている。ほぼ人造ヒーローと悪の組織の戦闘員だと思うが、太平洋戦争の日本人の犠牲者数は確実に超えたな」
「うわ……立て直し出来るの日本」
「さぁ……でも北関東は奪還したし、東海道作戦が成功すれば近畿と関東が繋がることになるし、悪の組織側の武器製造工場になってる中京工業地帯が奪還出来れば政府側に戦局が一気に傾くんじゃないかな?」
「ネオジャパンはどうなってるの?」
「人造ヒーローを作っているのと新しい海中コロニーを建造しているね。完成すれば関東くらいの面積の海中国家の誕生になるだろうね」
ネオジャパンの母体マーレがせっせと作っている海中帝国……海中に球体、もしくは半球体で海底と接地しており、海底接地面で資源採掘を行う。
海中でも気圧を維持する装着や空気を供給する機械類のおかげで海底20キロという暗黒の世界でも居住性を維持することが出来ていた。
最もシックス曰くネオジャパンの人口は100万人程度であるらしいが……。
「シックス、ネオジャパンの回線をハッキングして海底都市建造ノウハウを盗む事はできないのか?」
「勿論やっているが、ネット回線が物理的に切られてるから入り込めない。日本との連絡路を遮断したし、物資の行き来が潜水艦を使った物だから……それにブラックカンパニーは樺太という大地があるから、どんどん地下をくり抜いていけば良いんじゃないかな」
「それもそうか」
事実ブラックカンパニーでは既に地下3階……1階層10メートルで地下30メートルまで掘られており、巨大な地下空間が出来上がりつつあった。
地下1階層が生活層であり3階建て程度の社宅や様々な施設が乱立していた。
地上を開発し過ぎると人工衛星に映り、組織がバレる可能性が高いため、地下の開発がどんどん進んでいたのである。
某宇宙戦艦の地下都市の様な印象を強く受ける。
地下2階層と3階層は食料生産施設になっていたり、地下工場が無数に建てられている。
人造人間製造施設や人格排出施設なんかも地下に作られている。
「教育の方はどうだ?」
「何か私は30人任されてるよ……まぁ1週間で人格を定着させたけど」
「ケケ、流石じゃん」
「そう? 普通に教えているだけなんですがね……これを十数回しないといけないらしいですが」
「頑張れや。でも3ヶ月……あと2ヶ月半したら人造人間のロールアウトが始まるんだろ?」
「そのようですね。私らとは製造方法が違うらしいですが」
「ケケ、僕らは体外受精だったからな。今回作る人造人間は母体を使っているらしいが」
「母体を使うということは母体の耐久限界があるということでしょう。そうなった場合作れる個体数に限りがあるはずですが」
「流石、今約4500人の母体が稼働していて、年平均10人、稼働限界は3年から5年らしい」
「となると最短の3年の場合は約13万5000人が製造されると言うことになりますね」
「まぁそうなる」
「あっという間に10万、20万人規模にブラックカンパニーはなることに繋がりますが……」
「どうなんだろうね。地下空間も巨大化してきているから地下2階層と3階層の間の空間に鉄道を通す計画もあるらしいし」
「何かどんどん会社の規模がおおきくなってるな……」
「ケケ、僕達の給料も上がるし良いんじゃない? さてとご馳走様でした。僕先に帰るから」
「はーいじゃあまたね」
「ケケ、じゃあ」