戦闘員K!強すぎる!   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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迷走する戦略会議 博士の気づき

 ブラックカンパニーの幹部会議にて今後どの様な行動に移っていくかについて話し合いが行われていた。

 

「今は内部の産業を発展させて人員の拡充をするべきだと思うけど」

 

 イエローが発言するが、それはもっともである。

 

「人造人間の製造ラインも問題なく稼働中だ。これならば知識層の拡充もできそうではある」

 

 博士も人員についての発言をし、外との繋がりが多い俺に注目が行く。

 

「政治家の先生方を避難させて樺太に独立国家を建国する機運が高まりつつある。それを利用するかどうかを決めていきたい」

 

「樺太に独立国家の建国?」

 

「メリット、デメリットそれぞれある。まずメリットだが、国家建国となれば日本のヒーローは迂闊に手出しが出来なくなるだろう。それに日本国内で劣勢になった為に国外逃亡を企てる組織への牽制にもなる。表での食料販売ルートの確立にも繋がる」

 

「デメリットはロシアとの関係悪化と日本が国家承認するかは賭けになる」

 

 他にもメリット、デメリットは色々あるが簡素に伝えた方が分かりやすいだろう。

 

「ただ樺太政権が誕生した場合、日本への侵攻は取りやめる必要がある」

 

「それはなぜ?」

 

「樺太に来る予定の政治家はあくまで日本の亡命政権を建てる言わば予備の政府になる。日本への攻撃は大義が失われるからな」

 

 バニーは腕を組んで悩んでしまう。

 

 俺的には旨味の無くなった日本侵攻は辞めてもらいたいのだが……。

 

「日本侵攻という戦略目標を失った場合、次の目標はどうしたほうが良いと思う?」

 

「そりゃ関係が悪化した極東ロシアの切り取りだ。極東アジアにおける覇権の確立が目的になってくる……もしくはネオジャパンみたいな海中帝国を目指すのでも良いが」

 

「うーん……」

 

 樺太のキャパシティをフル活用すれば500万人の人口を運用できるだけの土地はある。

 

 地下を使えば更にである。

 

 鉱石系は微々たる量しか採掘できない為に、海底かロシア領のどちらかに広がる必要があるが……。

 

「……いや、国家建国しても日本への侵食を行う」

 

 バニーの発言に場は凍りついた。

 

「矛盾してないか」

 

「矛盾してない。疲弊した日本を植民地にしたいと思う」

 

「食料品を売るだけでは植民地にはできねぇぞ」

 

「わかってる。大和連合は失敗したけど、私達は経済力で日本を侵攻したいと思う」

 

「経済力でか?」

 

「そう。それを行うためには世界各国から技術を奪取するスパイの様な行為を繰り返す必要があるけど……ううん、目指すは裏社会の覇権会社だよ!」

 

「世界経済に影響が出るような巨大な企業……それが私達が目指すべき企業じゃない? 日本征服は通過点。夢は大きく世界征服をしないと!」

 

 バニーの妄言も大概にしろと言いたい言葉をぐぐっと飲み込んで、総領の発言だ。

 

 決定権はバニーが握っている。

 

 ……今回の会議で日本征服は通過点と言われてしまったので、国家建国をしつつ、日本の政府を支援してまずは日本の悪の組織に大打撃を与え、日本の裏社会におけるブラックカンパニーの地位を確固たるものにし、戦うべき相手をネオジャパンにすることに俺は会議を誘導して可決に至った。

 

 日本征服のビジョンはまったく見えてない。

 

 その状態でも組織を回さなければいけないのが、現状のブラックカンパニーで組織としての限界なのだろうと俺は思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『そうか、ブラックカンパニーはあくまで日本征服を諦めないか』

 

「申し訳ありません悪徳先生」

 

『いや、それはそれでやりようは幾らでもある。でも組織の戦略を練れるような人材は確保しておいた方が良いぞ』

 

「ご尤もです……」

 

『まぁ悪の組織と繋がっていて肩身の狭い政治家連中を引っ張り、樺太に亡命政権を建てる準備は進めておく。政治家はうるさいぞ〜制御出来れば強い力になるが、失敗すれば破滅に直行だ』

 

「気をつけます」

 

『さて、私も連絡をしているのがバレるとマズイからね。ここで切らせてもらうよ』

 

「お気をつけて」

 

『K君もな』

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、バニーはあやふやな命令を出して」

 

 私こと博士はぷりぷりと怒っていた。

 

「私が幾ら天才でも国家規模の技術開発は無理だぞ……私が過労死するわ……それかなんだ? ナンバーズを数百人単位で量産しろと?」

 

 それぐらいの無茶振りである。

 

「まぁ良い、私は私のやるべきことをしようではないか!」

 

 博士が次の研究にしているのはKの体質の謎である。

 

 Kとの子供は大半が質が良くなっている。

 

 ナンバーズしかり、ホワイトしかり、バニーとの子供やレグレスとの子供も怪人適性率が異常に高い。

 

 なのに本人は怪人適性率が5%前後で、でもブラックカンパニーのどんな怪人も彼に勝てない。

 

「Kが突然変異なのか、Kよりも前に突然変異が発生していたのか……」

 

 ふと思う……Kの過去の点だ。

 

 Kの両親や家族構成を調べ直すと、両親や親族とは絶縁状態であることは本人の資料から読み取れたし、ブラックカンパニーに入った時点でKは表向き行方不明という扱いになっている。

 

 そんな項目を見ていくと、Kには姉が居ることが資料に書かれていた。

 

「万が一……万が一だ。Kの性質をこの姉が引き継いでいて、ヒーロー側に渡った場合……どうなるだろうか……」

 

 博士は知らない……その姉が日本内戦をちゃんと生き残っており、卵子の提供でキルというヒーローが誕生していることを……。

 

 これからもキルの様なヒーローが誕生する可能性を……。

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