ホワイトは急速に支持者を増やしている戦闘員AとFに接触を試みることにした。
まず業務の関係で接点があるHo達のリーダーに接触し、その子に戦闘員AとFの仲介をお願いした。
すると休みの日に最近できたカラオケルームの1室を借りて話しませんかということになり、セッティングしてもらった。
こういう気配りが戦闘員AとFが好かれるところである。
「じゃあ紹介するわね、こっちが戦闘員A、反対側が戦闘員F」
「どうも」
「よろしくお願いしますホワイトさん」
「で、こっちがホワイトさん」
「ホワイトです。よろしくね」
それぞれソファーに座り、話し合いを始める。
「戦闘員AとFはどっちかでも良いけど組織を纏める気はある?」
「組織を纏める……というとブラックカンパニーの子会社でもつくるということですか?」
「いや、F、この場合だとブラックカンパニーの総領の座を狙ってるかってことだと思うぞ」
「じゃあ俺は別に……Aは?」
「勿論狙ってる」
はっきりと戦闘員Aは宣言した。
リーダーはAが狙っていることを知らなかったらしく仰天している。
「ホワイトさん、あんたもでしょう?」
「まぁ今の総領であるバニーさんは見てられないのでね」
「俺はバニー総領について戦闘員の立場だからよく知らないが、ご子息の優遇をしているとは聞いている。まぁ個人的な野心で動いている面は言い逃れできないけどな」
Aは堂々とそう言い切る。
この時点でホワイトはAがなかなかの人物であると感じていた。
「すり合わせをしておこう。俺は純粋な野心だ。総領になった方がもっと組織を動かしやすいと思ったから。ホワイトさんは?」
「個人的に暴走するバニーさんを排して組織の正常化と以後の戦略の修正をしたい。私は大昔にあった極東共和国を再現し、オホーツク海周辺の領土をロシアから奪い取り、鉄や貴金属の資源を確保しつつ宇宙を目指したい。バニーさんが言う日本征服というのよりは現実的でしょ?」
「世界情勢に俺はまだ詳しくない。だからまだ戦略という戦略は無いが、ホワイトは外向きの戦略なんだな」
「ええ、ある程度の拡張は必要と思っているわ」
「俺的にはまだその段階では無いと思っている。少なくとも戦闘員が100万人を超えるまではとね」
「というと?」
「やや大きい程度の北海道の人口が約500万人、それに比べて樺太は地下空間を十分に使えるのに現在でも10万人に届かない。人口増加をもっと俺は力を入れるべきだと思っているよ……知識で日本が卵子提供をして人造ヒーローを量産していると聞いているから、それを真似した方が良いと思うけどな」
「でもなるべく早くバニーさんは引きずり降ろす必要があるわ」
「クーデターでもするつもりかい?」
「武力ではしないわ。幹部達に不信任案決議をして総領を解任してもらえば事足りるし」
「ホワイトは幹部へのパイプをもっているのかい?」
「ええ、数ヶ月かけて準備を進めてきたわ。主要幹部は抑えたつもりよ」
「なーんだ、じゃあ俺の出る幕はないじゃないか」
「私が可決している間にAがHoを率いてクーデターをするかもしれないじゃない。それを防ぐためよ」
「Fとリーダーもホワイトさんに総領を任せるでいいね」
「俺は構わない」
「私もよ」
「決まりだ」
カラオケルームでの会議にてホワイト主導によるバニー解任計画が明らかになり、その場に居た4人は来る日に向けての準備を進めるのであった。
それから約1ヶ月後、根回しを終えたホワイトはイエローを抱き込んで、イエローの持つ幹部権限で議会を招集し、議長の席にバニーが座った。
で、イエローは発案者としてホワイトを会議室に招集し、その場でバニーの不信任決議を執り行うと宣言。
何を言われたか一瞬理解できなかったバニーは怒鳴り散らかすがKが羽交い締めにし、落ち着かせた。
そのまま投票を行うとKと博士は無記入、それ以外はバニーの解任を支持し、その場でバニーの総領解任が決定された。
総領代行の権限を有したKは即座に新総領を誰にするかの投票を行うとし、紙が配られ記入して箱に入れられていった。
投票の結果……ホワイトでは無く、イエローが総領の座に就任することが決まった。
ホワイトの敗因は根回しは上手くできていたが、他企業出身の幹部にホワイトは新参者。
カリスマ性はあれど急な改革は望んで居なかった。
そんな時に超とレグレスがイエローを総領に据えるのはどうかと周りに提案しており、それは自分が総領になりたくないからという内向きな理由であったが、教育総監をやっていて、下の意見もちゃんと聞き、それでいて担ぎやすいとイエローは見られ、投票結果に現れた。
イエローは日本征服という戦略目標を転換し、樺太共和国の人口を100万人に増やし、共和国ではブラックカンパニーを正義の集団であることを樺太政府に認めさせて、悪の組織から樺太共和国内では表でも活動できるようにしたいと述べた。
これは事前に息子のAが母親であるイエローに自身の考える戦略を語り、それをイエローなりに解釈しての発言であった。
結果、戦闘員Aが自身の戦略を認めさせた為に、最終的な勝者となったのだった。