戦闘員K!強すぎる!   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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次なる仕事は闇養殖所 2

「何十人って結局投げ込むことになったっす……」

 

「断末魔が耳にこびりついて……怖い」

 

「私は魚が動き回るから全身すっごい疲れた……」

 

 1日目から死んでいる3人娘に対して俺はグレーサーモンさんがご厚意で飯を作ってくれたから食べていくぞと言った。

 

「まさかデビルサーモンじゃないわよね」

 

「そのまさかだ。普通のサーモンより滅茶苦茶美味いぞ」

 

「人を食べてる魚を食べたくはないっすよ……」

 

「これも付き合いだ。上司命令。食っていけ」

 

「「「はい……」」っす」

 

 げっそりしながら3人娘は返事をする。

 

 シャワーを借りて浜風に当たり続けたので潮っけを洗い流すと、社員食堂に案内された。

 

 そこでマスクを取る。

 

「あらやだ男前のお兄さんに若いと思ってたけど中学生くらいの子だったの!」

 

 食堂のおばちゃんが俺達を見てそう言う。

 

 するとそこに朝業務を説明してくれた社員さんとグレーサーモンの社長さんがやって来た。

 

「いやいや、1日で250尾も捌けるとは! 助かりますよブラックカンパニーの皆さん」

 

「普段は社員が持ち回りでやるんですが、他の社員達が冠婚葬祭が重なってしまって……1週間だけのヘルプよろしくお願いします」

 

 上機嫌の社長さんに申し訳なさそうにする社員さん。

 

「いやいや、こちらも良い経験ができて助かります! それに夕食もいただけるなんて」

 

「なんのなんの! 是非とも採れたてのデビルサーモンを味わってください! 身がぷりぷりしていて絶品なのでね!」

 

「無難にサーモンとイクラの親子丼が美味いですよ」

 

「それは楽しみだ!」

 

 俺はニコニコと喋るが、3人娘はげっそりしていて喋る気力が無さそうである。

 

「あー、若い子にはキツイ仕事だからなぁ……仕方がないが……」

 

「大丈夫か? 嬢ちゃん達」

 

「うっ、うっす!」

 

「大丈夫です……」

 

「はい……」

 

「まぁ数日の辛抱だ。裏社会なんてこんな仕事がゴロゴロしているから慣れていけよ!」

 

 社長さんがバンバンと3人の背中を叩くと着替えに更衣室に向かっていった。

 

 社員さんも頑張れと言った後に更衣室に移動していった。

 

「はいよ! デビルサーモンの親子丼だよ!」

 

 赤い器にお椀型にご飯が盛られ、そこの周りをサーモンの刺身が囲い、上からイクラがふんだんに振りかけられていた。

 

「うひょー美味そう!」

 

「いただくっす……」

 

「いただきます」

 

「……ます」

 

 席に座り、わさび醤油を垂らしていざ実食。

 

「うん、美味い!」

 

 口の中でプチプチと潰れるイクラからとろりと中身が溢れ出て、それがわさび醤油と絡まり合う事でご飯がいくらでも進む! 

 

 横に並べられたサーモンもトロっとしていて口の中で身がとろけてしまうほど柔らかい。

 

 それでいて肉厚と旨味を感じる。

 

 ご飯も酢飯になっていて、これが更に食欲をそそる。

 

 食べるのを戸惑っていた3人娘も俺が美味そうにガツガツ食べているのを見て、恐る恐る食べてみると、口に入れた瞬間にビビッと体が震えていた。

 

 頭上に!? マークが出た様な感じにも見えた。

 

「美味い! 美味いっす!」

 

「なにこれ! これがサーモン! 市販のサーモンとは別物じゃない!」

 

「滅茶苦茶美味しい! 口の中が幸せ〜!」

 

 先程まで戸惑っていたのはなんだったのか、人が変わったかのように食べ始め、あっという間に完食してしまった。

 

「げぷ! 美味かったっす!」

 

「おばちゃん美味しかったわ!」

 

「明日も頑張る!」

 

「元気になって良かったわ! 明日からも頼むわね」

 

「「「はーい!」」っす!」

 

 現金な奴らと俺は思いながら、着替えてきた社長さんに今日の業務報告書にサインしてもらい、ブラックカンパニーに帰るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。

 

「むーむー!」

 

「うるせぇっす! 美味いサーモンに生まれ変われっす!」

 

「どっこいしょ! デビルサーモン大漁!」

 

「よいしょ! よいしょ!」

 

 初日の気怠げな感じは無くなり、やる気MAXの3人娘。

 

 社長から帰り際に明日からは昼メシも出すと言われたらやる気が爆上がりして昨日とは打って変わってキビキビ働いていた。

 

「よーし、FとMポジションチェンジ。Aはそのまま電気ショック係で」

 

「「「はーい」」っす!」

 

 時々FとMの疲労を見ながらポジションを変えていく。

 

 流石に戦闘員AはFとMに比べると非力なので、掬う係はやらせられない。

 

「今日のノルマは200尾だ。ノルマを少し超える位にして気分良くサーモン食べるぞ」

 

「「「はーい!」」っす!」

 

 

 

 

 

 

 

 鮭のホイル焼きだったり、サーモンのパスタ、サーモンとアボカドのポキ風だったりとサーモン料理を毎日堪能していた3人娘だったが4日目で、目に見えて動きが悪くなった。

 

 疲労である。

 

 体力が付くようにトレーニングはさせていたが、普段とは違う筋肉を使うし、海の上の桟橋のぐらつく足場、常に吹き続ける浜風に当たるなどの環境面でも体力をいつも以上に使い、疲労で動きが大雑把になっていた。

 

 こういう時に事故が起きる物で、人を投げようとしたMが足を滑らせて生簀に落ちてしまう。

 

「あ……」

 

「前沼ちゃん!」

 

「Mさん!」

 

 生簀に落ちた瞬間に群がってくるデビルサーモン達。

 

 Mが死を覚悟した瞬間に俺が網で救った。

 

「あー、やっぱりやると思った。だからお前らを仕事にまだ出したくないんだよなぁ……」

 

 足場に落とされ、Mはしょんぼりする。

 

「Mだけじゃねぇ、AもFも疲労もあると思うが、作業に慣れて動きが緩慢になっている。今日終わったら明日休みな。1日ゆっくり休んで反省しろ」

 

「「「はい……」」っす」

 

 まぁ大事になる前に失敗を経験してくれて俺的には良かったと思った。

 

 これが戦闘を伴う時に失敗したら、他の仲間の命の危機に陥る場合もある。

 

 失敗出来る時の失敗は糧になるから良い。

 

 ただ俺も教育係として言わなければならない事があるから厳しく指導するのであって、内心はそこまで怒って無かった。

 

 空気が悪くなってしまったが、怒ってからは動きも少し良くなり……というより注意しながらやるようになり、多少まともになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は人員の交換を社長さんに申し出た

 

「そうですか、明日はあの子達はお休みに」

 

「えぇ、事故があったので厳しく叱って明後日からまたこさせます。明日は別の人員を連れてきても」

 

「あぁ、構いません。いやぁ死人が出なくて良かった良かった」

 

「すみません、こちらの都合で人員の交換を申し出てしまい」

 

「なに、若い子達で真面目にやってくれるので、疲れで動きがおかしくなっていたのはこちらも感じていたのでね。リフレッシュさせて残りの2日頑張らせてくださいな。お兄さんは大丈夫なのか?」

 

「自分は長期任務はなれてますので大丈夫です」

 

「そうか。無理は絶対にしないようにね」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1日休みを挟み、体のリフレッシュと反省をしてからの残りの2日の3人娘は見違えるほど動きが良くなった。

 

 安全面に気をつけながら、俺が言う前にFとMは交代をするようになったし、Aも安全面の声掛けを大声でやるようになった。

 

「はい、1週間お疲れ様でした! いやぁ皆さん助かりました!」

 

「これ社員の皆さんで食べてください」

 

 と社長さんからのご厚意でデビルサーモンを1尾いただき、また機会があればブラックカンパニーに依頼していただけるとも言われた。

 

「「「ありがとうございました」」っす!」

 

「うん、3人もお疲れ様でした! 得に最後の2日間は良く頑張ってくれたね! またよろしく頼むよ」

 

「「「はい!」」っす!」

 

 こうして2回目の仕事も無事に終えることができた3人娘だった。

 

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