戦闘員K!強すぎる!   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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バニーの思い

「K〜」

 

 俺が控え室のテレビを観ているとテトテトと博士がやって来た。

 

「お、どうした博士。またガラクタ作ったのか?」

 

「ガラクタではない! 私の崇高な発明品さ!」

 

「で、今回は何を作ったんですか?」

 

「ふふふ、聞いて驚け! ジャジャーン! 重力ベルトさ!」

 

「重力ベルト?」

 

「そう! これを身に着けた対象の重力を変更するベルトさ! ダイヤルで調節できて無重力から100倍の重力まで自由自在さ!」

 

「博士……ベルトってのが良くないですよ……俺達戦闘員や怪人はワープベルトを身に着けているので、ベルト2つ装備することになりますよ」

 

「勿論ちゃんと活用方法は考えている! 基本トレーニング用だ! あとはベルトではなくバンド型にして重い物体に巻いて運ぶための物でもある」

 

「あー、今回はちゃんと活用方法を考えている感じですか」

 

「そうとも! そうとも! Kに馬鹿にされないために必死に使い方を考えたんだぞ!」

 

「作ってから使い方を考えたんかい……まぁ良いや。早速付けさせてもらうぞ」

 

「はいはい、そのダイヤルをぐいっと回すとカチカチって音がするでしょ?」

 

「するなぁ」

 

「右回りでぐいっと回してみて」

 

「こうか?」

 

「そしたら真ん中のボタンを押すと」

 

「押すと……おお、重くなった。これは効くなぁ!」

 

「MAXの100倍で普通に動けるとは! 流石K! まだまだ強くなるんじゃないか?」

 

「どうなんでしょう。でも良い物作りましたね。まだベルトありますか?」

 

「あるよあるよ! 昨日だけで10本ほど作ったからあげるよ」

 

「アザース。ガキ共のトレーニングに使わせてもらいますわ」

 

「うむ! また何か作ったら教えるからな!」

 

 博士はそう言って上機嫌で研究室に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけでお前らに重力ベルトを着けてトレーニングしてもらいます」

 

「まだトレーニングの負荷を上げるんっすか!」

 

「私怪人になったけどトレーニング続けるの?」

 

「負荷は上げるぞ! それにイエロー、怪人になってからも体を鍛えるのは大切だぞ。お前の電気の能力も全身の筋肉によって発電量が変わるって博士が言っていたからな。それに近接攻撃をするのにも大切だからな。今日は重力2倍でいつもの半分のトレーニングを行ってもらう」

 

「あれ? それじゃあ案外楽かも?」

 

「プラマイゼロっすね!」

 

「さぁ、泳ぐぞ! とりあえず2キロからだ」

 

「「「はい!」」っす!」

 

 というわけで3人娘のトレーニングが始まった。

 

「か、体が重い……動かないわ……」

 

「気を抜くと溺れる……重力が2倍だけでもこんなに辛いの……」

 

「泳ぐのが辛いっす……なんで100倍の重力をしているKさんは普通に泳げるんすか……」

 

「でもいつものみたいに水上バイクみたいじゃなくて普通に泳いでいるってことは、それだけ効いているってことじゃない?」

 

「確かに……というかこの状態だとプールサイドに上がるのが一番キツイっす……体が重くなっていて上がれないっす」

 

 泣き言を3人娘は言うが、今日のトレーニングは始まったばかり。

 

 水中では浮力が働くので重力の影響は少なかったが、これがランニングやサイクリングマシーンになると途端に動けなくなった。

 

「つ、辛い……ペダルを漕げない……」

 

「ゼヒューゼヒュー……」

 

「き、キツイっす……」

 

 そう言いながらもなんとか今日のやるべきトレーニングを終えたが、いつもの半分のトレーニング量であったが、いつも以上に3人娘は疲れていた。

 

「や、やりきったっす」

 

「ゲロ吐きそう……」

 

「立ってるのも辛い……」

 

「お前ら解除していいぞ」

 

 俺が解除して良いと言うと重力増加を解除した。

 

「あぁ、すっごい楽……」

 

「体がふわふわするっす」

 

「足が軽い!」

 

「徐々にトレーニング量を増やしていくからな。覚悟しろよ」

 

「「「はーい」」っす」

 

 というわけで重力ベルトを用いたトレーニングが行われるようになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、久々にガッツリ体が疲れたって感じだな」

 

「お疲れK!」

 

「お、Kじゃねぇかお疲れ」

 

「あ、バニーさんにタイガーさんお疲れ様です」

 

 事務室に行くと2人が書類と格闘していた。

 

「タイガーさんがこの時間に事務室に居るの珍しいですね」

 

「この前の仕事でヘマしたからな。依頼人に詫びの手紙を書いてるんだよ」

 

「何したんですか……」

 

「いや襲ったスーパーの民間人には怪我させないでくれって依頼だったが、逃げ惑っている人が転んで骨を折ってしまったらしくて依頼人からクレームが入った」

 

「面倒くさい依頼ですね」

 

「金払いは良いからな……ライバル店のスーパーからの依頼だったが……」

 

「あぁ、なるほど……」

 

「それよりK、面白い物博士からもらったんでしょ?」

 

「あぁ、重力ベルトですね。良いトレーニングになりましたよ」

 

「ねぇKにタイガーさんも今夜居酒屋に行きません?」

 

「お、良いねぇ」

 

「いつもみたいに闇市場で良いですよね」

 

「そうね。いつもの居酒屋が良いわ」

 

 仕事を終わらせた俺達はそのまま退勤して闇市場の居酒屋に移動するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「カンパーイ」」」

 

 生ジョッキを片手にビールをごくごくと飲んでいく。

 

「プハァ、ビールは日本産に限る」

 

「海外のビールも良いけど、日本人だから日本のビールが口に合うわね」

 

「闇市場で売られているクラフトビールも質が高くていいぞ。酒税が掛けられてない分、市販より量が多くて安いし」

 

「今度ダースで買おうかしら」

 

「バニーちゃんけっこう飲むんですか?」

 

「飲むわよ〜、休みの前の日には必ず飲んでるわね」

 

「意外〜、飲まないと思ってた」

 

「タイガーさんとはあまりこういう機会じゃないと飲んでる姿見せないからね」

 

「んん? じゃあKとはけっこう飲むのか?」

 

「月1くらい? でもここ2ヶ月は予定が合わなかったから行けてなかったわよね」

 

「そうですねー」

 

 俺はビールをごくごくっと飲む。

 

 そのまま少し喋り、3杯目に入った時にタイガーさんが爆弾をぶん投げてきた。

 

「良いねぇ若い2人が! このままくっついちゃえば?」

 

「それができたらどれだけ良いか……」

 

「え? バニーちゃんガチ! え〜Kよかったな! バニーちゃんホの字だってよ!」

 

「タイガーさんからかわないでくださいよ……俺もバニーさん良いと思いますけど若がブチギレますよ」

 

「なんだよK、男なら女が求めていたら親族が反対しても奪い取るくらいの勢いでいかねぇと駄目だぞ!」

 

「それやったら会社がどうなるんですか……俺金払いの良いこの会社から転職したくないんですけど」

 

「かぁぁ! 駄目! 全然駄目! 本人居るんだからそこはもっと略奪愛的な要素を持ってかないと」

 

「そうよK! 兄さんなんかぶっ飛ばして私をお嫁さんにしてよ!」

 

 面倒くさい絡み酒してきたなぁと思った。

 

 普段のバニーさんならストップがかかるが、タイガーさんが居るのでブレーキが壊れている。

 

「うーん、若を納得させられるくらい業績を積んでじゃ駄目ですか?」

 

「いつになるか分からないじゃない! 私も20代後半よ。そろそろ焦ってくるの」

 

 いや、普通の女性だと20代後半はまだ焦る年齢じゃ無い気がするが……この考えは俺だけか? 

 

 バニーさんとタイガーさんは愚痴愚痴言いながらも更に酒が進んでいき、遂にバニーさんが泣き出してしまった。

 

「私……Kしゃんが好きなの〜……なのに怪人と戦闘員だから駄目って……なんでよ……なんで駄目なのよぉ〜」

 

「申し訳ない……俺が怪人になれれば全てが解決するのに……」

 

 俺が怪人になることを諦めきれない理由がこれだ。

 

 怪人になれれば若もバニーさんとの結婚を認めてくれる……というか、若が昔バニーさんが俺と付き合いたいという時に出した条件が、俺が怪人になることだった。

 

 ただ4年、5年経っても俺に怪人の適性が無く、怪人に成れないと分かると、何も言わなくなっていた。

 

「えぇ~ん! Kと付き合いたいよぉ〜! 馬鹿兄……」

 

 そう言ってバニーさんは眠ってしまった。

 

 俺は会計を済ませ、タイガーさんと別れて、バニーさんを社宅に送り届ける。

 

「T1居るか?」

 

「はいはーい……うわ! バニーさん!?」

 

「飲ませすぎた。泥酔しちゃって今日だけ面倒見てやってくんないか」

 

「わかりました! 介抱するであります!」

 

「悪いなホント」

 

 俺は自分の部屋に戻り、バニーさんとの仲を進展させたいと思うのだった。




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