戦闘員K!強すぎる!   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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戦闘員Fとの面談

 俺が扉を開けるとFがドアの前に立っていた。

 

「まぁ入れ」

 

 俺は中にFを入れるとリビングのダイニングテーブルの椅子に座らせる。

 

「コーヒーにするか? ココアにするか?」

 

「ココアでお願いするっす」

 

「わかった」

 

 俺はコーヒーを、Fはココアをカップに注いでテーブルに出す。

 

「焦ってるなぁF……イエローやレグレスが怪人になって」

 

「はいっす……」

 

「90%」

 

「?」

 

「お前の怪人適性率だ。85%を超えた辺りから上がる速度が急激に鈍化した。それまではどちらかと言えばレグレスよりも怪人化に近いのはF……お前だった」

 

「……なぜ鈍化を……」

 

「さぁな……それは分からねぇ。ただ伸びてはいる。時間は掛かるが半年以内には怪人には成れるだろう。それでも普通より怪人に成れる速度としては早いからな」

 

「Kさん……僕は別に怪人になる速度が落ちていることを問題視しているわけじゃないっす。2人が急激に強くなったことに対してっす」

 

「ほう?」

 

「Kさん、2人の怪人のランクはどれぐらいっすか?」

 

「イエローがA-、レグレスがAだな。成長次第では両者共にSを狙える」

 

「怪人としての素質が凄いじゃないっすか……今日の戦闘訓練で2人に怪人になっても敵わないのではないかと思ってしまったっす……どう戦っても勝てないって……」

 

「怪人になれば可能性はあるぞ」

 

「そうなんっすが……怪人になっても2人と強さに差が開いたら……2人の足を引っ張るのが怖いっす……」

 

「……」

 

 俺はコーヒーを飲みながらアドバイスをする。

 

「なあ……Fは怪人に成れない俺は弱いと思うか?」

 

「いや……Kさんは別格じゃないっすか」

 

「だよな……俺は怪人じゃない……だが強い。最初の右も左も分からない任務でヒーローを倒せるくらい最初からある程度強かった……」

 

「だがな。俺がここまで強くなれたのは才能もあったが努力によるものだ。お前らにやらせているトレーニング……あれは俺が初期にやっていたトレーニングだ」

 

「俺は怪人になる才能は無かった。怪人達が使える異能は使えねぇ。だがなそれ以上の強さを努力で手に入れることができた」

 

「……博士から言われた。俺はヒーローになるべき体だったと。ヒーローだったらトップクラスのS級ヒーローになれたと……怪人に成れない代わりにヒーローとしての才能があったらしい。だが、そのヒーローとしての才能も怪人化薬の過剰摂取で潰してしまった」

 

「超人にも怪人にもなりきれなかったなり損ないが俺だ。だがな肉体は成長する。成長力ってのは別の才能だ。怪人に成れるか成れないかは関係ない」

 

「怪人になって勝てるか分からない? じゃあその分努力しろとしか俺は言えない。良いことを教えてやろう。超人も怪人も共通して能力が大きく伸びる事がある。覚醒って現象だ」

 

「最初の怪人ランクが低かったとしても覚醒出来るように努力をしろ……そうすれば最初足を引っ張ったとしても将来的には抜かせるかもしれないからな」

 

「断言はしないっすね」

 

「覚醒出来るかはその人次第だからな。イエローやレグレスは覚醒しなくても普通の成長でランクを上げそうであるが……あ、F、良いことを教えてやるよ」

 

「なんすか?」

 

「本人の資質によって怪人の方向性が決まるって言ったろ。資質を弄る事で望む方向に怪人化を狙う方法がある」

 

「それって!」

 

「怪人になるまでの時間ができたんだ。それに合わせたトレーニングをしてやる。可能性が上がるからな。どんな怪人が良い」

 

「とにかく強い怪人が良いっす!」

 

「強い怪人にも方向性が色々ある……例えばイエローだったら電気。レグレスだったら科学だ。根幹となるキーワードを考えてみろ」

 

「根幹となるキーワード……」

 

「あとは怪人になるにしても元の筋力が発展する事が多い。動物系の怪人になったら元の筋肉量で強さに差が出る。だから明日から更に密度を上げて鍛えるぞ……怪人になるまで仕事から外してやる。とにかくなりたい自分を考えながらトレーニングをしてみろ」

 

「頑張ってみるっす……ところでKさんは何をやる気にして鍛えたんっすか? 怪人にも超人にもなれないんじゃ……やる気が起きないのでは?」

 

「……なんでだろうなぁ……」

 

 俺はコーヒーをもう一杯注ぐ為にキッチンに移動してコーヒーメーカーのスイッチを押した。

 

 コポポポとコーヒーがカップに注がれる。

 

「就職氷河期……今も問題視されているがそれでたまたま入れた会社がここだった」

 

「最初は悪の組織なんて知らなくて日に日に悪いことに手を染めていった……最初は考えれば金のためだったな」

 

「今はそうだな……バニーさんと付き合うためだな。俺が強くなれば……バニーさんに相応しい男って若に認めてもらえるために……いや、これだけじゃないな」

 

「意地だ」

 

「意地?」

 

「半端者の意地。ヒーローにも怪人にも負けねぇ。俺が最強になるって意地。ただそれだけだ」

 

 俺はコーヒーを飲み干した。

 

「かっけぇっす! 僕もそんな事を言えるくらい強くなりてぇっす!」

 

「じゃあ努力するしかねぇよな……考えて明日からトレーニングしてみろ」

 

「はいっす!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、朝礼を済ませ、重力の倍率を3倍にした。

 

「うぐ! 普通に歩くだけでも辛いっす! でも強い怪人になるために頑張るっすよ!」

 

 僕はいつもよりも気合を入れてトレーニングを始めた。

 

 遠泳をして、自重トレーニングをして、ランニングマシンで走る。

 

 全身から汗が噴き出し、その減った水分を超人薬で補給する。

 

 昼食の食いトレも頑張る。

 

 元から大食いだったイエローだけでなく、エネルギー補充に食べる量が増えたレグと同じ量を食べる。

 

「うぅ……腹がパンパンかつ、動くと痛いっす……でも頑張るっす!」

 

 午後からサイクリングマシンで20キロ分走り、そこから各種マシンを使って筋トレをしていく。

 

「ふん! ふん! 絶対に自分に負けないっす!」

 

 僕は2人に負けない怪人になるために……いや2人を引っ張れるような怪人になってKさんを倒せるような怪人になるためを目標に定めてトレーニングを行うのであった。

 

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