事務所に移動すると、そのまま総領室と言う場所に通された。
すると兎を人型にしたような女性と先ほど画面越しに会話をしていたKことお父様がソファーに座っていた。
「まぁ座れ」
お父様に言われて私もソファーに座る。
「思ったよりも美人系じゃない……もっとKに似ている感じかと思ったけど」
「あのー……名前を伺っても?」
「あら、ごめんなさい。私はバニー、ブラックカンパニーの総領こと社長で、Kの奥さんよ」
「言っておくけどホワイトの母親じゃないからな」
お父様が補足をする。
確かに私のイメージカラーを表すと銀とかになるけど、目の前に座るバニー様は薄い茶色って感じだ。
お父様は黒髪だし……銀になる要素が無い。
お母様由来が私を構成しているのかもしれない。
「測定したデータは見させて貰ったわ。産まれて間もない……と言うのはちょっと違うけど、外に初めて出て既にB級怪人と同等以上の戦闘力は有しているわね」
「褒められてるのですか?」
「褒めてるのよ。まずはブラックカンパニーにようこそ。あなたはこれからブラックカンパニーの社員として働いてもらうし、ブラックカンパニーに尽くして貰います」
「それは命令ですか?」
「そう、命令よ。というより行く宛が無いでしょ。最初っからブラックカンパニーで働く以外の選択肢は無いわよ」
「……はい」
「まぁ仕事してもらう時以外は自由にしてもらって良いわ。うちの社員達も結構自由にしているし……ルールとして業務時間中は今着ている戦闘服を着ること。闇市場って場所に行く時もなるべく戦闘服を着てちょうだい。で、外部の仕事に行く時はこのブラックカンパニー製のマスクを身に着けてね」
「わかりました」
「あと生活に慣れるまで社員の1人と共に生活をしてもらうわ。入ってきてオクタ」
バニー様がそう言うと、部屋の扉が開き、金髪の女性が入ってきた。
天使の様な輪っか、美しい背中から生えた白い大きな翼、顔を『悪』と書かれた布の顔隠しで覆い、表情は見えなかった。
「紹介するわね。あなたと似たような境遇で産まれたオクタ……怪人よ」
「私の名前はオクタ。よろしくねホワイトちゃん!」
「よ、よろしくお願いします……オクタ様」
「固い固い、同僚なんだし、ヒーローの母親を持つ者同士! フランクにオクタ姉さんって呼んでよ」
「お、オクタ姉さん……」
「キャー可愛い!」
見た目に反して直ぐにハグしてくるし、顔を隠しているのに行動で思っていることを伝えてくる大型犬の様な性格をしていると私は思った。
知識の中での大型犬で、実際に大型犬を見たことは無いけど。
「オクタ、話を進めるわよ」
「は~い」
「コホン、困った事はオクタに聞きなさい。そしてこれから夕食までまだ時間があるから、戦闘訓練室でオクタと戦って貰います。戦闘訓練室では死ぬ事が無いから殺し合いを2人にしてもらうわ。ホワイトの最終テストよ」
「わかりました」
「わかったよ!」
そのまま場所を移動するのであった。
戦闘訓練室のモニタールームにて俺、バニーに何故か3人娘ことイエロー、レグレス、超が居た。
「なんで居るんだお前ら」
「だって~おじさんの娘さんでしょ! どんだけ強いか確認しておきたいじゃん」
「うんうん! 対戦相手は……うわ、オクタか」
「人造ヒーロー達の中だと戦闘力は下の上ってところっすが、A級上位の実力はあるっすからね……産まれたてかつ能力の使い方もよく分かってないような相手だと万に一つも勝ち目は無いっすね」
「正直遺伝子的にはオクタがヒーローサイドの正当進化系で、ホワイトが俺の遺伝子が入っているが、S級相当のヒーロー……S級の中だと下位のヒーローの娘だ。怪人かそうでないかの違いはあるが、戦闘訓練で性能差を見れるのは良いことだろう」
バニーが戦闘開始のアナウンスをすると、中に居たホワイトとオクタが戦い始めた。
「まぁオクタもオクタで怪人に成り立てで能力をフルに発揮できてない。そこが突破口になるかな?」
イエローがそう言っていると、オクタが早速動いた。
空中に光の球体を生み出すと、そこから幾つもの光の矢が放たれる。
「射程距離が300メートルと短いけど自動で相手を追尾して攻撃してくれる光の矢……おお!」
ホワイトは光の矢を避けるが、避けても避けても追ってくると判断すると、拳で光の矢を破壊した。
目にも留まらぬ速さの殴りで、次々に光の矢を破壊していく。
ジリジリと光の矢を破壊しながらホワイトが近づいていると判断したオクタは、光の矢を放ちながら次の攻撃に石で出来た十字架を投げ込む。
光の矢では質量が足りないと思っての攻撃であるが、それすらもホワイトは蹴りで粉砕する。
「戦闘スタイルがKさんと凄い似てるっすね」
「俺の戦闘スタイルの一部も博士が刷り込んだのかもしれねぇな。ただコツを掴んできたみたいだぜ」
超の言葉に俺は反応し、更にモニターに注力する。
するとホワイトは空中に氷塊を生み出すと、光の矢にぶつけ始めた。
「ホワイトの親は氷を操る能力を持っていたからな。その性質を引き継いだんだろう。能力も上がっているっぽいがな」
氷塊だけでなく、戦闘訓練室内の天候を吹雪に変えてしまい、雪の中にホワイトは隠れる。
するとオクタは見えない壁……光のバリアを張り、空中に逃げる。
「オクタは目で見ていなくても周囲を探知することが出来るからな。悪天候程度じゃ止まらねぇぞ」
小さい十字架の剣がオクタの体の周りで旋回し始めると、剣が2本重なるとビームが発射された。
オクタは裁きと呼んでいる攻撃である。
吹雪で隠れていたホワイトに的確に攻撃していくが、ホワイトは雪を操作して、即席のかまくらを作り、ビーム攻撃を防ぐ。
悪天候で空気中の雪に当たり、ビームが減衰したため耐えることが出来た。
そのままビームがかまくらを突き破る前にホワイトはジャンプし、空中で氷の足場を作るとオクタに向かって突撃を開始した。
オクタは石柱をホワイトに向かって次々に投げるが、ギリギリで体を捻って回避し、一気に近づく。
オクタの眼前まで迫り、拳を叩き込むと、オクタの光の壁にヒビが入る。
オクタは石で出来たハルバードでホワイトの体を叩き切ろうとするが、ホワイトはその柄を掴むと、逆に奪い取ってしまい、ハルバードをオクタの光の壁に叩き込んだ。
するとザシュっとオクタの体が真っ二つになり、臓物をまき散らしながら落下。
ホワイトも吹雪を止めて、戦闘状態を解除した。
ビチビチと体を痙攣させていたオクタだったが、巻き戻しの様に体が元に戻っていき、傷1つ無い姿に戻る。
「おお!? まさかホワイトが勝っちゃったっすよ!」
「怪人になってないのにA級上位の実力じゃん」
「やるねぇ……」
3人娘はそんな反応をしていたが、俺はホワイトが勝つとは思ってなかったので唖然としてしまった。
バニーが戦闘終了を合図して、戦闘訓練は終了となり、俺達もモニタールームから出て2人を労いに行くのだった。
バニーのイメージはワンピースのキャロットを茶色にした感じが一番近いかも?