鈴木羽那?めっちゃ恋してますけど?   作:フェンネル

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やっぱ好きだわ

朝。いい感じに目が覚めた俺は、今日の準備をしながらお嬢と朝飯を食ってる。

お嬢?もちろん俺が起こした。

どんな感じ?別にいつもの事だからこれといって何もねぇな。

まぁキュン死しそうではあった。

 

「随分ご機嫌ね?」

 

「これから杜野さんと出かけるんすよ」

 

「あら、珍しい組み合わせじゃない」

 

何でもプロデューサーさんと同性たる俺の意見を参考にしたいとか何とか。

ラブコメやら恋愛漫画やらとかでは定番の展開だな。

この外出を機に杜野さんと仲良くなれりゃ良いけど。

 

「隣にアイドルがいるんだから、そりゃ浮つくっすよ」

 

「私といる時はそういう雰囲気見せてないような気がするけど?」

 

「お嬢は良い意味で慣れたんすよ」

 

「慣れた?もう浮つく程の女じゃないということかしら?」

 

若干ジト目になるお嬢。

うーん可愛い。

 

「大人の女性としては、結構自信があるのだけど?」

 

「良い意味でって言ったじゃないすか」

 

「良い意味」ってのは必ずしもプラス方向の発言にゃならねぇか。

 

「勿論大人の女性として、お嬢はすげぇっすよ」

 

「随分素直ね?」

 

「スポッツァでの話、忘れてないでしょ?」

 

こちとら毎日大変なんだわ。

 

「・・・・・今、私はあの時話していたのと同じ格好をしてるけれど、あなたは特に反応してないじゃない」

 

毎度毎度顔に出すわけねぇだろ。

本来出すわけにいかねぇんだよ。

 

「とりあえず何か1枚羽織ってほしいんすけど」

 

「特に寒くないわよ?」

 

「俺にとっちゃ刺激が強いって言ってんすよ」

 

口の中を噛みながら表情が変わらないようにそう言うと、お嬢は少し照れくさそうに笑った。

うっ!!

胸が・・・・・!

 

「そ、そうね。なんだかんだ、あなたは私のことが好きだものね」

 

お嬢みたいな人なら誰だって好きになるだろ。

事実、鈴木さん大好きだった俺もお嬢の事はめっちゃ好きだ。

恋愛か親愛か?知らんそんなもん。

ただ告白なんてされたら絶対OKするってのは前から言ってるよな。

我ながらちょろいと思う。

まぁ、前は鈴木さんに殺されかけたけど。

トキメキ的な意味で。

 

「好きじゃなかったら付き人なんかやってないすよ」

 

「仕事だからと割り切るタイプだと思ってたけど・・・・・」

 

「絶対バックれてますね。付き人と他の仕事だと距離感が違うじゃないすか」

 

嫌いな奴とほぼずっと一緒にいなきゃならねぇ訳だからな。

 

「そう。なら私はあなたの主人として問題ないようね」

 

クールぶって朝飯食ってるけど、俺も俺でお嬢の天然というか抜けてるところも見てるしな。

俺がお嬢の付き人やってんのはお嬢が好きだからってのがまぁでけぇよ。

 

「それどころか、楽しく過ごさせてもらってますよ」

 

辞めようなんて1秒も思ったことねぇし、むしろ辞めたくねぇと思ってる。

 

「私もよ」

 

・・・・・まさかお嬢にそう言われるとは。

「当然よ!」とか「なら良かったわ!」とか言ってくるもんだと思ってた。

不意打ち+直球だから刺さる刺さる。

 

「何か、照れるっすね」

 

「ふふっ、私も」

 

お嬢のこういうとこがやっぱ好きなんだよな。

口には出さねぇけど。

何となく、この人といると退屈しねぇ気がする。

だから───

 

「これからもよろしくお願いします、夏葉お嬢」

 

「えぇ。よろしく、太郎くん」

 

そう言って俺とお嬢は互いに笑い合う。

ほんっと、綺麗な笑顔だぜ。

朝から楽しい気分になれて、すげぇ良い1日だ。

 

「・・・・・ところで、今日の夜は空いてる?」

 

「夜すか?」

 

「えぇ。お互いの気持ちを知れた記念・・・・・という訳でもないけれど、ディナーでもどうかしら?」

 

ディナーってのは、すげえ金持ちとかが食ってるようなイメージのあれか?

食器に使う順番があるとか、音立てて食ったらダメとかみてぇなルールもあるって聞いたような・・・・・。

 

「あー・・・・・」

 

言い淀んだ俺を見てか、お嬢は動じることなく続けた。

 

「堅苦しいのが苦手なら、あなたの食べたいものでいいわよ?」

 

「堅苦しいのが苦手」ってのは間違っちゃいねぇんだけど、ああいう料理ってあんまり量が多くねぇ印象なんだよな。

 

「そっすね・・・・・」

 

俺の食いたいもんか・・・・・。

あー、考えてみりゃほぼ一択かも。

 

「お嬢さえ良ければ・・・・・」

 

「私さえ良ければ?」

 

「一緒に飯作りません?」

 

ただ漠然と、お嬢と飯作るとすげぇ楽しいんだろうなって思った。

何食うかは後で決める。

お嬢はこの言葉を想定してなかったようで、一瞬固まって何回か瞬きした後、楽しそうに笑った。

 

「大賛成よ!」

 

「マジすか」

 

「えぇ、楽しみにしてるわ!」

 

「腕鳴りますね」

 

まだ1日始まったばっかなのにすっげぇ幸せなんだわ。

 

「早く帰ってきてくれないと困るわよ?」

 

「多分夕方前位には帰ってくるんで買い物から行きましょうよ」

 

「あら、良い案ね」

 

時間も良い感じになったことだから、諸々の準備を済ませて玄関に向かった。

 

「楽しんできなさい」

 

お嬢も付いてきた。

 

「お嬢、もしドアが開いた瞬間に人がいたらどうするんすか。その格好はまずいすよ」

 

寝起きのお嬢の格好って言えば分かりやすいか。

とにかく他の奴に見せる訳にはいかん。

どんな噂が立つかわかんねぇんだから。

 

「とりあえずもうちょい離れてください」

 

「・・・・・冷たいこと言わないで」

 

!?

 

「今日1日はあなたがいないんだもの。見送るくらい良いでしょう?」

 

なん、何だこの夫婦みてぇなやり取りは!

お嬢、朝からフルパワーだと!?

かましてきやがるぜ・・・・・!

 

「・・・・・わかりましたよ。その代わりなんか上着着てください」

 

さっき言ったのに何で着てねぇんだよ。

 

「あら、ごめんなさい」

 

お嬢は一旦家の中に戻って上着を1枚着てきた。

そしてパタパタと走ってきた。

可愛い。

へぇ、お嬢がロンTなんて珍し───いやそれ俺のーーー!!!

 

「お嬢の上着は!?」

 

「軽く着れるものが良かったから、少し借りたの」

 

こんなことがあって良いのか!?

付き合ってるわけでもねぇのに彼シャツ!?

やばい死ぬ!

オーバーヒートする!

 

「大丈夫?顔が赤いわよ?」

 

「・・・・・大丈夫すよ」

 

マジで無理やり冷静になった。

普通に心臓がやべぇんだけど。

脈めっちゃ早ぇ。

 

「そんじゃ、いってきます」

 

「えぇ、いってらっしゃい。気をつけてね?」

 

「うす」

 

・・・・・あれ?

何気にお嬢に見送られたのって初めてじゃね?

 

 

 

 

 

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