「「疲れた・・・・・」」
ゲームが終わってからの俺と樹里さんは死にかけの足取りで何とか筐体から離れた。
「あれは今日夢に出てきますぜ・・・・・」
「凛世もとんでもねぇ事考えるよなぁ・・・・・」
杜野さんには申し訳ないが、スポドリを買いに行ってもらってる。
「・・・・・って、お前があんなゲーム選んでなかったらこうはなってねぇよ!」
「男なら上目指すじゃないすか」
「アタシは女だよ!」
樹里さんに肩を掴まれて揺さぶられてる。
うーん、全然強くないからむしろ気持ちいいぜ。
「樹里ちゃん?」
「あっ、千雪さん」
樹里さんと戯れてると、めっちゃお姉さんって感じの人が樹里さんに話しかけてきた。
めっちゃ美人なんだけど。
「あれ?お隣の子って・・・・・」
「最近知り合った夏葉の付き人です」
「田中です。よろしくお願いします」
「桑山千雪です。よろしくね」
「えっと・・・・・桑山さんと樹里さんはどういう・・・・・?」
結構年齢差ありそうな2人だから、どういう知り合い方をしたのかちょっと気になった。
「アタシと同じ寮の283プロのアイドルだよ」
「ん?寮?」
「283プロの寮だよ」
そんなんあんのか。
283プロ、もしかしなくても結構すげぇ金持ちな事務所なのか?
なんて、何も知らねぇやつの感想しか出ねぇ。
それとも、アイドル事務所は寮があるもんなのか?
「へぇ、面白そうすね」
「ふふ。少人数だけど賑やかなの」
「えーいいなぁ・・・・・やっぱ共同生活って楽しそうな感じしますよね」
「田中だって夏葉と住んでるだろ」
「えっ!?」
樹里さんがそう言った瞬間、桑山さんはびっくりするくらい大きな声を出した。
「な、夏葉ちゃんと・・・・・!?」
「信じてもらえるかわかんないすけど、桑山さんが思ってるような関係じゃないすよ」
なんか忘れてたわこの感覚。
「で、でも、 男女が一緒に住むって───」
「俺も最初は止めたんすよ」
まぁ、俺も心の底だと名残惜しいって思ってたのはあるけど。
「誓って、やましい関係ではないです」
「そ、そうなんだ・・・・・」
当事者の俺らよりも周りの人達が慌てるのって変な話だよな。
「そういえば、桑山さんみたいな人って1人でゲーセン来そうなイメージ無いすけど、よく来るんすか?」
The・お姉さんって感じだし、雑貨屋とかすげぇ似合いそうだ。
小物とか作ってそうな雰囲気があるから、ゲーセンとはあんま結びつかねぇな。
「今日はちょっと欲しいものがあって」
桑山さんが指さしたのはピカソみてぇな中々個性的なぬいぐるみだった。
ああいうデザイン、割りと好きだ。
「今は作るの難しそうだから・・・・・」
今はってことは、今学んでる最中ってことか?
凄ぇな。
「でもUFOキャッチャーは自信ないから失敗しちゃってて、結構来てるの」
「はぁー、なるほど・・・・・」
桑山さんは台の前に立つと、気合が入った顔になった。
硬貨を入れてアームを見つめ、あのぬいぐるみを取るために鋭い眼光になる。
俺と樹里さんはそんな桑山さんとぬいぐるみの戦いを見届けることにした。
「樹里さんってこういうのいけます?」
「あー、アタシは無理かなぁ」
「UFOキャッチャーって裏技とかよく聞きますけど、できる気しないんすよね」
「アタシも聞いたことはあるけど、まずああいう発想にならねぇよな」
実際、どんな脳味噌してたらあんな攻略法を思いつくんだろうか。
まぁ、バケモンのことはバケモンにしかわかんねぇか。
「聞くところによると、「〇〇円が天井」だとか、店員さんがアシストに来るタイミングがあるとか」
「じゃあ・・・・・他の人がギリギリで取れなかった時を狙った方が良かったりするのか」
そんなパチンコみてぇな・・・・・。
「ていうか人の見てもアタシらができるかって言われると・・・・・なぁ?」
「ねー・・・・・失礼なこと言いますけど、俺らってわりとゲーム下手だったりします?」
「ホントに失礼だな・・・・・うーん、確かに人生ゲームでも今回の対決でも、アタシと田中は1位じゃないしな・・・・・」
「下手じゃないにしても、上手いって程じゃない・・・・・とか?」
「多分その辺りじゃねーかな?中途半端だなぁ」
「中々悲しい話っすね」
「なー・・・・・ゲーム下手コンビかぁ・・・・・」
「だーかーらー、自分で言ったら虚しくなるでしょうが」
「だってよー・・・・・どうする?もうちょい練習するか?」
「樹里さん金あります?」
「少しは」
「そんじゃやりますか」
「おー」
「覇気無いっすね」
「まだ下手コンビのままだからなー・・・・・」
「でも諦めてない顔してますよ」
「あったりめーだろ!ぜってーギブアップなんかしねぇ!」
「上等!俺もっすよ!!」
そして俺達は2台横に設置されている格闘ゲームの筐体の前に座り、同時に100円を入れた。
キリのいいとこまでいったら、桑山さんの戦いを見に戻ろう。
「先に5連勝した奴がスポドリ奢りだぞ!」
「やってやんぜ!・・・・・同時に5連勝達成した場合は?」
「そん時はハイタッチだな!」
「うす!」
○○○○○
「「うおおおおおおーーーーーーっ!!!!!」」
○○○○○
「お待たせいたしました。お飲み物を───!?」
杜野さんはスポドリを持ってきてくれると同時に、あまりの事態に驚愕の表情を見せた。
「おー凛世、ありがとな」
「杜野さん、ありがとうございます」
俺と樹里さんはトレーニングや試合後の様に、体から蒸気を放っていた。
結果としてスポドリを飲むのにベストの状態になっていた。
俺達は同時に蓋を開け、ぐいっといった。
「「!!」」
そしてスポドリが全身に行き渡る感覚を肌で感じながら、500mLのペットボトルを一気に空にした。
「「ぷはぁーーーーっ!!」」
俺はともかく、多分女子高生があんまりあげないような声を出して、俺と樹里さんは吐き出すように言った。
「「無理!!!」」