一旦ゲームから離れ、俺と樹里さんと杜野さんの3人は桑山さんのUFOキャッチャーを見ていた。
結果として桑山さんはぬいぐるみを獲ることに成功し、ホクホク顔で帰って行った。
今度他のぬいぐるみを見せてもらう約束をしたは良いものの、いつ会えるかは正直わかんねぇ。
それはそれとして───
「どうします?まだ夕方って言うには早いくらいですけど」
「そうだなぁ・・・・・凛世、何があるか?」
「凛世はもう、充分過ぎるほどお付き合いしていただきました・・・・・お次は、田中さまの好きなことを・・・・・」
「田中、どうする?」
「そうっすね───」
やりたいことはあるけど・・・・・まだちょっと時間あるしな。
ま、準備だけでもしとくか。
と、その前に。
「もしもしお嬢すか?ちょっと聞きたいんすけど───」
・・・・・よし。
お嬢の了承も得たことだし、これで気兼ねなく誘えるな。
「2人とも、良かったら今日、お嬢の家で晩ご飯食べません?」
「晩飯?アタシは良いけど・・・・・凛世は?」
「はい。是非」
「よっしゃ。それから1つ───」
○○○○○
「もしもしっ、田中さんですか?」
『急に連絡してすみません。良かったら今日、夏葉お嬢の家で晩ご飯食べません?帰りは遅くならないようにするんで』
「・・・・・はいっ!喜んで!」
『後で迎えに行くんで、ちょっと待っててください』
「わかりましたっ!」
『あ、それと───』
○○○○○
「もしもし?田中くん?」
『ちょこ先?今日お嬢の家で一緒に晩飯食わねぇ?』
「えっ!?食べる食べる!今から行っていい!?」
『晩飯だっつってんだろ。何時間食うつもりだよ』
「えへへー、ごめんごめん!それじゃ、楽しみにしとくよ!何時くらいに行けばいいかな?」
『ん?迎えに行くから家でゆっくりしといてくれよ』
「あ、ほんと?ありがとー!」
『それとよ───』
○○○○○
とりあえず小宮さんの送迎を終わらせた後、ちょこ先の家へ向かった。
「ふっふっふ、待ってたよ田中くん!」
ちょこ先は上下ジャージとかいう舐め腐った格好で待ってやがった。
どうせなら私服見たかった。
「とりあえず乗りな。一応クッションは敷いてるからよ」
俺は自転車で来た。
んでちょこ先をお嬢の家まで送る。
つまり2人乗りだ。
ちょこ先は躊躇いがちにこっちを見てる。
「・・・・・どした?タイヤなら割れねぇぞ」
「当たり前だよ!言っとくけど田中くんよりは全然軽いからね!?」
「わーってるよ。ほら」
「もう!デリカシー無いんだから!」
乗るのを躊躇ってた理由は、男と2人乗りするのがドキドキするかららしい。
「あのなぁ、そういうこと言われっとこっちも緊張すんだよ!」
まぁ俺がちょろ過ぎるだけの可能性もあるけど。
「あっ・・・・・ご、ごめんね?」
頼むぜ本当、アイドルなんだからよ。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・ちょこ先」
「はっ、はい?」
こいつ、言ったそばから・・・・・。
「なぁんで腰に手回してくんだよてめぇは!」
「だ、だってここしか掴まれるとこないんだもん!」
小宮さんも同じ形で捕まってきてはいたが、ちょこ先の場合胸が当たる。
余計緊張すんだよ。
「・・・・・まぁいいわ。ちゃんと掴まっとけよ」
「うん!」
・・・・・あークソ!!
○○○○○
「お嬢」
「太郎くん!?あなた、なんでここに・・・・・」
「プロデューサーさんも、こんばんは」
「あぁ、太郎くん。こんばんは」
丁度事務所を出てプロデューサーさんに送ってもらおうとしてるであろうお嬢の前に、俺は姿を現した。
徒歩だとさすがに結構な距離あるな。
まぁ当然というか、お嬢は驚いていた。
本当なら家に帰ってから会うはずだし。
「せっかく来てくれたことだし、何か買ってくるよ。何がいい?」
「マジすか!?ありがとうございます!スポドリでお願いします!」
ていうか、それ目当てなところはあった。
「はは、スポドリだな。了解」
プロデューサーさんがいれば奢ってくれるって確信はあったし、居なかったらお嬢と帰るだけだし。
それはそれとして、プロデューサーさんの優しさに甘え過ぎるのだけは避けたいぜ。
「ごめんなさいね、うちの子が」
「全然構わないさ。すぐそこの自販機だし」
「あら、結構仲が良さげなのね?」
「あぁ。結構気が合うんだ」
へへ、よせやい。
「・・・・・さて、2人はここで待っててくれ。車も持ってくるから」
「ありがとう、プロデューサー」
「あざっす!!」
○○○○○
「で、どうして事務所まで来たの?」
「あー、なんとなく?」
嘘だ。本当はお嬢の顔を見たかったからだけど、そんなこと言う訳にゃいかねぇからな。
「・・・・・ふふ、なにそれ」
「かっこいい理由があれば良かったんすけど」
「良いじゃない。なんとなくで」
俺も俺で大概お嬢のこと好きって訳か。
否定するつもりもねぇけど。
「私もなんとなく、会いたい気分だったわよ?」
・・・・・バレてた。
「そいつはどーも」
「ねぇ、太郎くん」
「はい?」
「今日、放クラの皆とご飯を作るじゃない?」
「そっすね」
「それは凄く楽しみなの。私にとって大切な思い出になると思うわ」
それ言ったら俺もよ。
「でもね」
ん?
「それとは別にまた今度、”2人で”できたらって思うのだけど、どうかしら?」
・・・・・ま、今日の朝の件を考えると、元々お嬢の中では俺とサシで飯作りする話だと思ってたろうし、俺もそう思ってた。
けど如何せん放クラの面々に会うもんだし、人数多い方が楽しいかななんて思っちまって、つい誘っちまったんだよな。
「喜んで」
「約束よ?」
「うす。ちなみになんで改めてそんなことを?」
お嬢はしばらく考えた後、笑って言った。
「なんとなく、じゃダメかしら?」
・・・・・なるほどな。
やっぱお嬢も可愛いとこあるぜ。
「全然」
「ふふ、ありがとう。楽しみにしておくわ」
「お嬢───」
「太郎くん」
「───はい?」
「今日の晩ご飯、プロデューサーも一緒にどうかしら?」
「おぉ、呼びましょ呼びましょ。大歓迎すよ」
プロデューサーさんは多忙なイメージがあるから向こう次第ではあるけど、こっちとしちゃ最高だ。
「とりあえず乗りますか」
「そうね」
車で送ってもらいながらプロデューサーさんに今日の晩飯の件を伝えると、快く受けてくれた。
てことは7人で晩飯か。
賑やかになりそうだ。